「激ムズだけどハマる!」 ファミコンからPS5まで「死にゲー」の名作たち
マグミクス / 2024年6月27日 21時25分
■同じ「死にゲー」でも魅力はさまざま
2009年に発売されたPlayStation 3ソフト『Demon’s Souls(デモンズソウル)』をきっかけに、「死にゲー」という言葉が広まり、同作をリスペクトする作品が続々と登場しました。
「死にゲー」の明確な定義はないものの、「死んで覚える(=難易度が高い)」「知らなかったらまず死ぬ、初見殺しがある」「死が避けられない」などの傾向を持つゲームを指す場合が多く、「覚えゲー」と近い意味で使われることもあります。
最近よく使われる「死にゲー」に当てはまるゲームは、昔も今も数多く存在します。難しさに面白さを宿した「死にゲー」は、万人向けでこそありませんが忘れがたいものです。そんな「死にゲー」を、メジャーな作品からコアなタイトルまで3本厳選して振り返ります。激ムズなのに、何がプレイヤーを魅了しているのでしょうか。
●アーケード版よりも難易度上昇!「家でも遊び放題」の夢を叶えた『魔界村』
ファミコン時代の高難易度アクションといえば、『魔界村』を外すわけにはいきません。その難易度の高さゆえ、「死んで覚える」を繰り返し、ようやく先に進めるという2Dアクションゲームでした。
『魔界村』はもともとアーケード向けに展開した作品で、ファミコン版はいわゆる移植にあたります。当時のアーケードゲームを移植するにはファミコンの性能は物足りず、この『魔界村』も忠実な移植とはいえず、キャラクターの動きやBGMなどが劣化してしまいました。
しかも劣化の影響から、アーケード版で使われていたテクニックが通用しなくなり、元々高かった難易度がさらに上昇してしまいます。その結果、ファミコン版の1面中盤に出てくる難敵「レッドアリーマー」すら倒せず、クリアを諦めたファミコンキッズもいたほどです。
こうした点だけ見ると、ファミコン版『魔界村』は問題作のように思われるかもしれません。しかし当時のアーケードからの移植作は、基本的に劣化から逃れられません。なかには、ビジュアルをコミカルに一変させた『スプラッターハウス わんぱくグラフィティ』や、ゲームシステムがほぼ別物になった『源平討魔伝』など、予想を超える移植作も多数ありました。
完全移植はほぼ不可能で、いかに再現に努めるかがファミコン時代における移植ゲームの命題でした。その背景を踏まえて考えると、気になる問題点こそあるものの、『魔界村』が家で好きなだけ遊べるファミコン版は、十分に意義のある存在といえるでしょう。
ファミコンとソフトがあれば、いくらやられてもやり直せるファミコン版『魔界村』は、「いつでも、いつまでも遊びたい」という当時のゲームファンの夢を、やや問題はありつつも叶えてくれた作品だったのです。
また、ファミコン版の『魔界村』は、その難易度の高さが一部プレイヤーのやる気に火を点け、越えがたい壁を超える「死にゲー」の醍醐味をたっぷりと味わわせてくれました。例えば手ごわくなってしまった「レッドアリーマー」も、倒しやすい動きに誘導するテクニックなどが見つかり、トライ&エラーの手本のようなプレイ体験を提供してくれます。
相当難しいゲームなのは確かですが、ファミコン版『魔界村』は「死んで覚える」の元祖的なゲームとして、語られるに足る存在です。
■近年の「死にゲー」の名作といえば?
