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今も連載続く名作『キン肉マン』、80年代の「子供たち」はいかに熱狂したか

マグミクス / 2020年2月29日 7時10分

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■必殺技「キン肉バスター」を再現しようとした日々

 ゆでたまご先生によるマンガ『キン肉マン』は1979年に「週刊少年ジャンプ」で連載が始まり、1983年にTVアニメ化され社会的ブームを巻き起こしました。1987年にいったん連載が終了しますが2011年に再開し、現在も「週プレNEWS」で連載中。2020年3月4日(水)には、最新刊となるコミックス第70巻が発売されます。息の長い作品となった『キン肉マン』の魅力について、ライターの早川清一朗さんが語ります。

* * *

 筆者が初めて『キン肉マン』を知ったのは、日曜の午前に放送されていたTVアニメでした。 キン肉マンを始めとする数多くの魅力的な超人たちが織り成す戦いと友情の物語は、当時小学生だった筆者を熱狂させました。

 もちろん、熱狂していたのは筆者だけではありません。『キン肉マン』が放送された翌日、月曜日の学校の話題は『キン肉マン』一色。キン肉マンの必殺技「キン肉バスター」が登場した時期は、体が大きいクラスメイトがキン肉マン役となり、体重が軽い人間がかけられ役となって他のクラスメイトが周囲で支えて「キン肉バスター」を再現してみたことを今でもはっきりと覚えています。

 筆者は体が小さかったので、大抵「俺がやる!」とかけられ役を買って出ていました。今では確実にいじめ扱いになるでしょうから、やりたくてもなかなかできないでしょう。でも、あの頃の筆者やクラスメイトは、純粋に『キン肉マン』の世界に近づきたくて、「キン肉バスター」をやろうとしていたのです。とはいえバスターは難しかったので、一番かけたりかけられたりしていたのはキャメルクラッチだった記憶があります。

 アニメ日曜日の放送だったので、家に親がいるときはなかなか見せてもらえなかったのですが、そんなときはすぐに近所の同級生の家に行って一緒に観ていました。ビデオもDVDもインターネットもない昭和の時代には、こういうこともありました。それだけ『キン肉マン』を観たくてたまらなかったのです。

 また、駄菓子屋のガチャガチャの機械の中にぎっしり詰まった「キン消し」も欲しくてたまらないアイテムでした。少し小遣いに余裕があるときはガチャガチャに20円を押し込んでハンドルを回し、すでに持っている超人が出たときは持っていない友達と交換したりしていました。1983年から1987年までの「キン消し」の累計販売数は約1億8000万個となっており、当時の人気ぶりのすさまじさがうかがえます。

■「超人募集」に応募が殺到。読者と作者の近い距離感

『キン肉マン』を語るとき、絶対に外せないのが「週刊少年ジャンプ」誌上での超人デザイン募集です。『キン肉マン』を愛する読者たちがありったけの情熱を込めて描き上げ、送り出したはがきの中から採用された超人たちはかなりの数にのぼります。

 キン肉マンの盟友であるロビンマスクやラーメンマン、ウォーズマンとジェロニモも、読者のアイデアから採用されたというのは驚きです。ほかにも「7人の悪魔超人編」から登場したバッファローマン、スプリングマン、ステカセキング、アトランティス、ブラックホール、ミスター・カーメン、ザ・魔雲天もすべて募集からの採用ですし、「黄金のマスク編」に登場した悪魔六騎士のスニゲーター、プラネットマン、ジャンクマン、ザ・ニンジャ、アシュラマン、サンシャインもそうでした。

 また悪魔将軍やネプチューンマンは読者のアイデアをゆでたまご先生がブラッシュアップして採用するなど、読者と作者の距離がとても近かったことも、『キン肉マン』の熱気に大きな力を与えていました。『週刊少年ジャンプ』での連載が一時中断したことがあったのですが、中断のお知らせを見たときのショックの大きさは、今も記憶に残っています。

 そんな『キン肉マン』ですが、アニメは1986年に、連載は1987年にいったん終了してしまいます。後にゆでたまご先生は「連載終了時もジャンプ内でのアンケートで上位5位をキープしていたが、人気のあるうちに惜しまれて終了する」という美学のもと、連載終了を決断したと語っています。

 一度は終わりを迎えたかのように見えた『キン肉マン』ですが、1991年の『キン肉星王位争奪編』のアニメ化を挟み、1997年には次世代を描く『キン肉マンII世』の短期連載が始まり、すぐに本連載化されました。『II世』の連載が始まると、募集をかけていないのに、読者から次々と超人のアイデアが送られてきたそうです。時が過ぎても多くの人のなかに『キン肉マン』の熱気が宿り続けていたのでしょう。

 そうして2011年。ついに本編の連載が再開され、現在も連載が続いています。2019年には連載40年の節目を迎えながらも、今なお『キン肉マン』を愛する人たちの熱情は、衰えることなく燃え盛っているのです。

 M・U・S・C・L・E muscle!
 M・U・S・C・L・E muscle!
 3・2・1 Fire!

(早川清一朗)

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