「ガンダム」シリーズの「もうちょっとで主人公機に勝てた」MSとパイロットとその敗因
マグミクス / 2024年8月23日 6時35分
■あと一歩で歴史は大きく変わっていた…!
「ガンダム」シリーズにおいて、主人公が万事休すという場面は、よく訪れます。そしておおむね、ライバル側に何かしらの要因があって、主人公が勝ちを収めてきました。そうした、主人公をギリギリまで追い詰めつつも敗れたライバルたちは、なぜ負けてしまったのかを見ていきます。
●正々堂々と戦い負けた……「キュベレイ」
『機動戦士ガンダムZZ』のラストバトルでは、「キュベレイ」の「ハマーン・カーン」が「ZZ」の「ジュドー・アーシタ」を決定的に追い詰めた場面があります。
ビームサーベルを打ち合う両機、スキを見つけたキュベレイは、ZZの背面にとりつき羽交い絞めにするとファンネルを放出しました。キュベレイ勝利の目前、ZZは分離しファンネルの攻撃を回避します。
最後は再びお互いサーベルを振るうと、キュベレイは両断され、再起不能となりました。
負けを潔く認めたハマーンに、ジュドーは「なぜもっとファンネルを使わなかった!?」と詰め寄ります。ジュドーはそこに「手心」が加わっていたことを感じていたのです。これに対しハマーンは、一騎打ちを望んでいたことを打ち明けました。
「カミーユ」「クワトロ」「シロッコ」と渡り合ってきた彼女が、容赦のないファンネル攻撃をしていれば、この戦局はもしかすると勝者が入れ替わっていたかもしれません。
●娘に執着しなければ……「ラフレシア」
『機動戦士ガンダムF91』のラスボス、「鉄仮面」の「ラフレシア」も、主人公の「シーブック・アノー」が駆る「F91」をもう一歩のところまで追い込みました。
ラフレシアは、遠距離はビーム兵器、近距離は「テンタクラー・ロッド」、さらに「Iフィールド」(ビーム無効化)持ちという攻守にスキのないモビルアーマーです。
このラフレシアに挑むF91と、鉄仮面の娘である「セシリー・フェアチャイルド」が操る「ビギナ・ギナ」は、無尽蔵に繰り出されるテンタクラー・ロッドにより、取り付く隙も見出だせません。
やがて、ロッドでビギナを捕らえ動きを封じると、鉄仮面は娘が乗るコックピットをこじ開け、親子で顔を突き合わせての舌戦を繰り広げます。
その間F91は、ロッドの猛攻に活路を見いだせなかったものの、やがて「質量をもった残像」が発生すると、鉄仮面はこれに翻弄(ほんろう)されます。
鉄仮面はコックピットに戻り戦闘に専念し、F91の右足、左腕を斬り落とすほど追い詰めますが、「質量をもった残像」に冷静さを欠き、誤射で自身のコックピットを撃ちぬいて敗北してしまいました。
完全に優勢で冷静に臨めば勝っていたと思われるこのバトルは、娘であるセシリーとの対話を試み、F91に猶予を与えたことが敗因だったのかもしれません。
■「ヴァル・ヴァロ」の敗因は「横やり」…?
ビグロの高速移動でアムロは瞳孔を開き気絶した。「1/550 ビグロ」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
●無双アムロ・レイを追い込んだ名機「ビグロ」
主人公を追い詰めるのは、いわゆるラスボスだけではありません。
『機動戦士ガンダム』の「アムロ・レイ」は、「黒い三連星」や「ハモン」の特攻、「マ・クベ」の駆る「アッザム」などにも九死に一生を得る戦いをしています。なかでも、あと一歩まで追い詰めたといえるのは、宇宙で戦ったジオン軍パイロット「トクワン」の操るモビルアーマー「ビグロ」ではないでしょうか。
まずビグロは、アムロの「Gスカイ」とともに出撃した、「セイラ・マス」の「Gブルイージー」を、得意の運動性と機動性をいかし、クローで捕縛します。しかしなぜかビグロはGブルに攻撃を加えず、宇宙空間に放り投げました。
その後、ビグロはガンダムに換装したアムロと戦闘に入り、やはりここでも機動力で翻弄します。そして、ガンダム最大のピンチが訪れました。
ビグロと交錯したガンダムは、その機体にとりつくと、高速移動のGに耐えられずアムロは気を失ってしまいます。
完全に無力化したガンダムをビグロはクローでつかみ、メガ粒子砲門を開き、勝利確定かと思われましたが、クローの衝撃で目を覚ましたアムロは瞬時にメガ粒子砲をかわし、その砲門にビームライフルをぶち込み、逆転勝利を収めます。
ビグロの敗因は、やはりGブルを解放したことにあると思われます。ここで決定的なダメージを与えておけば、アムロはガンダムへの換装ができず、ビグロとトクワンは勝利をつかむことができたかもしれません。
●一騎打ちのはずが……「ヴァル・ヴァロ」
『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では、「ケリィ・レズナー」の「ヴァル・ヴァロ」が、「コウ・ウラキ」の「ガンダムGP01Fb」(以下フルバーニアン)を、勝利目前まで追い詰めました。
一騎打ちを望んだケリィのヴァル・ヴァロは、フルバーニアンをスピードで翻弄し、「プラズマリーダー」でその動きを封じ、勝負あり、と思われました。
しかし「チャック・キース」が搭乗する「ジム・キャノンII」が現れ、プラズマリーダーを破壊します。さらに、男の決闘に「ニナ・パープルトン」が介入してきました。
そのように横やりが入るものの、ヴァル・ヴァロに2度目のチャンスがおとずれます。「クローアーム」でフルバーニアンを捕らえ、再び動きを封じたのです。ところがフルバーニアンは機体を分離させるファインプレーで逃れ、ビームサーベルで機体を突かれたヴァル・ヴァロは敗北してしまいました。
モビルスーツ戦で「一騎打ち」を望むというのも問題がありますが、キースやニナが水をさしたのが敗因となったのではないでしょうか。ここでもニナか……。
(南城与右衛門)
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