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新アニメ決定「ぴえろ魔法少女シリーズ」が一度「終わった」理由 なぜ後期は打ち切りが続いたのか

マグミクス / 2024年7月8日 19時35分

新アニメ決定「ぴえろ魔法少女シリーズ」が一度「終わった」理由 なぜ後期は打ち切りが続いたのか

■2024年『魔法の天使クリィミーマミ』40周年を記念し、最新作の制作が決定

『魔法の天使クリィミーマミ』から始まった、スタジオぴえろ「魔法少女シリーズ」の最新作の制作が発表されました。かつて女の子も男の子も夢中になった作品には、どんなものがあったのでしょうか。そして、人気があったシリーズであったにもかかわらず、継続せずに一度終わりを迎えてしまうことになってしまったのでしょう。

●第1弾『魔法の天使クリィミーマミ』

 2024年で40周年を迎えた『魔法の天使クリィミーマミ』は記念すべき「ぴえろ魔法少女シリーズ」の第1作です。主人公の「森沢優」は10歳の普通の女の子。いつも子供扱いして来る幼なじみの「大伴俊夫」に女の子として見てもらいたいと願っていた優は、ひょんなことから1年の期限付きで魔法の力を授かり、16歳くらいの美少女に変身できるようになったのです。

 芸能事務所にスカウトされた優は「マミ」としてデビューを果たし、アイドルスターとしてTV番組に引っ張りだこの大人気となります。小学生としての生活とアイドルとしての活動を一生懸命こなしつづけた優は、さまざまな出会いや経験を繰り返して成長し、俊夫との関係にも少しずつ変化が生じていきました。やがて迎えたラストステージは大雨に見舞われる最悪のコンディションながらもマミは立派にやりとげ、多くのファンの声に感動を残しステージを去ったのでした。

●第2弾『魔法の妖精ペルシャ』

第2弾『魔法の妖精ペルシャ』 (C)青沼貴子/集英社・ぴえろ

「ぴえろ魔法少女シリーズ」第2弾『魔法の妖精ペルシャ』は青沼貴子先生のマンガ『ペルシャがすき!』を原作としたアニメです。なお、原作には「魔法」の要素はありません。

 主人公の「速水ペルシャ」はアフリカで育った11歳の女の子。両親が待つ日本へ向かうことになったペルシャは、飛行機のなかで異世界「ラブリードリーム」に引き込まれ、ラブリードリームを救うために愛のエネルギーを集めて欲しいと頼まれます。

 頼みを聞く代わりにさまざまな職業のスペシャリストに変身する魔法を授かったペルシャは、さまざまなトラブルを解決しながら愛のエネルギーを集めて回ります。しかし自分の前任だった「プリンセスフェアリ」に起こった悲劇を知り、愛の力は万能ではないことも思い知らされたのでした。

●第3弾『魔法のスター マジカルエミ』

第3弾『魔法のスター マジカルエミ』 画像は「EMOTION the Best 魔法のスター マジカルエミ DVD-BOX1」(バンダイビジュアル)

 第3弾『魔法のスター マジカルエミ』はマジシャン志望の不器用な女の子「香月舞」が、魔法で天才マジシャン「マジカルエミ」に変身し、マジックと歌を駆使してアイドルとして活躍するお話です。前2作よりも物語の日常性が重視された作品であり、舞の内面や周囲との人間関係、心象風景を重視し、より深く突き詰められた作品性はいまなお高く評価されています。

 特に最終話近辺では舞の精神的な成長が描かれており、魔法に頼らずに自らの力でマジシャンになる夢をかなえようと、自分の意志で魔法を変換する決意を固めています。少女が精神的な大人になる姿を描いた、屈指の名シーンです。

■第4弾『パステルユーミ』から、風向きが変わってしまう?

●第4弾『魔法のアイドル パステルユーミ』

第4弾『魔法のアイドルパステルユーミ』 画像はDVD COLLECTION BOX(バンダイビジュアル)

 第4弾『魔法のアイドル パステルユーミ』は主人公の「花園ユーミ」が絵を現実化する魔法を駆使し、さまざまな問題を解決する物語が描かれました。前3作品は登場人物にフォーカスしたストーリーが描かれることが多く、時に魔法の必要がなくなることもあったため、魔法を軸にしたオーソドックスな魔法少女ものとしての性格が強い作品です。

しかしすでに魔法少女のブームは下火に差し掛かっており、ユーミの裸のシーンが多いなど少女向けアニメとしては必要ない描写もあってか、人気は低迷しました。25話で打ち切られています。 なお、『パステルユーミ』が放送された1986年は、ファミコンが大ブームを起こした時期でもありました。ファミコンに夢中になって『パステルユーミ』を見る機会を失った子供たちも多かったのかもしれません。

●第5弾『魔法のステージ ファンシーララ』

第5弾『魔法のステージ ファンシーララ』 画像は「EMOTION the Best 魔法のステージ ファンシーララ DVD-BOX」(バンダイビジュアル)

『魔法のステージ ファンシーララ』は『パステルユーミ』から12年を経て1998年に放送された「ぴえろ魔法少女シリーズ」の第5作です。なお、文具商品として展開された『魔法のデザイナーファッションララ』を原作として制作されたOVA『ハーバーライト物語』は発売当時第5作として宣伝されましたが、現在は正式に『ファンシーララ』が第5作となっています。

 主人公「篠原みほ」は、空想壁のある小学3年生の女の子。ある日、ひょんなことから魔法の力を手に入れたみほは、15歳くらいの女性に変身し、ファッションモデルにスカウトされてしまいます。「ファンシーララ」としてデビューしたみほは、下積みをこなして歌手としてもデビュー、意欲的に仕事に取り組むのでした。

 久々のぴえろの魔法少女アニメとして注目されましたが、視聴率は振るわず、全26話で終了を余儀なくされました。構想としては全52話分のストーリーが存在していたそうで、そのすべてが明かされることがなかったのは大変に残念です。

『ファンシーララ』による魔法少女アニメの復権がかなわなかった理由としては、バブル崩壊の影響が本格化した時期だった可能性が考えられます。前作までは玩具メーカーとタイアップしていましたが『ファンシーララ』では文具以外のグッズ展開はありませんでした。景気の低迷が『ファンシーララ』に打撃を与えたとしたら、時代が悪かったとしかいいようがありません。

(早川清一朗)

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