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『キカイダー01』ハカイダーが急に弱体化した謎 4人衆誕生、まさかの理由は「再利用」?

マグミクス / 2024年6月27日 7時25分

『キカイダー01』ハカイダーが急に弱体化した謎 4人衆誕生、まさかの理由は「再利用」?

■主役を圧倒する強さで子供たちを魅了した「悪役」

 1972年から放送された『人造人間キカイダー』(以下、キカイダー)の終盤で、主役の「キカイダー」(本名:ジロー)がかすんでしまい、主役の座を奪うような圧倒的な強さと存在感を示したのが悪の人造人間「ハカイダー」(本名:サブロー)でした。

 しかし、続編である1973年放送開始の『キカイダー01(ゼロワン)』(以下、01)では、ハカイダーが一気に4人に増えてパワーアップしたものの、結果的にハカイダーの弱体化を招いてしまいました。なぜ『01』のハカイダーは、弱くなってしまったのでしょうか。

 どうやら、東映プロデューサーの平山亨さんとメインライターの長坂秀佳さんの、リソースを活用したアイデアが思わぬ誤算を招いてしまったようです。

 不完全な良心回路を持った主人公の「ジロー」は、悪の組織「ダーク」の首領「プロフェッサー・ギル」の笛の音によって、正義と悪の心に揺れ動いて苦しみます。しかし、キカイダーにチェンジすれば、良心回路が完全に作動して、ダークロボットと戦えるようになります。

『キカイダー』の当初のメインライターは、1971年から放送された『仮面ライダー』と同じ、伊上勝さんでした。伊上さんがメインライターだった前半では、『仮面ライダー』同様に完全に変身ヒーローものとして描かれていました。

『キカイダー大全 人造人間キカイダー キカイダー01の世界』(双葉社刊)のインタビューによると、前半のサブライターだった長坂さんは「キカイダーが、デザインでも青と赤で、善と悪の間で悩むみたいな設定があるのに、(中略)そういう姿で悩む姿がない」と不満を募らせていたそうです。

 後半になって長坂さんがメインライターに昇格すると、「キカイダーが人間と機械の間で悩む、善と悪との間で悩む姿を描きたい」ということで、苦悩するジローの姿が描かれるようになりました。

 そして、キカイダーと対局となる完全な悪の心「悪魔回路」を持った、ハカイダーとの戦いは、番組最大のクライマックスになりました。ハカイダーは元々、石森章太郎先生の原作にも登場していますが、長坂さんの筆によって、さらにかっこよく強く、ドラマチックな存在として描かれました。

 キカイダーを壊すためだけに造られたハカイダーには、キカイダーを造った光明寺博士の脳が移植されています。光明寺博士の命を奪うことになるので、キカイダーが本気でハカイダーに立ち向かうことは許されません。ハカイダーは銀色の大型拳銃「ハカイダーショット」とキカイダーを凌駕(りょうが)する戦闘能力で圧倒します。

 全くキカイダーに勝ち目がない状況でしたが、ハカイダーにも唯一の弱点がありました。定期的に光明寺博士と血液を交換しなければならないことです。ハカイダーの弱点のおかげで、キカイダーは命拾いしています。ハカイダーの目的はキカイダーを倒すことのみで、そのためならギルの命令を無視してダークロボットと戦い、ときに光明寺博士の子供である「ミツ子」や「マサル」を守ります。

 キカイダーは敵のロボットでありながら、完全に「悪」といい切れない部分のある魅力タップリのダークヒーローでした。真山譲次さん演じるハカイダーの変身前のサブローも、全身黒ずくめの服に黄色いマフラーで、視聴者を魅了しました。そして、最終回直前にキカイダーはダークロボットの「アカ地雷ガマ」の地雷によって全身がバラバラになります。

