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「グフ」のヒートロッドってどう収納してんだアレ? アニメキャラの「武器収納」問題

マグミクス / 2024年7月11日 6時25分

「グフ」のヒートロッドってどう収納してんだアレ? アニメキャラの「武器収納」問題

■大量の武器を内蔵したスーパーロボット

 今や日本のアニメやマンガは成熟を迎え、大人の鑑賞にも耐えられるジャンルへと成長しました。しかし荒唐無稽な展開や、整合性よりも演出を重視したデザインが当たり前だった時代もあります。

 たとえばロボットアニメの黎明期には、「スーパーロボット」と呼ばれる巨大ロボットたちが活躍していました。彼らの多くは全身に無数の武器を内蔵し、縦横無尽に暴れまわります。

 スーパーロボットの始祖ともいえる「マジンガーZ」の場合、前腕にロケットパンチ、肘からドリルミサイル、腹部にミサイルパンチ、胸にブレストファイアー、目に光子力ビーム、耳に冷凍ビーム、口にルストハリケーンが内蔵されており、まさに全身武器の塊です。ヒロインの「弓さやか」の愛機「アフロダイA」も、明らかに胸部に収まりきらないサイズの巨大なミサイル(通称おっぱいミサイル)を発射していました。

 巨大ロボットが全身の武器を駆使して敵と戦うカタルシスが「そんな量がどこに入っていたの」という理屈よりも優先されていたといえるでしょう。この傾向は『マジンガーZ』だけでなく『超電磁ロボ コン・バトラーV』や『無敵鋼人ダイターン3』『無敵超人ザンボット3』など多くの作品に共通しています。

 2023年より各地で開催されている、日本の巨大ロボットのデザインと映像表現を検証した展示会『GIANT ROBOTS 日本の巨大ロボット群像』において、これらのロボットは「第三章 搭乗、強化、合体、変形、70年代巨大ロボットの想像力」として分類されています。巨大ロボットで想像可能なアイデアが試行錯誤されていた時代の産物だといえるでしょう。

●武器は外付けが主流に! リアルロボットの登場

 70年代の終わりには、巨大ロボットにリアリティを与えようとする、新たな試みがありました。その代表的な作品が1979年に放送された伝説的アニメ『機動戦士ガンダム』です。同作では骨太のストーリーとバランスを取るように、メカニックにもリアリティが追求されました。主役メカの「ガンダム」は「マジンガーZ」のようなスーパーロボットとは明らかにコンセプトが異なり、内蔵武器は頭部のバルカン砲だけです。

 しかし完全にリアリティ重視だったというわけではありません。「グフ」のヒートロッドやフィンガーバルカン、ガンダムのサポートメカである「Gアーマー」には、スーパーロボット的な演出重視の思想が見られます。

■熱心なファンは整合性を求める

忠実再現がウリのアイテムではないが…まぁ、リボンですな。「鬼滅の刃 DX日輪刀~甘露寺蜜璃~」(バンダイ) (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 ガンダムユニバースが広がり深みを増していくにつれて、ファンからは「過去に描かれた演出やメカニックに対する整合性」を求める声が聞こえるようになりました。前述したような、グフのフィンガーバルカンはどこに弾倉があるのか、長くて太いヒートロッドはどうやって収納していたのか、といった素朴な疑問です。

 このような流れに応えるかのように、1996年にOVA(オリジナルビデオアニメ)としてリリースされた『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』で、「グフ・カスタム」が登場します。

 グフの初登場から17年を経て、ヒートロッドは高圧電流を流し込むワイヤーになり、フィンガーバルカンは着脱式の3連装35mmガトリング砲へ変化しました。ミリタリー的なメカニックの整合性と演出的なかっこよさを両立したデザインが提示されたのです。

 その後も『重戦機エルガイム』で矛盾のない構造の関節を追求するなど、「ガンダム」を嚆矢(こうし)として巨大ロボットにリアリティを与えようとする試みは続いています。

 しかし、巨大ロボットがリアリティ一辺倒になることはありませんでした。超銀河サイズまで巨大化するメカが活躍した『天元突破グレンラガン』など、従来のリアリティ描写にとらわれない演出や設定を持つロボットが数多く登場し、人気を博しているからです。

 現在のロボットアニメは、リアリティの追求以外にも、軸を持つ作品が作られているといえるでしょう。

●ヒートロッドと甘露寺蜜璃の日輪刀

 リアリティに欠けるのでは、というツッコミのあったグフのヒートロッド、実は最近のアニメでも似たようなロマン武器が登場します。『鬼滅の刃』の「恋柱」、「甘露寺蜜璃(かんろじ みつり)」が操る新体操のリボンのような日輪刀です。

 蜜璃の日輪刀もまた、ヒートロッドと同様に収納方法に疑問がある武器です。しかし、作者自身が長い刀身を折り曲げて鞘に収納していると図解付きで回答をしたり、アニメ本編後のおまけ「大正コソコソ噂話」で蜜璃がそれを実演するも、主人公の炭治郎たちはまったく理解できなかったりと、すっかりネタ扱いです。超自然の剣技が炸裂する『鬼滅』の作品世界では、そういう刀があっても不思議ではないと、視聴者が受け入れているからでしょう。

 結局のところ、問題は作品のリアリティラインの一貫性にあるようです。グフのヒートロッドに突っ込みがあったのは、政治や親子の問題を扱ったり、軍隊の理不尽を描いたりするリアリティのある「ガンダム」の物語に対して、一部メカニックのファンタジー度が高すぎて視聴者に違和感が生じたためでしょう。

 作品世界のリアリティと演出の整合性さえ取れていれば、突っ込み自体が野暮なものとなり無効化されます。やはりエンターテイメントは面白さこそが最重要だといえるでしょう。

(レトロ@長谷部 耕平)

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