声優・田中敦子さん訃報に「ゲーム業界」からも悲しみの声 『スマブラ』桜井政博さん「ご冥福をお祈りします」

■ベヨネッタ、カイネ…名キャラクターの数々

　アニメ『攻殻機動隊』の草薙素子役など、数多くの実績を持つ声優の田中敦子さんが、8月20日に亡くなられました。敦子さんの息子で、同じく声優を務めている田中光さんが、自身のX（旧：Twitter）アカウントに報告し、判明しました。

　この突然の訃報に、多くのファンが「あまりの衝撃に言葉を失いました」「とても残念です」「艶のある声が魅力的でした」「早すぎる……」「田中敦子さんの声に勇気や優しさを頂きました」といった声の数々を、田中光さんのポストに寄せています。

　また、監督・アニメーター・デザイナーと幅広く活躍する大張正己さんは、自身のアカウントにて、「去年、久しぶりにお仕事ご一緒させていただき、ほんとうに光栄でした……」と仕事での接点を振り返り、冥福を祈ると共に感謝の言葉を述べました。

　大張さんのようにアニメ関係者からの哀悼が相次ぎましたが、悲しみの声はゲーム業界からも上がっています。田中敦子さんは、『攻殻機動隊』がゲーム化した際も草薙素子役を務めたほか、アニメ作品に匹敵するくらい、数多くのゲーム作品にも参加し、さまざまなゲームキャラクターに命を吹き込みました。

●クールでスタイリッシュな魔女「ベヨネッタ」を演じきる

　特に印象深いのは、作品名と同名の魔女「ベヨネッタ」の演技です。美しくも容赦なく、苛烈ながらも情もある、クールでスタイリッシュなベヨネッタ。そうした魅力を、田中敦子さんの演技によって奥深さが引き出されていました。

　そんなベヨネッタを生み出したゲームクリエイターの神谷英樹さんは、今回の訃報を受けて「え、本当に…？」「残念という言葉以外にない…」と、Xでコメントしています。

　また、ベヨネッタがゲスト出演した『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズのクリエイター・桜井政博さんも、「田中敦子さんが亡くなられたとうかがいました｡当方『スマブラ』におけるベヨネッタの声でお世話になっておりました｡ご冥福をお祈りします…」と哀悼の意を述べました。

●『ニーア ゲシュタルト・レプリカント』では、非常に難しい役柄に挑戦

　アクションRPG『ニーア ゲシュタルト・レプリカント』では、迫害された経験を持つ両性具有の剣士という非常に難しい役柄を、田中敦子さんが演じました。特に激しく、時に情感豊かな一面を見せる「カイネ」を、高い演技力で表現しきったその実力は、圧巻というほかありません。

『ニーア』シリーズの中心的人物であるヨコオタロウさんは、「ニーアゲシュタルト・レプリカントでのカイネ役では、大変お世話になりました。頂いた声を忘れる事はありません」と、その演技の印象深さを語り、冥福を祈る言葉で締めくくりました。

　また、シリーズのプロデューサーを務めた齊藤陽介さんも、「ニーアレプリカントでは、再録も含めて、大変お世話になりました」と、田中敦子さんへの感謝の言葉を綴っています。

●『Fate/stay night』の「キャスター」を長く演じた田中敦子さん

　ゲームやアニメ、小説にマンガと、その世界を広げていく『Fate』シリーズ。その原点にあたるアドベンチャーゲーム『Fate/stay night』にて、田中敦子さんは「キャスター」を演じ、作品世界の厚みに演技力で貢献しました。

　この「キャスター」は『Fate/stay night』のみならず、さまざまな関連作品に登場します。世界規模で展開している『Fate/Grand Order』では、「キャスター」の真名である「メディア」として活躍しており、こちらの声も田中敦子さんが担当しました。また、「カーミラ」や「荊軻」といったキャラクターも兼任し、見事に演じ分けています。

『Fate』シリーズに関わるこやまひろかずさんは、「田中敦子さんの訃報を目にして、自分でもびっくりするくらい動揺しています。まだまだメディア役でお声を聞かせていただけるものと思っていました・・・。心よりご冥福をお祈りします」と、驚きと追悼の念を明らかとしました。

『Fate/stay night』は、今年の8月8日にリマスター版がリリースされたばかり。このリマスター版でも、引き続き田中敦子さんが「キャスター」役を務めました。その直後ともいえる訃報だったため、驚きの大きさは計り知れません。

　同じくシリーズの関係者である東出祐一郎さんも、田中敦子さんが演じた各キャラクターの名を挙げながら、「心より、ご冥福をお祈りいたします」と哀悼の意を示しています。

　アニメはもちろん、ゲーム方面でも、田中敦子さんが声をあてた作品は数限りないほど存在します。これだけの実績を持つ声優の訃報は、そうした全ての作品の関係者とファンの間に、深い悲しみと共に広がっていくことでしょう。惜しむ声は、いつまでも尽きません。

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（臥待）