『SEKIRO』の戦いは、敵の攻撃を覚えるのが基本中の基本。その動きに合わせて「弾く」ことが勝利への道だ。
●チート級の魔法があるのに、バランスは崩壊してない『バレットウィッチ』
先ほど取り上げたファミコン版『魔界村』は、1986年に発売されました。その当時と現在のおおむね中間にあたる2006年に、『BULLET WITCH(バレットウィッチ)』という「死にゲー」がXbox 360向けに登場し、一部ユーザーから熱烈な支持を集めます。また、後にSteam版もリリースされ、アクセスできる機会が広がりました。
本作は、3D空間で描かれたフィールドを進むTPS(サードパーソン・シューティング)で、主人公である魔女「アリシア」が箒をモチーフとした銃器や魔法を駆使し、さまざまな悪魔たちと戦います。
アリシアが使う魔法は強力なものが多く、近くの物体を飛ばす「ウィルパワー」や、「エレメント」による各種弾丸の強化など、攻略を大いに助けてくれます。またMPを一気に消費する「大魔法」は、見た目のインパクトも凄まじく一見の価値アリです。
そのなかでも最も象徴的な魔法は、召喚したカラスが敵を襲う「レイブンパニック」です。視界内の敵を一時的に無効化できるので、「何もできない敵に、攻撃を一方的に加える」という、反則レベルの攻撃を可能とします。
しかし、これだけ強力な魔法があっても、本作の攻略は容易ではありません。敵のスナイパーはかなり優秀なので、索敵を怠ると狙撃であっさりと撃ち殺されてしまいます。また、魔法や敵の攻撃で飛んでくるガレキに当たると即死するため、立ち回り全般に緊張感が伴います。
アリシアも敵も即死級の攻撃を持っているため、一般的なゲームなら強力過ぎるであろう「レイブンパニック」も、本作においては「適切な効果」の範囲に収まっています。「高難易度ながら理不尽ではない」という絶妙な難易度調整に、驚かされるばかりです。
随所に作りの甘い部分もありますが、アリシアの3Dモデルは完成度が高く、また衣装替えのDLCも無料で提供するなど、サービス精神も旺盛でした。難点もありますが、長所も多く、熱烈なファンがいるのも頷ける作品です。
●使いこなせば爽快、間違えれば死……過酷な戦いを「弾き」に込めた『SEKIRO』
近年だけに絞っても、数多くの「死にゲー」が飛び出しました。特に、『デモンズソウル』を手がけた「フロム・ソフトウェア」の活躍は目覚ましく、『DARK SOULS(ダークソウル)』シリーズに『Bloodborne(ブラッドボーン)』、『ELDEN RING(エルデンリング)』など、枚挙に暇がないほどです。
そのなかでも、高い難易度と独特のゲーム性で多くのプレイヤーの心を折りながらも、優れた名作として高評価を博したのが、2019年発売の『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』(以下、SEKIRO)です。
同社の高難易度アクションの多くは、RPG的な要素を備えており、レベルアップによる強化が行えます。スタミナや体力が増えれば立ち回りに余裕が出来ますし、強力な武具の装備条件を満たすことで戦力の向上も望めます。
しかし『SEKIRO』の場合、攻撃力やHPは増加はしますが、「雑魚を倒して経験値を稼ぎ、レベルを上げる」といったお決まりの強化手段はなく、強敵の打倒にはプレイヤーの技量が問われます。
また、同社の他作品のような「(一時的な)オンライン協力プレイ」もなく、全編シングルプレイで挑まなければなりません。レベル上げや他プレイヤーの助けといった救済手段が断たれているため、ほかの「死にゲー」作品と比べてもより過酷な状況といえるでしょう。
加えて、強敵との戦は相手の「体幹」をいかに崩すかが重要です。「体幹」を削りきれば、残りHPに関係なく致命傷を与えられる「忍殺」を繰り出すことができ、勝利に大きく近づきます。
この「体幹」を崩すのに有効な手段は、敵の攻撃に合わせて「弾き」を行うこと。タイミングがズレれば弾くことができず、一方的にダメージを食らってしまうため、「弾き」は強力な手段であると同時に、自滅も招きかねない諸刃の剣なのです。
敵の攻撃を弾けば勝利に一歩近づき、タイミングがズレれば死に大きく近づく……紙一重で生死がたやすく入れ替わる『SEKIRO』は、高難易度と爽快感の両立させた名作として、プレイヤーたちに衝撃と絶望を、そしてなにより心が震えるほどの達成感を提供しました。
* * *
難しいけど、ついつい遊んでしまう。そこに、揺るぎない面白さを秘めているからこそ、「死にゲー」は魅力的なのでしょう。
やや不格好ながらも、難しさに立ち向かう手ごたえを教えてくれた『魔界村』、バランスを崩壊させかねない要素で、逆にバランスを保った『バレットウィッチ』、勝利と敗北の一瞬を「弾き」で描いた『SEKIRO』、いずれも見どころのある「死にゲー」です。
過酷な戦いを求めている人は、この3作品に挑んでみてはいかがでしょうか。ファミコン版『魔界村』はNintendo Switchの「ファミコン Nintendo Switch Online」で、『SEKIRO』はPlayStation 4とXbox One、PC(Steam)でのプレイが可能です。『バレットウィッチ』をこれから遊ぶなら、Xbox 360版かSteam版のいずれかをお選び下さい。
『魔界村』:
(C)CAPCOM CO., LTD. 1986, 2018 ALL RIGHTS RESERVED.
『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』:
(C)2019,2024 FromSoftware, Inc. All rights reserved. ACTIVISION is a trademark of Activision Publishing Inc. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.
『バレットウィッチ』:
(C)2018 Marvelous Inc. Licensed to and published by XSEED Games / Marvelous USA, Inc.
(臥待)
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