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『鬼滅』なぜカラスの声優は豪華なのか? 「話題作り」だけじゃない重要な役割が

マグミクス / 2024年7月18日 21時25分

『鬼滅』なぜカラスの声優は豪華なのか? 「話題作り」だけじゃない重要な役割が

■「無限城編」で判明する豪華すぎる声優起用のわけ

 劇場版3部作となることが発表された「無限城編」の舞台となる「無限城」は、「鬼の始祖」である「鬼舞辻無惨」の本拠地であり、新たに「上弦の肆」になった「鳴女」が血鬼術によって空間を操っています。上下左右や重力を無視した、建物自体がまるで生き物のように姿を変える城内には、隊士たちと一緒に引き込まれる鎹鴉(かすがいがらす)たちも描かれていました。

「鎹鴉」とは最終選別に生き残った隊士一人ひとりに1羽ずつ支給される伝令役のカラスです。年齢や性別、性格はバラバラで、非常に個性的なカラスがそろっています。アニメでは、この鎹鴉のキャストがあまりに「豪華すぎる」と、鎹鴉の新キャストが発表されるたびに話題になっています。

 セリフが極めて少ないにもかかわらず、鎹鴉に豪華声優陣が起用されることについては、ネット上では驚きと良い意味を込めて、「声優の無駄遣い」とも言われています。なぜ、このような配役がされているのでしょう?

※この記事では、まだアニメ化されていないシーンの記述があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。

 たとえば、「竈門炭治郎」の鎹鴉である「天王寺松衛門」は、『Fate/Zero』の「ケイネス・エルメロイ・アーチボルト」役や、『ONE PIECE』の「カン十郎」などを演じる山崎たくみさんが務めています。

 また、「不死川玄弥」の鎹鴉である「榛(はしばみ)」は『ドラゴンボール』の「フリーザ」役などを演じる中尾隆聖さんですし、「我妻善逸」の「チュン太郎(本名:うこぎ)」は、『【推しの子】』の「黒川あかね」役をはじめ、『ウマ娘 プリティーダービー』の「ライスシャワー」役などを演じる石見舞菜香さんです。

「霞柱」の「時透無一郎」の鎹鴉である「銀子」は、『ゼロの使い魔』の「ルイズ」役、『灼眼のシャナ』の「シャナ」役、『銀魂』の「神楽」役などを演じる釘宮理恵さんが務めています。

 そして、「柱稽古編」の最終話「柱・終結」でも、「風柱」である「不死川実弥」の鎹鴉の「爽籟(そうらい)」を「ブラッド・ピット」の吹き替えや『機動戦士ガンダムZZ』の「マシュマー・セロ」役、『アンジェリーク』の炎の守護聖「オスカー」役などを演じている堀内賢雄さんが務めて話題になりました。

 このように鎹鴉に豪華な声優陣を起用する最大の理由は、「彼らでなくてはできない仕事があるから」に、ほかならないからでしょう。

「無限城編」では、柱たちを始め、炭治郎たちや一般隊士たちも含む総力戦による、まさに命をかけた厳しい戦いが待っています。「お館様」である「産屋敷耀哉」と妻の「あまね」、娘ふたり、そして、鬼の「珠世」が命とひきかえに無惨を弱体化させましたが、それも一時的なものでしかありません。無惨は、頸(くび)を斬っても死なないため、鬼殺隊は無惨を「夜明けまで」「日の差す場に拘束し続けなければならない」のです。

 そのように過酷な状況において、鎹鴉たちは鬼や隊士たちの位置や戦況を鬼や隊士たちの位置や戦況を「お館様」を継いだ「産屋敷輝利哉」や柱たちに伝えたり、逆に輝利哉からの指示を柱たちや隊士たちに伝えたりという、「情報の共有」「戦略」のために極めて重要な役を担います。死亡報告という悲しい任務や夜明けまでの時間告知なども鎹鴉が「声を使う仕事」です。

 鎹鴉は、ただの「人間の言葉が真似できるカラス」とは違います。彼らには個性があり、感情もあり、使命感も持ち合わせています。鎹鴉も一緒に戦う仲間なのです。だからこそ、彼らの怒りや悲しみ、焦り、絶望、苦悩、葛藤などをカラスの短いセリフでも表現できる「豪華声優陣」をそろえる必要があったのではないでしょうか?

「無限城編」では、鎹鴉たちの活躍にも注目が集まりそうです。

(山田晃子)

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