 キカイダーを破壊するためだけに作られたハカイダーは、キカイダーが死んだと思い込んで目的を失い、自暴自棄になってアカ地雷ガマを破壊したうえに、ダーク基地も破壊します。さらにプロフェッサーギルを襲う姿は、人造人間なのに哀しみさえ感じさせました。

『キカイダー大全』に掲載された、ジローを演じた伴大介さんのインタビューでは、サブロー登場時に対して「ハカイダーはカッコよかったよなあ~~(笑)。悪の二枚目ヒーローだもんね、これはウカウカしてられないぞって思った」と告白しています。

 さらにマサル役の神谷政浩さんも「真山譲二さんがカッコよくて(中略)印象が凄く強い。ご本人がもうサブローそのままというクールな方で、だから『カッコいいなぁ』という憧れがありましたね」と語っています。

 本編に登場する1か月前から次回予告で告知し、強烈なインパクトを残したハカイダーは、意外にも登場したのが全43話中の6話のみでした。

■「ハカイダー4人衆」が誕生した理由とは?

キカイダーとハカイダーが表紙の「人造人間キカイダーメモリアル [DVD]」(東映)

 その後、長坂さんが撮影所に行くと、6回しか登場しなかったハカイダーの着ぐるみのスペアが3体も残されていたといいます。

『キカイダー大全』では、長坂さんが「これは勿体ないから使おうよって、ハカイダー三兄弟作ろう、と。それでレッド、シルバー、ブルーのハカイダーが生まれることになったんだよ」と語っています。

 長坂さんの提案を平山亨東映プロデューサーが採用して、続編『01』では「ハカイダー4人衆」が誕生しました。しかし、プロフェッサーギルの脳を移植されたハカイダーと、ダークの優秀な科学者の頭脳を移植された「シルバー」、「レッド」、「ブルー」の3人は、完全に『キカイダー』に登場した「ハカイダー/サブロー」とは全くの別人と化していました。

 彼らは、太陽光がエネルギー源である「キカイダー01」の「太陽光がないと力が10分の1になる」という弱点を突いて、日が沈んだ後に攻撃したり、太陽光の届かない洞窟や海底に主人公「イチロー」を誘い込んだりと、正々堂々とジローに勝負を挑んだサブローとは真逆の卑劣な作戦を遂行します。

 結局は、ピンチに陥ったイチローを、前作に続いてレギュラー出演した「キカイダー/ジロー」が救出するのが毎回のパターンでした。

 強さにしても、ハカイダーの4人がそれぞれ個別に「ブラックドラゴン」「銀エビ」などの別の怪人に変身しても、ことごとく01に倒されました。ついに4人は合体して「ガッタイダー」に変身するも、01ひとりに合体不能に追い込まれ、第10話までに全滅してしまいました。

 4人もハカイダーがいれば「01やキカイダーを凌駕する圧倒的強さを持つのでは」と期待されました。しかし、序盤で早々に倒されてしまい、ハカイダーが前作より弱くなった印象は拭いきれませんでした。ハカイダーの弱体化を生んだのも、『キカイダー』でハカイダーをかっこ良く強く描いた、メインライターの長坂さんだったのです。

 ハカイダー4人衆は、スペアの着ぐるみの再利用で番組予算の削減し、前半の盛り上げを成功させ、『01』メインの敵組織である「大犯罪組織シャドウ」が登場するまでのつなぎとしての役割を果たしました。とはいえ、視聴者から見ると、大人気キャラのハカイダーが弱く見えてしまうことまでは、当時の制作陣も計算できなかったようです。

 しかしながら、ハカイダー4人衆のアイデアは石森先生も気に入ったようで、原作マンガでもドラマから逆輸入される形で登場しています。

『01』で弱体化してしまったハカイダーでしたが、『キカイダー』に登場したハカイダーやサブローの強さとカッコ良さが際立つことになりました。ファンの間で、ハカイダーは悪のヒーローの最高峰として根強い人気を誇っています。

(LUIS FIELD)

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