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58年前『ウルトラマン』3話「科特隊出撃せよ」が放送 初めて「カラータイマー」が光るピンチが描かれる

マグミクス / 2024年7月31日 6時55分

58年前『ウルトラマン』3話「科特隊出撃せよ」が放送 初めて「カラータイマー」が光るピンチが描かれる

■「カラータイマー」が果たした役割

 今から58年前の1966年7月31日、『ウルトラマン』第3話「科特隊出撃せよ」が放送されました。『シン・ウルトラマン』にも登場した怪獣ネロンガが登場するエピソードです。

 この回はネロンガの造形、緻密な発電所のセット、遊び心の強いアクション、アラシ隊員のタフネスぶりと、ファンの間でさまざまな角度から語られてきましたが、本稿ではタイムリミットを報せる「カラータイマー」に着目します。何せこの第3話こそ、今や「ウルトラシリーズ」にとって欠かせないものとなったカラータイマーを子供たちに初めてきちんと説明したエピソードなのですから。

 前2話はどうだったのでしょう。第1話「ウルトラ作戦第一号」ではベムラーとの戦いの最中、ウルトラマンのカラータイマーが赤く点滅します。とはいえ、この時点ではまだウルトラマンが何者かもよくわかっていません。したがって科学特捜隊の隊員たちは、その点滅理由を推測するほかありません。「危険信号でしょう。赤ランプは万国共通ですからね」「だんだんチカチカが速くなってきた!」「エネルギーが切れるみたいですね」……と間接的ではありますが、カラータイマーとその点滅が示す意味を子供らに教えてくれたのでした。続く第2話「侵略者を撃て」(バルタン星人登場)では「スペシウム光線」という名称が決定しますが、カラータイマーは点滅しません。

 そして第3話、ネロンガとの取っ組み合い中、カラータイマーが再び点滅すると石坂浩二さんによる次のナレーションが流れるのです。

「ウルトラマンを支える太陽エネルギーは、地球上では急激に消耗する。太陽エネルギーが残り少なくなるとカラータイマーが点滅を始める。そしてもしカラータイマーが消えてしまったらウルトラマンは二度と再び、立ち上がる力を失ってしまうのである。ウルトラマン頑張れ! 残された時間はもうわずかなのだ……。」

 このナレーションは強烈です。ウルトラマンは単に最強なのではなく、自らを犠牲にして「ぼくらのため」に戦ってくれていることを明らかにしてくれたのでした。ナレーションに促されずとも、自然と「ウルトラマン頑張れ!」と応援してしまいます。

 空想科学の世界と、お茶の間の子供達を結びつける役割を担ってくれたのがこの「カラータイマー」でした。

■活動時間が「3分間」と劇中で明言されたのはいつ?

『シン・ウルトラマン』では、成田亨さんのコンセプトを再現するため、カラータイマー無しのデザインとなった。画像は「メガライトヒーローズ ウルトラマン(シン・ウルトラマン)」(バンダイ)(C)2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C)円谷プロ

 ところで、ウルトラマンの活動時間が3分間であることは令和の子供たちすら知っている設定ですが、上記ナレーションにそのような説明はありません。実はこの「ウルトラマンの活動時間は3分間」という設定は『ウルトラマン』の劇中には登場しません。TBSの広報資料や少年雑誌に記載された情報が子供らの間で広く共有されていたのです(活動時間が3分間と明言されるのは『帰ってきたウルトラマン』第1話が最初)。

 ちなみに『ウルトラマン』にカラータイマーが導入された理由に関しては複数挙げられています。番組予算を管理するためお金のかかる特撮シーンに時間制限を設けるため、またウルトラマンに時間的制約を設けてドラマを盛り上げるため、などいずれにせよ『ウルトラマン』という番組制作においても重要な役割を担っていたことがわかります。

 さて、ウルトラマンをデザインされた彫刻家の成田亨さんがカラータイマーの導入には強い抵抗感を示していたことはファンの間ではよく知られています。実際、ウルトラマンの変身カット(いわゆるぐんぐんカット)ではカラータイマーが付いていません。ここからもカラータイマーが急遽、盛り込まれたことがうかがえます。

 成田亨さんの想いは心に刻みつつ、結果としてこの「カラータイマー」は『ウルトラマン』というドラマに欠かせないものとなりました。最終回の第39話「さらばウルトラマン」ではとうとう恐れていた事態が発生します。宇宙恐竜ゼットンが、ウルトラマンが放つ必殺技をことごとく跳ね返し、ついにはカラータイマーを破壊してしまったのです。この時の子供らの絶望感は科学特捜隊の隊員たちと完全にシンクロ。虚構と現実を超越した一体感を生んだのでした。

 ここまで「カラータイマー」が果たしてくれた役割を解説してきましたが、最後にもっとも実用的なものを。カラータイマーは保護者にとっても極めて重要な役割を果たしてくれるものでもありました。ご存じのように、子供というものは気づけばウルトラマンに変身しており、勝手に戦いを挑んでくる習性を持ちます。

 ところが保護者は怪獣と違い、爆発できません。そうなると、戦いには終わりがないのです。その格闘に終止符を打ってくれるのがカラータイマーという設定で「ほら、点滅しているよ」という指摘は実に有効的でした。

 ピンチを知らせるカラータイマーは番組予算、ドラマ構成、そして保護者の体力、あらゆるピンチを救ってくれてもいたのです。

(片野)

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