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『北斗の拳』ユリアはなぜ漢達の命を散らしてまで「最後の将」として動いたのか?

マグミクス / 2024年6月21日 7時25分

『北斗の拳』ユリアはなぜ漢達の命を散らしてまで「最後の将」として動いたのか?

■将なのに南斗の拳法家に認知されていない?

 マンガ『北斗の拳』(原作:武論尊/漫画:原哲夫)は、核戦争が起こり、文明が荒廃して暴力が支配する世界で、力で世界を統治しようとする拳法家同士が争う格闘マンガです。

 主人公「ケンシロウ」が使う一子相伝の暗殺拳「北斗神拳」には、対となる「南斗聖拳」が存在します。こちらは、核戦争前は1000以上流派があり、核戦争後でも108の流派が存在したということで、結構、使い手が存在します。

 中心となるのは、天の宿命の星である「宿星」を持ち、南斗聖拳108派を統べる「南斗六聖拳」で、その六聖拳の「最後の将」を守る存在として「南斗五車星」があります。前者には「サウザー」「レイ」らが名を連ね、後者には「フドウ」などがおり、劇中でも屈指の拳法家揃いです。

 その中で、唯一「拳法家ではないのに南斗六聖拳」な人物がいます。ケンシロウの恋人で、後に「南斗六聖拳最後の将」として登場する「ユリア」です。

 ユリアは「南斗正当血統」で、かつ「慈母星」の宿星を持ちますが、拳法の使い手ではありません。ほかの拳法は命を奪う力ですが、ユリアの力は真逆であり、「自分以外の」未来を予知する「天の声」と、手をかざすことで傷を癒す「癒し」の力です(幼少期のラオウが癒しの力で救われています)。原作者も「ユリアの力は拳法ではなく、相手の心身を癒すもの」と解説しています。

 南斗正当血統とは、重大かつ火急に成すべき事態が生じた時に「南斗」と「北斗」を一体化できる力を持つものが継承する星で、それまでは「北斗」に縁を持つ女性が継承してきたようです。

 ただ、ユリアは「南斗聖拳最後の将」として育てられた人物ではありません。アニメ『真 救世主伝説 北斗の拳 ユリア伝』が公式であるなら、幼女であった核戦争前から南斗聖拳関係者であるダーマに庇護され、ほどなく北斗神拳継承者「リュウケン」の元に預けられて成長しています。ダーマは「北斗と南斗が結ばれる時に奇跡が起こる」という伝承を知っていたので、南斗正当血統のユリアを、意図してリュウケンに預けたのでしょう。

 なおマンガ『北斗の拳 ユリア外伝 慈母の星』では、ユリアが成人してから核戦争が起こっています。この記事では『真 救世主伝説 北斗の拳 ユリア伝』の設定を基にして書いています。

 リュウケンの元で成長した際に、北斗神拳の伝承者候補だったケンシロウほか「トキ」「ラオウ」「ジャギ」だけでなく、フドウや「ジュウザ」など、南斗聖拳関係者とも接点を持っています。

 しかし、幼少期において、ユリアを南斗聖拳関係者だと見なすものはいませんでした。大人になっても南斗六聖拳のひとりである「シン」は、ユリアを愛する女性として扱いはしたものの、六聖拳の将として立てるようなことは一切ありません。ユリアは「南斗正統血統」でもあるのですが、シンは五車星の面々に聞かされるまでそのことも知らなかったようです。

 それどころか、南斗の将を守る南斗五車星のひとりである「雲のジュウザ」でさえ、ユリアが最後の将だとは知りませんでした(これはジュウザが五車星の宿命など何とも思わず、自由気ままに生きていたからではありますが)。

 ユリアの正体を知っていたのは、ダーマを除けば五車星である「海のリハク」とその娘の「トウ」、「風のヒューイ」「炎のシュレン」だけでした。なぜ南斗聖拳の頂点に立つユリアを、南斗聖拳関係者は認知していないのでしょうか。そして彼女は将として何がしたかったのでしょうか。

■「拳」ではない「将としての役割」とは?

OVA『真 救世主伝説 北斗の拳 ユリア伝』(アミューズソフトエンタテインメント)

『ユリア伝』によると、ユリア自身が元々「南斗六聖拳の将にして慈母星」という自分の宿星を知らされておらず、南斗正統血統の自覚もありませんでした。だから、大半の南斗聖拳の拳法家ですら、ユリアを認識していなかったわけです。

 なお、早くにして両親を失ったユリアには、庇護者であるダーマが仕えており、兄「リュウガ」とともに庇護されていました。ただし、リュウケンに保護されたのはユリアだけで、同じく南斗正当血統であろうリュウガが保護される描写はなく、ユリアの異母兄であるジュウザとの関わりもよくわかりません。

 シンにユリアが拉致された後、ユリアは飛び降り自殺を図りますが、フドウらに救出され「南斗六聖拳の将」の元に案内されます。将とは、育ての親でもあるダーマでした。

 ダーマはユリアに「貴女こそ、南斗聖拳108派を束ねる要。慈星の宿星を持つ正統血統者。南斗最後の将なのです。南斗乱れる時北斗現る。その北斗と共に最後に現れるがゆえに、南斗最後の将と呼ばれるのです。そして、北斗と南斗が結ばれる時、必ずや奇跡が起こりましょう。天が貴女に与えた予知の力は、そのためのものだったのです」と告げます。

 ユリアは「苦痛でしかなかった予知の力に、そんな宿命が」と驚愕し、ダーマは「宿命の時を待つことが、貴女の役目だった。もう、待つのは終わりです」と言い、ユリアは自分の宿星を理解して、最後の将となったわけです。

 つまりユリアは、南斗最後の将である、慈母星の宿命に従い「人々を救う救世主になりつつあるケンシロウを、全てを捨ててでも守り、支えるために生まれてきた」と確信し、行動しているのです。なお、ケンシロウがラオウを倒したことで数年間の平安が訪れており、それが「北斗と南斗が一体になったことで、天が平定される」という伝承の通りということなのでしょう。

 星の宿命に導かれるように登場人物が行動する『北斗の拳』の中で、自覚がなくてもユリアは、北斗と南斗をひとつにする慈母星に導かれていたのかもしれません。

(安藤昌季)

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