脱走した方が生き残れそう？ 『ガンダム』一年戦争時の「ボールより乗りたくない」MS

■自分が一年戦争時のパイロットだったら「どの機体が嫌」？

『ガンダム』好きであれば、一度くらいは「モビルスーツに乗ってみたい」と思ったことがあるはず。ビジュアルがカッコいい主人公機や、武装てんこ盛りの巨大モビルアーマーなどは、誰もが憧れるところではないでしょうか。

　では、もしも自分が一年戦争時のパイロットだったとしたら、逆に「一番乗りたくない機体」は何でしょうか。今回は、そうしたガンダムにまつわる妄想をテーマに真剣に考えてみました。

●連邦のボールよりも嫌かも？

「乗りたくない」という観点で、まず真っ先に思い浮かんだのが地球連邦軍のモビルポッド「ボール」ですが、よくよく考えたら、もっと嫌な機体がありました。それはOVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO -黙示録0079-』に登場したモビルポッドの「オッゴ」です。

　同機は「決戦兵器」の触れ込みでジオン公国軍により開発されましたが、実際に誕生したのはドラム缶のようなボディに、簡素なマニピュレーターと「ザク」の武装をくっつけただけのシンプルな機体です。要するに「決戦兵器」とは名ばかりで、一年戦争末期にジオン側のMS数不足を補うために開発されたモビルポッドでした。

　劇中で「機動性は、計算上はボールを上回っている」と説明されていたものの、そもそも一年戦争末期にロールアウトする新型決戦兵器の比較対象が、「ボール」の時点でかなり怪しいものがあります。

　しかもオッゴは急ごしらえなうえ、ろくに試験もされなかったせいか、出撃時に不具合も出ていました。そのあたりの事情まで踏まえると、連邦のボール以上に「乗りたくない機体」と言わざるを得ません……。

●到底乗りこなせると思えない実験機

　続いては『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場する「サイコ・ザク」で、正式名称は「リユース・サイコ・デバイス装備高機動型ザク」です。

　この「リユース・サイコ・デバイス」とは、パイロットの脳が発した信号を、義肢を通じてMSの駆動系に届ける技術のこと。これにより、まるで自分の手足を動かすようにMSを操ることが可能になります。

　誰にでも熟練兵以上の操縦ができるようになり、パイロット不足を補うための画期的な技術に見える一方、機体性能を100％フルに発揮するためには四肢すべてが義手、義足である必要があります。

　そのため『サンダーボルト』の作中では、パイロットの「ダリル・ローレンツ」が軍の命令で右腕を切断されるという、あまりにもショッキングなシーンがありました。

　サイコ・ザクが、いかに重武装かつ高機動を実現する機体とはいえ、ダリルのように葛藤しながらも現状を受けとめ、あそこまで巧みに乗りこなすのは不可能だと感じました。

●乗っているだけで命が危険？

　最後に触れたいのは、セガサターン用のゲーム『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』などに登場した、連邦軍の「ブルーディスティニー」や「イフリート改」です。これらの機体には「EXAM（エグザム）システム」と呼ばれる、特殊なオペレーションシステムが搭載されているのが特徴でした。

　オールドタイプがニュータイプを打倒するための補助システムとして開発され、システムが完全起動するとOSによる自立稼働も可能です。

　しかし、戦場で多数の人間の「殺意」をとらえるとシステムが暴走する危険性があり、そうなると敵味方関係なく無差別攻撃を行うという欠陥が存在します。さらにEXAMシステムによるパイロットへの負荷も極めて大きく、場合によっては過負荷に耐えられずに死亡する危険性もありました。

　ちなみに「EXAMシステム」から派生した「HADES（ハデス）」というOSを搭載したMSも存在します。『機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク』などに登場する「ペイルライダー」シリーズなどがそれに該当し、こちらの「HADES」もパイロットへの負担が大きく、薬品の投与や身体強化を行わないとOSの反応についていけないという難点があります。

　ほかにも一年戦争時の乗りたくない機体といえば、ほぼ片道切符のような使い方をされた突撃艇「パブリク」や「ジッコ」、見るからに脆弱で機体バランスも悪そうな「マゼラトップ」、空中分解事故を起こした欠陥機「ヅダ」などが思い浮かびます。

　皆さんが、もっとも乗りたくないと感じたのは、どのような機体でしょうか。

（大那イブキ）