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『ウルトラマン』バルタン星人は優遇され過ぎ? 最多出演のほか「幻の企画」も

マグミクス / 2024年7月24日 8時25分

『ウルトラマン』バルタン星人は優遇され過ぎ? 最多出演のほか「幻の企画」も

■バルタン星人が子供たちに愛されるようになったワケ

 今も昔も「ウルトラマン」のライバルといって思い出す怪獣といえば、「バルタン星人」と答える人が一番多いのではないでしょうか。それほどみんなから愛されているウルトラ怪獣です。その魅力について紐解いていきましょう。

 バルタン星人は、1966年7月24日放送の『ウルトラマン』第2話「侵略者を撃て」で初めて登場しました。今年(2024年)で初登場から58年となります。セミを思わせる顔と特徴的な大きなハサミ、怪奇性だけでなく愛せるユーモラスな部分が共存する稀有なデザインといえるでしょう。

 このバルタン星人をデザインしたのが成田亨さん。ウルトラマンをはじめ、第1期ウルトラシリーズの怪獣たちのほとんどをデザインした人です。このバルタン星人のデザインは、『ウルトラQ』第16話「ガラモンの逆襲」に登場した「セミ人間」に、「ツノとハサミをつける」よう注文されました。

 そのため、着ぐるみ自体もセミ人間の改造といわれています。ところが近年、造形担当者から「改造ではない」という証言もあり、現在では真相が明らかになっていません。もっともバルタン星人のデザインが、セミ人間をベースにしたことは前述したように確かです。

 バルタン星人最大のチャームポイントといえば、やはりこのハサミでしょうか。『ウルトラマン』を観て育った人であれば、子供時代に両手をチョキにして上下に振り「フォッフォフォ…」と笑うバルタン星人のマネをした経験があると思います。この簡単にマネができるポイントがある点が、バルタン星人の人気の秘密でしょう。

 ちなみにこの独特のポーズには、とある「大人の事情」が隠されていました。バルタン星人の生みの親ともいえる第2話の脚本と監督を務めた飯島敏宏さんによると、「腕を下げるとハサミが重いから大変。そこで腕を上げて立てると楽だった」とのことです。

 さらにバルタン星人といえば、この特徴的な笑い声も印象的でしょうか。その元祖は東宝映画『マタンゴ』に登場するキノコ人間「マタンゴ」がベースです。この声は『ウルトラQ』に登場する「ケムール人」や「悪魔ッ子リリー」にも流用されていました。もっともバルタン星人に使われてから、その印象が強くなったのか流用されていません。

 もともと怪奇的なイメージが強かったバルタン星人は、TVに先駆けてマンガ雑誌「週刊少年マガジン」で連載されていたコミカライズ版では、映像以上に不気味な存在として描かれていました。

 このコミカライズ版では人間の肉体に寄生するゾンビのようなバルタン星人の姿が描かれています。当時はまだ特撮ヒーロー作品が黎明期で、妖怪的なホラー要素が先行したからなのでしょう。このコミカライズ版を担当した漫画家が、ホラーマンガの第一人者である楳図かずお先生だったことも大きな要因でした。

 思えば初登場回の演出も怪奇要素が強く、命の意味も知らない人間とのコミュニケーションも希薄な怪物として描かれています。このバルタン星人が愛される存在となったのは、やはりその後の活躍があったからではないでしょうか。

■地球侵略に固執するあまり「地球通」になったバルタン星人

初代『ウルトラマン』をはじめ、数々のシリーズ作に登場して人気を集めているバルタン星人。画像は「S.H.フィギュアーツ ウルトラマン バルタン星人」(BANDAI SPIRITS)

 バルタン星人という名前の由来にはふたつの説がありました。フランスの歌手「シルヴィ・ヴァルタン」から取ったという説と、「ヨーロッパの火薬庫」といわれたバルカン半島から取られたという説です。これに関して飯島さんのコメントも一定しておらず、ダブルミーニングだった可能性が最有力でしょうか。

 第2話のタイトルで「侵略者」とありますが、もともとバルタン星人は侵略目的で地球に来たわけではありません。母星が核実験で滅んだ結果、難民となった一団が乗っていた宇宙船の修理に立ち寄っただけでした。

 しかし自分たちが住むのに地球が最適な星とわかり、侵略者に変貌します。その結果、多くのバルタン星人は宇宙船ごと、ウルトラマンによって倒されることとなりました。もっとも、この時に生き残ったバルタン星人は、R惑星へと移住します。この生き残りが、第16話「科特隊宇宙へ」に登場した「バルタン星人(二代目)」でした。

 さらに第33話「禁じられた言葉」では、メフィラス星人の手下として「バルタン星人(三代目)」が登場します。ウルトラマンと戦うことはなかったものの、この登場で『ウルトラマン』最多登場怪獣の名誉を得ることになりました。

 この最多出演という勲章が、その後のバルタン星人の活躍につながったといえるかもしれません。しかし、実はバルタン星人には他にも登場機会がありました。

 それが幻の劇場用企画「ジャイアント作戦」です。『ウルトラマン』放送中に上映予定だった映画で、この作品にもバルタン星人の登場予定がありました。他の登場怪獣はすべて新作予定だったそうで、ここでも別格ぶりがうかがえます。

 この他にも『ウルトラセブン』でバルタン星人の登場予定がありました。それが幻の未発表作品のひとつ「宇宙人15+怪獣35」です。バルタン星人が他の宇宙人と手を組んで宇宙連合軍を結成、冒頭でウルトラセブンを襲ってモロボシ・ダンに重傷を負わせるという展開でした。

 幻の企画を振り返ってみると、いかにバルタン星人が第1期ウルトラシリーズで優遇されていたかがわかります。この後、ウルトラ空白期を盛り上げた『ウルトラファイト』の新撮部分にも何度か登場、セブンとの戦いを繰り広げることになりました。ここでは宇宙人も怪獣の扱いで、「バルタン」と星人抜きで呼ばれています。

 その第158話「激闘!三里の浜」では、ハサミではなく人間の手のような姿のレアなバルタンが登場しました。その手には角材のようなものを持ち、セブンと戦っています。この角材持ちのバルタンは、2014年発売の「ガシャポン HG外伝 ウルトラファイト」のシークレット枠で立体化されました。

 この後『レッドマン』にも登場したほか、『帰ってきたウルトラマン』第41話「バルタン星人Jrの復讐」では「バルタン星人Jr」が姿を現しています。この時に有名な捨てゼリフ「勝負はまだ一回の表だ」を残しました。初代に比べると、地球の文化にも精通していることがわかります。

 その後の『ウルトラマン80』でも「お釈迦様でもご存知あるめえ!」といったセリフを口にしていました。侵略に固執することで、バルタン星人は地球文明を愛するようになったのかもしれません。

 そんなバルタン星人も、昭和の時代は頻繁に侵略目的で地球に来ていたのに、最近ではトンとご無沙汰しています。バラエティ番組やCMだけでなく、令和のウルトラシリーズにも懲りずに登場してほしいと思うのは筆者だけでしょうか?

(加々美利治)

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