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『魔神英雄伝ワタル』最終回を覚えてる? 時代の変わり目に時代を作ったロボアニメ

マグミクス / 2024年8月25日 8時25分

『魔神英雄伝ワタル』最終回を覚えてる? 時代の変わり目に時代を作ったロボアニメ

■ロボットアニメを再び子供たちの手に

 1988年から89年にかけてTV放送されたアニメ『魔神英雄伝ワタル』は、その頃、青年向けに作られることが多くなりつつあったロボットアニメを少年向けに回帰し、新たなブームを引き起こしたエポックメーキング的な作品として高い人気を獲得しました。当時のロボットアニメや『ワタル』を巡る出来事、そして意外な最終回を振り返ります。

『魔神英雄伝ワタル』の登場前、ロボットアニメは危機に瀕していました。1985年には放送されたロボットアニメ4作品中『機動戦士Zガンダム』を除く3作品がさまざまな理由から打ち切られ、1987年にはサンライズ制作のリアルロボット作品が『機甲戦記ドラグナー』をもっていったん終了となっています。

 子供が純粋に楽しむことが難しい、シリアスで重たい物語が増えすぎたのではないか……『魔神英雄伝ワタル』は、そのような危惧から制作された作品です。

 主人公の「戦部ワタル」をはじめとするキャラクターデザインを務めたのは、長く日本のアニメ界で印象的な活躍を続けた芦田豊雄氏(2011年没)でした。本企画に参加した、後に『サクラ大戦』などを手がける広井王子氏の「いまビックリマンチョコ流行ってるけど」という発言がきっかけで、キャラクターやロボットは頭身の低い、顔を中心とした、子供たちが親しみやすいデザインとなっています。

 ストーリーも、救世主として召喚されたワタルが物語の舞台となる「創界山」を仲間と共に冒険し、悪の帝王「ドアクダー」と部下たちを倒すという、単純明快なつくりとなっていました。ドアクダーの部下を倒し、少しずつ創界山を解放していく流れは当時、流行していた「ドラゴンクエスト」シリーズをはじめとするロールプレイングゲームの要素が取り入れられており、うまく時代の流れをとらえていたといえるでしょう。

『ワタル』を話題とする時に欠かせないのが、声優陣です。ワタル役は『ワンピース』の「ルフィ」役などで知られる田中真弓さん、ヒロインの「忍部ヒミコ」役は、これが初のメインキャラとなる林原めぐみさん、ライバルの「虎王」は『シティハンター』の「牧村香」役で知られる伊倉一恵さん、「渡部クラマ」役を山寺宏一さんが担当しています。

 2020年に配信された最新作『魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸』では、再びこれだけのメンバーを集められるのか心配する向きもありましたが、無事、多くの役者さんが再登板を果たしてファンを歓喜させました。

■最終回は後日談

デザインアレンジが施された35周年記念商品。「METAL BUILD DRAGON SCALE 龍神丸(35th ANNIVERSARY EDITION)」(BANDAI SPIRITS) (C)サンライズ・R

 そのような『ワタル』の最終回「春だ祭りだ モンジャ村」は、かなり意外な形の終わりを迎えています。なんと、ラスボスであるドアクダーはすでに倒されており、ワタルも創界山を去って元の生活に戻っていたのです。

 戦いを終え、家族と共に日常生活を送っていたワタルの元に、ある日、差出人が分からないビデオテープが届きました。ワタルがこれを試しに再生してみると、なんと中からヒミコが飛び出し度肝を抜かれます。

 平和を取り戻した創界山はちょうど春を迎えており、ヒミコの故郷でワタルが最初に召喚されたモンジャ村では、花見が行われていました。「シバラク先生」は屋台で「戦神丸」を呼び出すカードを売り、人に戻ったはずのクラマはなぜか鳥の姿で焼き鳥の屋台を出しています。

 やがて、「翔龍子」こと元虎王との激しい戦いをはじめとする、「竜神丸」や「竜王丸」とともに駆け抜けた戦いの数々が次々と映し出されました。竜神丸からのメッセージ、そして創界山で知り合った人びとからの激励の言葉でビデオメッセージは締めくくられ、ヒミコも画面の中に姿を消します。再び日常へと戻ったワタルは、ヒミコや竜神丸たちとの冒険がまだまだ続くことを、このときはまだ知る由もありませんでした。

『魔神英雄伝ワタル』はローティーン向けに制作された作品でしたが、ハイティーンからもかなりの支持を獲得し、その後も多くのシリーズ作品がアニメやラジオドラマとして制作されました。タカラ(現:タカラトミー)から発売された組み立て式玩具「魔神大集合」は爆発的なヒットとなり、シリーズの継続に大きく貢献しています。

「子供が楽しめる」というアニメの原点を追求した結果、幅広い人気を得た『魔神英雄伝ワタル』の存在は、苦戦が続いていたロボットアニメが再び輝きを取り戻すための大きな起爆剤となったのではないでしょうか。

(早川清一朗)

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