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未来の食事…? 絶望感漂う「ディストピア飯」が反響 「『エヴァ』シンジ君も食べてそう」

マグミクス / 2024年7月19日 17時25分

未来の食事…? 絶望感漂う「ディストピア飯」が反響 「『エヴァ』シンジ君も食べてそう」

■SF作品で見たことがあるようなディストピア飯

 ディストピア……それはユートピア(理想郷)の対義語であり、SFにおいては絶望的な近未来社会を描く作品に対してよく使われます。「夜麻野カノン」さんが(X:旧Twitter)に投稿した手作りのディストピア飯「C級ランチ」の投稿が反響を集め、現在までに約19万いいねを獲得しています。

 ゼリー状やペースト状の食品に加え、透明のウォーターパックや錠剤など、トレイ上の無機質な品々が、ディストピア飯を体現しています。

 投稿には「お金に少し余裕ができたので今日のランチは奮発してC級にしました!私の週給500Λなんだけど、こんなに沢山食べられて3800Λなのは絶対申請する価値ある!」というコメントが添えてあり、ディストピアの世界観を強く連想させる設定も反響を集めた要因でしょう。夜麻野カノンさんに制作秘話を聞きました。

――今回投稿したディストピア飯は、オリジナルの作品なのでしょうか? あるいは元ネタや着想を得た作品があるのでしょうか。

 もともと、ディストピア飯というジャンルのようなものがありまして、SF作品などによく登場する食事体系です。管理された階級社会、限られた資源、発展した科学……これらの環境が「必要最小限で効率的に高い栄養を摂取できる食品」を生み出しました。

 下層階級の労働者には、労働するための栄養が摂れればOK、味や見た目は知らん、みたいな、食べ物かどうかも怪しいものが配給されます。一方で、裕福な上層階級は加工前のほぼ天然食材を使った食事らしい食事をしている、というのが、ディストピア飯界隈のふわっとした共通認識になっているみたいですね。

 今回作ったプレートには明確な元ネタとなる作品はありませんが、コメントや引用リポストにもある通り、『新世紀エヴァンゲリオン』や『2001年宇宙の旅』などに登場するペースト食をはじめとしたさまざまな作品のディストピア飯をモデルとしています。いくつものディストピア飯の要素を合わせ、「私が作るとしたらこういうメニューにしたい」というザックリとしたイメージを合わせた結果、あのC級ランチになりました。

――通貨単位として「Λ」という記号が使われています。

 通貨記号に「Λ」を使ったのは、「既存の通貨単位に使われておらず、文字が簡単で、通貨記号として使用しても比較的違和感がなく、アルファベット以外のもの」という条件でさまざまな記号を探した結果、最終的にΛになりました。最初はドルやセントのような感じで、αやβを使おうとか、貝殻を表すShellを使おうとか色々思いましたが、文章がややこしくごちゃごちゃになりそうだったので1文字だけにしました。

――手慣れている印象を受けましたが、これまでにディストピア飯を作ったことがあるのでしょうか。

 今回初めて作りました! 昔からディストピア飯に興味があり「自分も一度作ってみたいけど。プレートとか材料とかお小遣い的にもハードル高いなぁ……」と思っていましたが、それが実現できてうれしかったです。

――今回のディストピア飯には、何か世界観があるのでしょうか?

 あえて世界観の明確な設定は決めず、「通貨がΛ、週給制、等級制のメニュー、ほとんどど固形物の無い食事が普通、コレが2か月分の給料を使ってでも食べたい贅沢な食事、透明な水が付いている」ということだけが分かる内容にしました。

 そこに多くの方が「ウチの飯はこれなんだよね……」「こっちの地区じゃ……」といったコメントをして下さったので、その内容をどんどん設定に組み込みました。それぞれがバラバラな設定でも、最終的に何となくひとつの決まった世界観、設定になるように返信をさせていただきました。

 大元のポストで明確な設定を設けないことにより、それを読んだ各々が解釈して独自の設定を考え、どんどんストーリーを広げることができる。私ひとりではなく、読んで下さった方々と一緒に「ロールプレイ」ができてとても楽しかったです。

 元ポストとコメント欄を一緒に読み、読んだ人がそれぞれ「そういう世界なんだなぁ……」と自由に解釈していただけたらうれしいですね。

――実際にどのように作られたのでしょうか?

