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「2次元で描く理由も強烈」「トラウマだけど必見」 世界の現実を描いた衝撃アニメ映画

マグミクス / 2024年6月20日 17時25分

「2次元で描く理由も強烈」「トラウマだけど必見」 世界の現実を描いた衝撃アニメ映画

■日本国内だけじゃない海外で制作された「トラウマアニメ」

 アニメ映画のなかには、実写作品同様、史実や実際に起きたことを題材にした作品があります。なかでも、海外の過酷な現実をあえてアニメで描いた作品は、多くの観客に衝撃を与えてきました。

●北朝鮮の強制収容所を描いた3Dアニメ『トゥルーノース』

『トゥルーノース』(監督・脚本・制作・編集:清水ハン栄治)は、2021年に公開された日本とインドネシア合作のアニメーション映画です。本作は、韓国系日本人の清水ハン栄治さんの映画監督デビュー作で、謎の多い北朝鮮の強制収容所について描かれています。

 物語は、日本から北朝鮮の平壌(ぴょんやん)に移民してきた「パク一家」が父親の失踪後、ある日「政治犯強制収容所」に送還されてしまうというところからはじまります。強制収容所では、殺人、暴力が当たり前で、パク一家は収容された理由も分からず、劣悪な環境下のなかで労働させられることになり、その後も数々の地獄のような体験を味わうことになるのです。

 本作は、脱北者(北朝鮮から亡命した人)や、強制収容所の元看守らを取材して10年近い歳月をかけて制作され、知られざる内情をリアルに描いています。北朝鮮側は「強制収容所」について存在を否定しているようですが、本作品の制作までにいたった経緯や証言などを鑑みると、かなり信憑性が高いと思われます。

 清水監督は、公開前の記者会見で「実写や、ドキュメンタリーという選択肢もあったが、実写だとホラー映画になってしまうくらいの凄まじい内容」だからと、アニメ化の理由を語っており、本作はポリゴン風の3Dアニメーションで描かれています。直接的な描写はそこまで多くないですが、ポリゴンのアニメが2次元のアニメーションに比べ余計に生々しさを感じます。

 公開後、ネット上のレビューでも衝撃を受けた声が相次ぎ、「理不尽な理由で看守によって公開処刑されるシーンは観ていて苦しかった」「囚人たちが自分や家族の食糧のために看守に密告して裏切りあうところは、人間の汚い部分が見えてしんどい」と、想像以上の内容の重さに驚いた人も多かったようです。そのほかにも「真相は闇のなかだけど、この映画が世界に発信されたことだけで価値があると思う」など、この映画が作られた意義を称賛する意見もありました。

●内戦を題材にした映画『戦場でワルツを』

 2009年に日本で公開された『戦場でワルツを』(監督・脚本:アリ・フォルマン)は、イスラエル制作の長編ドキュメンタリーアニメーションです。本作はイスラエル軍に従軍した監督自身の体験に基づいた、1982年のレバノン戦争で起きた悲劇について描かれています。

 イスラエル国防軍の歩兵だった主人公「アリ・フォルマン」は、ある日、かつての戦友から26匹の凶暴な野犬に襲撃される悪夢に悩まされていることを知らされました。そして、フォルマンは従軍した当時の記憶がないことに気が付きます。

 その後、フォルマンは戦友たちを訪ねていくうちに、今まで無意識のうちに抑圧していた記憶を思い出していきました。そして、彼が記憶を失った背景には、1982年9月のパレスチナ難民の虐殺事件「サブラー・シャティーラ事件」があったのです。

 本作は独特の動きのアニメーションと暗い色調が、戦争の悲痛さをさらに掻き立てています。また乱雑に転がる死体の山や、血しぶきが飛び散る射殺シーンなど目を背けたくなるような描写も多く盛り込まれていました。

 主人公が最終的に恐ろしい事件の記憶を取り戻す本作に関して、ネット上では「最後のシーンはエグすぎて見てられない」「この内容が実体験を元にしているというのが戦争の恐ろしさを表している」「アニメから実写に切り替わる系の演出のなかで一番キツい」などと、長年衝撃のアニメ映画として語り継がれています。

 本作は第66回ゴールデングローブ賞最優秀外国語映画賞を受賞するなど、高い評価を得ました。

■厳しい時代を生き抜く女性が主人公の海外アニメ映画

ポル・ポト率いるクメール・ルージュがカンボジアに起こした悲劇を描いた映画『FUNAN』ポスタービジュアル Les Films d'Ici - Bac Cinema - Lunanime - ithinkasia - WebSpider Productions - Epuar - Gaoshan - Amopix - Cinefeel 4 - Special Touch Studios (C) 2018

●離ればなれになった家族と当時の過酷な状況を描いた作品『FUNAN フナン』

 2020年に日本で公開された『FUNAN フナン』(監督:ドゥニ・ドー 脚本:ドゥニ・ドー、マガリ・プゾル、エリーゼ・トリン)は、1975年以降のカンボジアを舞台に、息子と離ればなれになった母親の日々を描いた長編アニメーション作品です。監督自身の母親の体験をもとに作られた映画で、素朴な絵柄のアニメーションで歴史の暗部が描かれます。

 主人公「チョウ」は、夫の「クン」、息子の「ソヴァン」、その他親戚とともに穏やかに生活していました。しかし、1975年に「ポル・ポト」を中心とする左派勢力「クメール・ルージュ」が政権を打倒すると彼らの生活は一変し、革命軍によって都市からの強制退去を命じられます。そして都市からの移動中、チョウたちはソヴァン、祖母とはぐれてしまい、彼らを探す過酷な日々が始まるのでした。

 個人の視点から過酷な歴史を描いた本作には、直接的な描写はないものの、登場人物が飢餓やクメール・ルージュの兵士の手によって次々と死亡していく残酷な展開が描かれます。

 ネット上では、アニメーションで描いたことで、残虐なシーンが苦手でも観られたといった意見もあった一方、「自分や家族を守るため他人をだしにする展開が辛い」「誇りを捨てて仇のほどこしたご飯にかぶりつくシーンなど、あまりに苦しかった」など、衝撃的な内容に精神的にダメージを受けた人も多かったようです。

(LUIS FIELD)

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