「いやアウトでしょ」「なんで？」 地上波放送自体が衝撃だった過激アニメ

■過激な原作に豪華な制作陣

　多くのアニメが放送される地上波では、視聴者のニーズに応えるために多種多様な作品が放送されています。しかし、そのなかには、過激すぎて地上波で放送してもいいのか、観ている側が不安になるものも存在しました。

●『平穏世代の韋駄天達』

　マンガ『平穏世代の韋駄天達』は、アニメ版が物議を醸した『異種族レビュアーズ』の天原先生が原作、『小林さんちのメイドラゴン』で知られるクール教信者先生が作画を担当し、2018年から連載されています。斬新な設定のマンガを多く生み出している天原先生は、その独創的なアイデアだけでなく性的な内容を含む作品が多く、本作もかなり過激な内容です。

　その『平穏世代の韋駄天達』は、『進撃の巨人』や『呪術廻戦』で知られるMAPPAがアニメーションを手掛け、フジテレビのノイタミナ枠にて放送という、かなり豪華な体制で制作され、ネットがざわつきます。

　本作は「韋駄天」と呼ばれる圧倒的な速さと強さを持つ神々と、世界を破滅させようとする魔族との戦いを描いた物語です。アニメでは第1話から、魔族が支配する国の兵士によるシスターへの凌辱シーンが描かれました。さすがにコメディ調に演出されてはいたものの、しっかりと伝わる形で表現されています。

　天原先生は、他にも『33歳独身女騎士隊長。』 や『貞操逆転世界』などアダルト要素は多いものの、かなり尖っていて面白い作品を世に送り出しています。『異種族レビュアーズ』と『平穏世代の韋駄天達』がアニメになった今、他作品のアニメ化にも期待が持てるのではないでしょうか。

●『回復術士のやり直し』

　2016年から「小説家になろう」で連載されていた人気作『回復術士のやり直し』は、虐げられていた主人公の復讐物語です。いわゆる「復讐系」のジャンルのなかでも、その復讐の過激さからかなり人を選ぶ同作は、2021年にアニメ化され、地上波でも放送されました。

　舞台は剣と魔法の世界で、元は農家だった主人公「ケヤル」は「癒」の勇者であることが明かされ、魔王を倒すために旅立つものの、そこから地獄のような日々を送ります。他の勇者たちはケヤルを回復道具としてしか見ておらず、彼は薬漬けにされたうえ、男性からの性的暴行を含めた壮絶な虐待を受けていました。

　しかし、魔王討伐の際に他の勇者たちを出し抜いたケヤルは、魔王の体内から魔力を増幅する「賢者の石」を手に入れます。そして、「賢者の石」と真の力を使い、勇者たちへの復讐を果たして幸せを手に入れるべく、彼が勇者として旅立つ前に時間逆行したのです。

　壮絶な虐待のせいでケヤルの人格は歪んでおり、2回目の人生での復讐の内容はかなり過激なものでした。主犯である「フレア」に対しては、性暴力を含む残虐な復讐をしたのち、彼女の顔と記憶を改変して従者として旅に同行させます。男装の麗人でレズビアンの「ブレイド」には、ケヤルが用意した男たちに彼女を犯させたうえに、食べさせるという壮絶な復讐を果たしました。

　虐げられてきた人間が立場を逆転し、復讐を果たすこと自体は爽快ですが、ここまではっきりと性暴力を描いた内容が地上波のアニメとして放送されたことを、不思議に思った方も多いのではないでしょうか。

●『なるたる』

　マンガ『なるたる』は、かわいらしいタイトルとマスコットキャラ、小学生の主人公など、一見すると子供向けと思われそうな作品です。しかし、タイトルは「骸なる星 珠たる子」の略で、マスコットキャラは超常の力を持つ「竜の子」で、その力を使った殺し合いが起きるなど、物語はかなり重めでした。そんな本作は2003年にアニメ化され、キッズステーションとTBSなどの地上波で放送されたのです。

　後半に行くほどエグいシーンが増える『なるたる』のアニメ化されたエピソードでは、特に「いじめ」のシーンが衝撃的です。主人公「シイナ」の同級生である「貝塚ひろ子」は、他の同級生からいじめを受けており、その内容はミミズジュースを飲まされたり試験管を性器に入れられたりと、常軌を逸していました。さらに、両親からの過度なプレッシャーもあって追い詰められたひろ子は、「竜の子」を使っていじめていた同級生や両親を惨殺したのです。

　主要な登場人物が小学生の作品で、ここまで陰惨な内容が地上波で放送されたことは衝撃で、20年以上経った今でもネットで話題に上がっています。

（SU_BU）