 カルディのお湯で戻すタイプのマッシュポテトがベースになっています。お湯と粉を混ぜるだけで簡単に作れて、お湯の割合で塊だったり、しゃっぱしゃぱだったりと、粘度を自由に調整できます。

 出来上がったマッシュポテトは他の野菜が入っておらず、純粋なポテトのペーストになるのでディストピア飯の強い味方だと思います。緑色のものは、このマッシュポテトに同じくカルディで購入した大葉ジェノベーゼを、これでもかというほど入れたものです

 赤色のものは、同じマッシュポテトに、ケチャップ、コチュジャン、チリパウダーを加えたものになります。濃いめのチリトマトの味になって美味しかったです。もしもパプリカパウダーを入れたらもっと赤くなったと思います。

 四角いクッキーは、市販のカロリーメイトに似た食品で、生地に何かしらの粒々が入っていないものを選びました。錠剤は、龍角散タブレットとモモ味の大粒ミンティアです。肉っぽい何かは、スパッと切って整えたスパムです。パックの水は水道水です。パック本体は、Amazonストアで購入したドリンク用パウチに自作のラベルを貼り付けたものですね。

■気になる上流階級の食事は?

「夜麻野カノン」さん(X:@Yamano_Kanon)が作ったディストピア飯「C級ランチ」/画像提供:「夜麻野カノン」さん(X:@Yamano_Kanon)

――作る上で大変だったこと、工夫したことはありますか?

 大変だったのは、パックのラベル印刷時、家のプリンターとスマートフォンの無線接続がなかなかできなかったことですね。最悪手書きも考えましたが、なんかガチャガチャしていたら、接続できたので無事印刷できました。

 工夫したことは、ペーストを盛り付ける時にプレートの仕切りにペーストが付かないように、なるべく平らに無機質に、でも逆に錠剤などはバラバラと不規則に、という感じにしたことですね。おかげで「このペースト食べても大丈夫なやつ? そもそもこれ食べ物?」みたいな感想を多くの方からいただきました。

――今回は「C級ランチ」でしたが、他のランクだとどういった食事になるのでしょうか?

 いろいろな方の設定を踏まえて、こういう設定を作ってみました。基本的に野菜自体が貴重なため、「可食部や栄養素を効率的に、全て無駄なく摂取できる、さまざまな合成栄養添加物を加えて混ぜたペースト状のベジタブル」が下層階級の人びとの間では一般的になっています

 なので、生の野菜を食べるということがある種の娯楽や嗜好品、憧れのような感じになっています。逆に、「なんでそんな効率の悪い食べ方しているの?」と思う市民もいるようです。肉もその例に漏れず、下層階級ではペースト状、上層階級では固形のものが食べられています。ただ、タンパク質や添加物を合成した培養肉なので、何の肉なのかは不明です。

 野菜や肉はファクトリーで製造されています。水も貴重な資源ですね。限りある水を循環せねばならないので、非常にさまざまな処理を施して飲み水にしています。上層階級では高度な処理を施しているので「透明の水」です。下層階級になるほど処理レベルは下がり、「ちょっと白っぽい水」「薄い黄色っぽい水」「茶色がかった水」などになります。薬品っぽくておいしくはないみたいです。

 ただ、これらは水が汚れているのではなく、処理に使用される薬品由来であると思われるので、飲んでも直ちに害が出るものでは多分ないです。ちょっと濁っている水が一般的である下層階級の人びとの間では、「水を飲めるようにするには薬品で処理する→処理してあるから濁っている→透明な水? どんな薬品や工程で処理して水を透明にしてるか分らないので何かヤバそう」と思う人もいるようです。

 その他は、足りない栄養素を補う錠剤や、必要な栄養素を練り込んだパサパサのミールブロック、ミールブロックをドロドロにしたミールペースト、栄養素を溶かしただけのミールスープなどがあります。

(乃木章)

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