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上上下下左右左右BA…「コナミコマンド」生みの親、故・橋本和久氏が遺した名作

マグミクス / 2020年3月3日 7時10分

上上下下左右左右BA…「コナミコマンド」生みの親、故・橋本和久氏が遺した名作

■最も有名な裏技だった「コナミコマンド」

 2020年2月25日、「上上下下左右左右BA」こと「コナミコマンド」の生みの親であるゲームプログラマーの橋本和久氏が亡くなりました。61歳でした。ファミコン版『グラディウス』に橋本氏が実装した「コナミコマンド」はその後多くのゲームにも取り入れられ、裏技の代名詞となりました。『グラディウス』以外にも『がんばれゴエモン2』『魂斗羅』『ときめきメモリアル』など、橋本氏が関わったゲームをプレイし続けてきたライターの早川清一朗さんが、追悼の想いを語ります。

* * *

 ファミコン版『グラディウス』が発売されてから、間もなく34年が経とうとしています。当時、ファミコンにはまっていた子供たちの間ではバグや隠しコマンドを利用した現象が「裏技」と呼ばれ、もてはやされており、世のなかに登場したばかりのファミコン誌の数々は読者獲得のために、毎号のように裏技特集を掲載していました。

 裏技と言っても内容はさまざまで、少し変わった現象が起こるだけのものも多かったのですが、「コナミコマンド」は極めて実用性が高いものでした。

『グラディウス』は敵を倒してカプセルを集め、順々にパワーアップしていくタイプのシューティングゲーム。難易度が高い場所でやられてしまうと、カプセルを集める前に敵の猛攻を受け、いくら残機が残っていても、すぐに全滅してしまうことも多かったのです。

 まだ、家庭用ゲーム機が一般家庭に普及してそれほど時間も経っておらず、攻略法をインターネットで検索することなど夢物語だった時代です。筆者が初めて『グラディウス』をプレイした時、「よく分からない内にやられてしまった」という記憶があります。プレイを重ねるに従い、少しずつゲームにも慣れパワーアップの概念を理解していきましたが、それでもやられてしまうと復活はとても大変でした。

 ノーマルのビックバイパーで押し寄せる敵の大群に立ち向かうにはかなりの技量が必要です。そんなものをもたない小学生にとって、「コナミコマンド」はとてもありがたいものでした。ポーズボタンを押し、上上下下左右左右BAと入力して、オプションが出現すれば成功です。本当にどれだけ助けられ、どれほど楽しませてくれたことか。

■もともとはデバッグ用のコマンドだった!

橋本氏がプロデューサーとして名を連ねるプレイステーション用ソフト『ときめきメモリアル forever with you』(コナミデジタルエンタテインメント)

 この「コナミコマンド」はもともと、デバッグコマンドとして組み込まれたものでした。 アーケード (業務用) 版『グラディウス』をファミコンへと移植する際、難易度の高さに苦戦しているスタッフがいるのを見た橋本氏が、簡単にパワーアップできるコマンドを組み込んでくれたのです。

 コマンドは製品版『グラディウス』にそのまま残され、シューティングゲームに不慣れな子供たちを救いました。またコマンドの語呂もよく覚えやすかったため、いつしか「コナミコマンド」と呼ばれるようになり、ゲーム世界の常識ともなったのです。今では橋本氏の優しさが生みだした「コナミコマンド」は世界を超え、『ギネス世界記録』に「もっともよく知られている隠しコマンド」として登録されています。

 橋本氏の業績ですが、もちろん『グラディウス』や「コナミコマンド」だけではありません。 ファミコン版『がんばれゴエモン2』や『魂斗羅』でもプログラマーとして腕を振るっており、PCエンジン版『ときめきメモリアル』ではプロデューサーとして名を連ねています。

 また、海外では1990年に発売されたファミコン版『T.M.N.T.』(ティーンエイジ.ミュータント.ニンジャ.タートルズ)に実装されていた「コナミコマンド」が有名なようで、橋本氏の逝去を惜しむ声が世界各地から寄せられています。

 ゲームの歴史において、おそらく二度と「コナミコマンド」のような皆に必要とされ、愛され、記憶される存在は現れないでしょう。実装の当事者である橋本氏自身、おそらくここまで大きく広がるとは思っていなかったでしょうが、それでも多くのゲームに隠しコマンドとして実装され、驚きと喜び、そして快適さをもたらす存在として、ゲームの世界に確固たるポジションを獲得しています。

 筆者も子供のころは、コナミのゲームだけではなく、他の会社のタイトルでもことあるごとに「コナミコマンド」を入力して、何かが起きないか期待していたことがあります。大半は何も起きなかったのですが、たまに成功して何かが起こると、とてもうれしかったのを覚えています。

 素敵な思い出をありがとうございました。

(早川清一朗)

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