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こんなん無理ぃ…『ドラクエ2』が全国の勇者を泣かせた理由 ボツになった「サマル刺し違えエンド」

マグミクス / 2024年8月4日 21時55分

こんなん無理ぃ…『ドラクエ2』が全国の勇者を泣かせた理由 ボツになった「サマル刺し違えエンド」

■鬼畜難易度になったのは想定外?

「ドラゴンクエスト」シリーズのなかでも屈指の難易度を誇るのが、ファミコン版『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(以下、ドラクエ2)です。例えば「フィールド上で遭遇する敵キャラが強い」「『ロンダルキアへの洞窟』の無限ループするワナと凶悪モンスターが厄介すぎる」などが挙げられ、当時、途中で挫折したプレイヤーも少なくないでしょう。なぜ『ドラクエ2』は、ここまで難しくなったのでしょうか。

「ドラクエ」シリーズの生みの親として知られる堀井雄二氏は、これまでにさまざまな媒体や書籍で『ドラクエ2』に関するコメントを残しています。例を挙げると、『ドラゴンクエスト』25周年を記念して2011年10月に発売された書籍『ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書』(スクウェア・エニックス)には、堀井氏による『ドラクエ2』の思い出がつづられています。

 堀井氏は『ドラクエ2』から採用されたパーティープレイについて触れ、「いきなり3人のキャラクターを操作するのは、やはりちょっと敷居が高いと思ったので、仲間がひとりずつ増えていくようなストーリーの導線を敷いたんです」「サマルトリアの王子の『いやー、さがしましたよ』というセリフには、当時多くのプレイヤーが『探したのはこっちだよ!』と突っこんだんじゃないかな」と振り返っていました。

 また、2024年7月に発売された『ファミコン四十年生』(小学館)にも、堀井氏のインタビューが掲載されており、ファミコンや自身が携わったソフトについて言及しています。そのなかでインタビュアーが難しすぎると評判の『ドラクエ2』について質問したところ、堀井氏は「鬼畜難易度」になった理由を語っています。

 堀井氏によれば、とにかく開発にかける時間がなかったとのことで、テストしたのはゲームの最初と最後のみで、中間はユーザーがレベルを上げて調整してくれるだろう、というスケジュールであったといいます。

 初代『ドラゴンクエスト』が発売されたのは1986年5月で、『ドラクエ2』はそれからから8か月後の1987年1月に発売されています。確かにイチから開発したと考えれば、相当タイトな時間のなかでの制作だったことがうかがえます。

 また、「鬼畜難易度」と呼ばれるゲーム性は、ゲームバランスが調整しきれていないともいえます。しかし、その難しさが売り上げに悪影響を与えたのかといえば、決してそうではありません。ファミコン版の「ドラクエ」シリーズの国内販売数ランキングを見ると、『ドラクエ2』は1000タイトル以上あるファミコンソフトのなかで7位に位置し、約240万本も売り上げています。

■当時の子供たちにとって「難しいこと」が大切だった

ファミコン版『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』タイトル画面(エニックス)

『ドラクエ2』が結果的にヒット作となった理由は、簡単にクリアできない難易度にもあったようです。堀井氏は同誌で「そのキツさが逆に子どもたちには良かったみたいで、難しいから面白いという反応があったんです」「1本でどれだけ長く遊べるかが重要で、難しいとそれだけ長く遊べるわけです」「クリアしたあとの感動が凄かったって言われました」と語っています。

 開発時間が極端に少なかった結果、難易度が上がって、それがプレイヤーの満足度につながったという流れは興味深いものがあります。また、たった半年の開発期間でも、いくつかのボツ案があったそうです。

 有名な話でいえば、MSX、MSX2版の『ドラクエ2』で初登場した「あぶないみずぎ(危ない水着)」は、ファミコン版でも導入される予定でしたが、実装されませんでした。

 ほかにも、『甦る 伝説のRPG大全 Vol.2』(メディアパル)によれば、サマルトリアの王子を気に入っていた堀井氏は、「王子がラスボスと刺し違えて倒し、エンディングで王子の妹が主人公を兄の仇として刺し殺す」という案を考えたとのこと。さらには王子がラスボス討伐後、世界征服を企む「竜王」のひ孫と対決するという案もあったそうで、ご存じの通り、どちらも採用されることはありませんでした。

 ソフトが発売されてから時が経ち、節目をきっかけに開発経緯を知れるのはプレイヤーにとってありがたいことです。屈指の難易度を誇るファミコン版の『ドラクエ2』は、いつまでも語り草となって当時の勇者たちの心のなかに残り続けるでしょう。

ファミリーコンピュータ版『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』:
(C)1987 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

(LUIS FIELD)

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