原作と違ってトラウマ級? 旧アニメ『ぬ~べ~』の「後味悪すぎ」最終回
マグミクス / 2024年8月10日 20時25分
■朝起きると大人になっていた郷子
2024年7月21日、1993年から1999年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された人気マンガ『地獄先生ぬ~べ~』(原作:真倉翔/作画:岡野剛)の新アニメ化が発表され、大きな話題を呼びました。SNS上では『ぬ~べ~』を懐かしむ声が多数出ており、なかでも「どの回がトラウマだったか」を語る人が目立ちます。
学園ホラーマンガとして、容赦ない恐怖回も多数描いてきた『ぬ~べ~』では、「てけてけ」「はたもんば」「海難法師」「ブキミちゃん」「メリーさん」など、名前を聞くだけで恐ろしくなる幽霊、妖怪が出てきた一方、妖怪自体はそこまで怖くないものの、トラウマと名高いエピソードもありました。
それが、原作第137話で描かれた「次元妖怪・まくらがえしの巻」です。1996年から1997年にかけて放送された旧アニメ『地獄先生ぬ~べ~』では、なんとこのエピソードが最終回でした。
※この記事は『地獄先生ぬ~べ~』原作マンガ、アニメのネタバレを含みます。
ある夜のこと、主人公「鵺野鳴介(ぬ~べ~)」のクラスの生徒「稲葉郷子」が寝ているところに妖怪「まくらがえし」が現れ、彼女の枕をひっくり返します。すると小学生だった郷子は、翌朝目覚めたとき、26歳になっていました。心は小学5年生のままの彼女は、当然パニックになります。
戸惑いながらも、自分が大学も出てOL4年目であることを思い出した郷子は、会社に出勤してキツい仕事をこなそうとします。しかし、昨日まで小学生だった彼女は、やはり受け入れられず職場を飛び出しました。そして、小学生時代からの親友「細川美樹」の元を訪れます。美樹は3つ子の母になっていました。
そこで郷子は、かつて両想いだったクラスメイト「立野広」と高校時代の大げんかが原因で別れ、さらに広が美樹と結婚していたことを知ります。ショックで泣く郷子に、美樹は「あの人なら助けてくれる」と、かつての恩師、ぬ~べ~の元を訪れるよう勧めました。
しかし、再会したぬ~べ~は、郷子たちの卒業から2年後に強力な悪霊との戦いで除霊に失敗し、それから全身まひの廃人状態で生きていたのです。想い人の雪女「ゆきめ」とも再会できず、ぬ~べ~のことが好きになっていた同僚の「高橋律子」先生に身の回りの世話をしてもらい、病院で暮らしていました。
それを見た郷子は、「こんなの現実じゃないよ!!」「帰して! 楽しかった あのぬ~べ~クラスの日々に!」と泣き叫びます。すると、ぬ~べ~が口を開き、郷子に憑りついていたまくらがえしを「鬼の手」で捕まえました。まくらがえしは、郷子の魂を違う世界に飛ばして困る姿を楽しんでいたのです。
そして、ぬ~べ~は郷子の魂を元の世界に戻してくれましたが、彼は自分が全身まひになった世界のことを「パラレルワールド」「たくさんある未来のうちのひとつ」と説明していました。ただの郷子の夢ではなく、ぬ~べ~に最悪の不幸が訪れる未来もあると分かるこのエピソードは、屈指のトラウマ回として語り継がれています。この「もしも」の世界は、後に連載されたイタコのキャラクター「葉月いずな」が主人公のスピンオフ『霊媒師いずな』に引き継がれ、読者に衝撃を与えました。
■アニメではさらにキツい「まくらがえしの巻」
新アニメ『地獄先生ぬ~べ~』のティザービジュアル (C)真倉翔・岡野剛/集英社・童守小学校卒業生一同
アニメ最終回の48話「夢をいつまでも!!大好きな僕らのぬ~べ~!」では、ぬ~べ~が受け持つ「童守小5年3組」のみんなが将来の夢について語る場面が描かれたのち、まくらがえしは登場せず、すぐに郷子が26歳になって目覚める場面に切り替わっていました。さらに、いずなが郷子の会社の怖い先輩になっている、妖狐「玉藻」が幼稚園の保父をしている、などのオリジナル要素も盛り込まれます。
そのほか、「郷子がよりによって誕生日にまくらがえしの被害に遭う」「郷子が自分の誕生パーティーで美樹の夫になった広と対面する」「ゆきめが郷子をぬ~べ~が暮らす家まで案内するも、自分はぬ~べ~に会わずに去る」「ぬ~べ~が原作より老けて白髪化している」「ぬ~べ~がまくらがえしを退治しようと急激に力を使ったせいで、命の危機になる」など、よりキツい描写が増えていました。最後はクラスメイトたちが自分の世界に戻ってきた郷子にサプライズパーティーを開いてくれ、郷子がぬ~べ~に抱きついて明るい雰囲気で終わりますが、どうしても後味の悪さが残ります。
この最終回は視聴者にとって相当ショックだったようで、SNS上には「幼心に本当に衝撃的で号泣した」「怖くてその後2、3年くらい枕使って眠れなくなりました」「ファンとしてはショック以外の何物でもなかった」「郷子がぬ~べ~クラスだったから助かったものの、そうじゃなかったらもう詰みじゃない?」など、トラウマになったという人が多くいました。また、ぬ~べ~がどんな未来になっても教え子たちを見守っているという感動的なメッセージもあり、「ぬ~べ~クラスのかけがえのなさが分かるいい最終回」「まくらがえしを最終回に持ってきたのすごいセンス」「当時は中途半端だなぁ思ったけど、今思えばあれはあれでいい終わり方だった」と、高い評価も受けています。
原作マンガでは、終盤に「鬼の手に封印されていた強力な鬼『覇鬼』がぬ~べ~と和解」「鬼の手のなかで覇鬼を封じていた、ぬ~べ~の恩師『美奈子先生』が解放されて成仏する」「ぬ~べ~とゆきめが結婚」と感動的な場面が次々描かれ、最後はぬ~べ~が生徒たちの安全を玉藻に託し、より危険な霊現象の起きる九州の小学校へ転任します。
2025年放送予定の新アニメでは、電車で去っていくぬ~べ~を生徒たちが泣きながら追いかけるラストまで観ることができるのでしょうか。ファンの期待が集まります。
(マグミクス編集部)
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