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『ウルトラセブン』の「カプセル怪獣」は何体いた? 5個あったカプセルの謎

マグミクス / 2024年6月29日 9時5分

『ウルトラセブン』の「カプセル怪獣」は何体いた? 5個あったカプセルの謎

■ダン「アギラ、頼んだぞ!」

『ウルトラセブン』のTV放送は、1968年に終了しました。その後、再放送やビデオ、DVDで作品を観た人から、「あれ?」と思うひとつの謎がささやかれるようになります。問題は第1話、第3話で映し出されるワンカットにありました。主人公「モロボシ・ダン」が「カプセル怪獣」を取り出すためにケースを開けた際、なかをよく見ると、小さなカプセルが5個並んでいるのです。ご存じの通り、劇中に登場するカプセル怪獣は「ウィンダム」、「ミクラス」、「アギラ」の3体だけです。「残り2個のカプセルは何?」と、コアなファンのあいだで話題になり、「カプセル怪獣は5体いた説」が流れました。この謎について考えてみます。

 鋭いファンが着目したのは、第10話です。「イカルス星人」によって4次元空間に閉じ込められたダンが、カプセルをひとつ投げますが、何も出現しません。しかも、そのカプセルはイカルス星人側が「預かっておきます」といい、その後の消息は不明です。書籍『大人のウルトラセブン大図鑑』(マガジンハウス)によると、脚本には、投げたカプセル怪獣については何も書かれていなかったそうです。このシーンは演出の一環でしょうが、ドラマを深読みすれば、幻の「第4のカプセル怪獣」が入っていたと受け取ることもできます。

 この第10話でカプセルを1個失った関係でしょうか、第32話で「アギラ」を回収したのは、今までなかったゴールドのカプセルでした。ダンはカプセルを補充していたのです。つまり、ダンは少なくとも合計6個のカプセルを所持していたことになります。

●全ての謎は初期設定から?

 では、仮に第4のカプセル怪獣が存在したとして、もう1個のカプセルが気になります。これはあくまで考察ですが、第5のカプセルは空(カラ)だったのではないかと思うのです。ダンが開いたケースのカプセルをよく見ると、色やデザインが微妙に違います。第1話で赤いカプセルを投げてウインダムが登場し、回収するときは黄色のカプセルを使いました。つまり、黄色のカプセルは空っぽだったということになります。

 さらに、1998年のオリジナルビデオ作品『ウルトラセブン生誕30周年3部作』では、ダンが「カザモリ隊員」と入れ替わるため、彼を空のカプセルに収納しました。また『ウルトラセブン 1999年最終章6部作』では、負傷したカザモリ隊員を治癒するために空のカプセルに納めるなどしています。

 つまり、筆者は「第4のカプセル怪獣は存在したが不明」、「第5のカプセルは空」なのではないかと考察します。

「怪獣カプセル」について、2002年に出された書籍『ウルトラセブンイズム』(辰巳出版)、及び2022年発売『講談社MOOK ULTRAMAN HISTORICA ウルトラQからシン・ウルトラマンまで』に、その裏側を紹介する記述がありました。内容をまとめると……。

・企画段階の『ウルトラアイ』(仮タイトル時)の初期設定で、「過去に登場し、暴れ者だった怪獣たちもセブンの時代は地球の味方」という趣旨から、『ウルトラQ』のペギラ、パゴス、『ウルトラマン』のレッドキング、アントラーがカプセル怪獣として登場する予定だった。
・その後、『ウルトラマン』とは世界観を変える作品にする意向から、カプセル怪獣はオリジナルのものに変更される。

 ……ということです。だとしても、なぜカプセルは5個もあったのでしょう? これも推測ですが、企画初期の時点でカプセルをたくさん作ったので、入れただけかもしれません。また、カプセル怪獣は第1話にウインダム、第3話にミクラスが登場し、アギラは第32話まで出てきません。もしかすると、3体以上作る予定だったのかもしれません。あるいは全く違う、ほかの用途で使う構想があったのかもしれません。当時の制作スタッフは、そこまで緻密に考えていなかったかもしれませんが、深読みするのもちょっと面白いものです。

 放送から半世紀以上経った今でも想像をかき立てられるほど、「カプセル怪獣」は斬新なアイデアだったと感慨深くなります。また、「カプセル怪獣」は『ポケットモンスター』誕生のヒントになったともいわれています。

(玉城夏)

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