TVアニメ『ダーティペア』の最終回って覚えてる? 人によって内容に齟齬があるワケ
マグミクス / 2024年8月19日 8時25分
■人によって最終回の話が違う…なぜ?
1985年7月から12月にかけて放送されたTVアニメ『ダーティペア』には、ふたつの最終回が存在しています。なぜ最終回が複数あるのか、それぞれがどんなストーリーだったのかを解説します。
高千穂遙先生の同題小説を原作としたTVアニメ『ダーティペア』は、あらゆるトラブルに対処する専門機関「WWWA」に所属する「ラブリーエンゼル」こと「ユリ」と「ケイ」の美女ふたり組が、宇宙を股にかけて暴れまくる斬新で挑戦的な作品として高い人気を獲得しました。
キャラクターデザインは当初『機動戦士ガンダム』でデザイナーを務めた安彦良和さんが担当する予定でしたが、諸事情あって、『うる星やつら』で頭角を現していた土器手司さんに交代し、やはり高い評価を得ています。
令和となった現代でも、再放送される際にはX(旧:Twitter)で話題となることがしばしばある『ダーティペア』ながら、最終回の話題となると「あれ? こんな話じゃなかった?」「このまえ観た時はこんな話だったよ?」と、観た時期や放送局によって別のお話が出てくる不思議な作品でもありました。
なぜ複数の最終回が存在しているのでしょうか。その理由は、当初26話予定だった作品が、24話に短縮されたことが影響しています。脚本自体は第26話まで完成していたものの、放送枠は24話ぶんしか確保されていなかったようです。
また、当時の関東圏での放送スケジュールについて、第23話は1985年12月23日放送なのですが、第24話は12月26日と1週間待たずに放送されていたことが確認できました。第23話までは全国ネットの放送で、第24話のみが地方のローカル枠での放送扱いになっており、当時の関係者が『ダーティペア』放送のために奔走していた跡が垣間見えます。関係者にとっても思い入れのある作品だったのでしょう。
なお、第25話及び第26話は後にOVA『ラブリーエンゼルより愛をこめて』として発売されており、CSなどでは全26話として放送されることがあります。これが、ふたつの最終回が存在している理由なのです。現在でもサンライズの公式サイトでは全24話、バンダイチャンネルでは全26話と掲載されているため、事情を知らない方は混乱することでしょう。
■ふたつの最終回はどんなストーリーだったのか
2019年に発売された「ダーティペア COMPLETE Blu-ray BOX」のキービジュアル (C)高千穂&スタジオぬえ・サンライズ
では、それぞれの最終回はどのようなストーリーだったのでしょうか。
第24話「かなりマジ? マンションは危険なアドレス」は、マンション住まいの美女連続殺人事件を軸に展開します。最初の被害者が残した「セールスマン」という血文字と、被害者の額にひと文字ずつ書かれた6種類のアルファベット「RPQNBK」だけが手がかりという状況で、おとりとなった「ダーティペア」ことユリとケイの元になぜか次々とセールスマンが現れるミステリー仕立てのストーリーとなっています。脚本は、後に『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』や『仮面ライダーアギト』、アニメ『DEATH NOTE』など多くの名作で熱筆を振るった井上敏樹氏が担当しています。
アニメ『ダーティペア』は、基本的には単発ストーリーで構成されているため、第24話が最終回でも問題はないのですが、密室劇だったため最後に派手なアクションを期待していた当時の子供たちにとっては少々、肩透かしだったのではないでしょうか。
その点、第26話「ホ、本気!? 美女にキャノン砲は脱出のキーワード」は、タイトルの段階で大暴れが期待できる、いかにも『ダーティペア』らしい最終回となっています。
ユリとケイの上司である「グ―リー主任」は、兵器開発研究所を視察した際に警備隊長の「マルカス」に囚われてしまいます。マルカスはグ―リーを人質に取り、さらに新兵器「ゴッド・キャノン」でユリたちの根城でもあるエレノアシティを破壊すると脅し、莫大な額の金銭を要求するも、WWWAは支払いを拒否しました。そしてダーティペアのふたりは、グ―リー救出のため独自に行動を開始します。
OVAとして製作されたため、当時のアニメとしてはかなりクオリティが高く、派手な銃撃戦も展開される非常に見ごたえのある回となっています。当時『ダーティペア』をご覧になっていた方で、第26話を見たことがない方は、第25話も含めてご覧になってみてはいかがでしょうか。その後に作られたOVAや劇場版など、数多くの『ダーティペア』シリーズ作品を観たくなること請け合いです。
(早川清一朗)
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