「ゾロの出生の謎」「エースの前任者って？」多くの『ワンピ』読者に衝撃が走った巧妙な伏線

■読者も感心したドラマチックな伏線回収

　人気マンガ『ONE PIECE（ワンピース）』は、鮮やかな伏線回収も見どころのひとつです。最終章に入り、長きにわたって謎だった部分も次々と明かされ始めています。そこで今回は、多くのファンが感心させられた、見事な伏線回収を振り返ります。

「モンキー・D・ルフィ」の最初の仲間となり、彼から絶大な信頼を置かれる剣士「ロロノア・ゾロ」は、古参ながら詳しい出生が明かされていませんでした。

　しかし、「ワノ国編」でゾロに瓜ふたつの剣士が登場し、何らかのつながりを匂わせると、コミックス第105巻の質問コーナー「SBS」で、ついにゾロがワノ国の「霜月家」の血筋であることが明らかになります。

　さかのぼると物語の序盤の第5話にてゾロの故郷「シモツキ村」が描かれた際、ゾロの師である「コウシロウ」の道場のマークが道着などにありました。それは2本の刀が交差するようなマークで、実は第942話に登場したワノ国の大名「霜月康イエ」に仕える侍の着物にも、コウシロウの道場のマークによく似た模様が描かれています。

　コウシロウも霜月家の子孫であることから、ワノ国とシモツキ村の間には深い縁があることが分かりました。このように、物語の序盤に描かれた些細な描写にも、最近のエピソードとの関連を見られることがあるのです。

　さらに「スリラーバーク編」で、ゾロと対峙した末「名刀・秋水」を託してきた剣豪「リューマ」も、霜月家の人間だったことが判明します。このようにゾロの出自にかかわる新事実が明かされたことで、過去の細かい描写やエピソードがつながっていったことは、多くのファンを驚かせました。

「数ある伏線回収のなかでも完成度すごい」「ゾロがリューマに勝って秋水を手にしたのは運命的」など、さまざまな反響を呼んでいます。

　海賊王「ゴール・D・ロジャー」に関する伏線も、意外な形で回収されています。空島の「歴史の本文（ポーネグリフ）」に、古代文字でロジャーのメッセージが刻まれており、なぜロジャーが古代文字を扱えたのかは、長年の謎でした。

　一応、元「ロジャー海賊団」の副船長「シルバーズ･レイリー」が、ロジャーは「万物の声」が聞けたと明かしたことで、「空島のポーネグリフの『声』を聞いて解読につながっていたのでは？」という説も有力視されました。

　しかしその後、かつてポーネグリフを作った一族である「光月おでん」がロジャー海賊団の一員として同行していたことが判明します。そしてロジャーがおでんに頼み、例のメッセージが刻まれたという真実が明らかになったのです。

　10年以上もの年月を経てから謎が解き明かされ、読者からは「幼少期に抱いていた謎が今になって明かされて感動」「尾田先生の構成力はハンパない」といった感嘆の声があがりました。

　さらに光月おでんに関しては、「白ひげ海賊団」との深い関わりが明かされ、謎の真相究明につながったこともあります。

　それは「ポートガス・D・エース」の過去の回想シーンで、彼が白ひげ海賊団の二番隊隊長を任される際「ずっと欠番だった」という船員のセリフです。エースの前任者は誰だったのか、熱心なファンの間でアツイ議論が交わされました。

　猛者ぞろいの白ひげ海賊団で、ずっと欠番になるということは余程の重要人物ではないか、と予想されたのも当然のことです。

　その有力候補として名前があがったのは、元王下七武海の「クロコダイル」です。「マリンフォード頂上戦争」での「白ひげ（エドワード・ニューゲート）」との因縁を感じさせる場面や、当時の海軍大将「赤犬（サカズキ）」に敵対する白ひげ海賊団が描かれた際、船員に混じってクロコダイルの姿があったことなどが主な理由でした。

　そのような、さまざまな考察が行われてきた背景があるなか、かつて光月おでんが白ひげ海賊団に所属しており、白ひげに実力と人柄を買われて二番隊隊長に任命されたという真実が明らかになります。

　その意外な結果に、ファンからは「伏線の張り方も秀逸だけどミスリードもうまい」「まさかの未登場キャラだったとは！」「おでんは魅力的で、エースの前任でも違和感ない」といった意見がありました。

『ONE PIECE』は、伏線や謎を考察するのも盛り上がる要素で、種明かしを楽しみにしているファンも多いようです。作中には、いまだに多くの謎が存在するので、今後どのようなかたちで解き明かされるのか目が離せません。

（LUIS FIELD）