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『ガンダム』のビーム兵器は実現可能? 現段階でどの程度「実用化」されているのか

マグミクス / 2024年8月5日 6時35分

『ガンダム』のビーム兵器は実現可能? 現段階でどの程度「実用化」されているのか

■「ビームライフル」まであと何世紀?

「機動戦士ガンダム」シリーズにおいて、ビーム兵器はメカニックデザインに華を添え、戦闘シーンを圧倒的なスケールで彩ります。「ビームライフル」「メガ粒子砲」「ビームサーベル」……作品に登場する数々のビーム兵器は、観る者を魅了してきました。

 ガンダム世界のビーム兵器は、「ミノフスキー粒子」と呼ばれる架空の物質を用いた「メガ粒子砲」が基本であるとされています。具体的な技術は不明ながらも、ミノフスキー粒子を集束、加速し、それをビームとして放射する仕組みだそうです。まさに、現代科学技術レベルでは実現不可能なビーム兵器の存在を説明するために考案された設定、といえるでしょう。

「ガンダム」シリーズに限らず、SF作品におけるビーム兵器は、さまざまなカタチで描かれてきました。共通するのは、光速(1秒で地球を7周半)ないしそれに近い速度で発射され、高い威力と精度を持つという点です。しかし、これらの兵器は果たして現実世界で実現可能なのでしょうか。

 現実世界では、ビーム兵器の実現は極めて困難であり、SF作品のような万能兵器とは程遠い状況にあります。現時点で実現しているビーム兵器の多くは「レーザー」または「マイクロ波」と呼ばれるものです。

 どちらも物質ではなく光の一種であり、小さい断面積に収束した細い線(ビーム)として照射するものです。電熱ストーブの発するエネルギーを使用するものが「レーザー」であり、電子レンジの発するエネルギーを使用するものが「マイクロ波」です。

■2024年時点における「ビーム兵器」の現状は

イギリス軍のレーザー兵器「ドラゴンファイア」。2024年3月にはドローンを撃墜する動画が公開された (画像:イギリス国防省)

 こんにち存在するレーザー兵器は、主に「赤外線レーザー」と呼ばれるものです。赤外線レーザーは目に見えない光であり、熱エネルギーとして物体を熱して焼き切ります。光速という圧倒的な速さのため、適切に照準さえすれば命中するという特性がありますが、標的を温めなくてはならないという特性上、できるだけ長い時間、継続して照射する必要があるものです。

 射程距離が長くなるほど威力が激減してしまうという弱点もあり、具体的には距離の2乗に反比例します。すなわち、10kmの距離で受ける面積あたりのエネルギーは、1kmの距離で受ける場合のわずか100分の1になってしまうのです。また、大気の状態にも影響され、特に雲などにおいては著しくエネルギーを奪われてしまいます。

 実用的な出力は10キロワット程度、これは数百mの距離で小型ドローンを焼き落とせるのがせいぜいといった威力です。航空機搭載用など大型、高性能な100キロワットクラスのレーザー兵器も将来的な実用化を目指し開発されてはいるものの、それらはまだコンセプト段階のものばかりで、実用レベルに達しているものはほとんどありません。

 一方、マイクロ波を用いるビームは、やはり距離の2乗に反比例し減衰するので長距離での照射には向かない欠点はありますが、大気に影響を受けないというメリットがあります。

 いずれにせよ実在するビーム兵器は、それらを使用するよりも、何かを破壊するならば運動エネルギーを直接ぶつける弾丸や、爆発をともなう爆弾を使ったほうがはるかに効率的で、莫大かつ致命的な一撃を瞬間的に与えられると考えられます。また、何かを焼きたいならば可燃性物質をかけて火をつけるだけという、太古から存在するやり方を継承する「焼夷弾」の方が簡単かつ確実です。

 このように、現実世界においてのビーム兵器は実用的とはいえない水準であり、まだ第一歩を踏み出したばかりであるといえるでしょう。

 今後、科学技術の発展により、より強力で実用的な兵器が開発される可能性はありますが、旧来の弾丸やミサイルを完全にビームで置き換えることは、現実的とはいえない状況です。ビーム兵器を意義あるものとするには、まだまだ長い時間を必要とする見込みです。

(関賢太郎)

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