版権、世界情勢? オトナの事情(?)で「続編」の音沙汰がないアニメ
マグミクス / 2024年8月28日 12時10分
■続編発表から6年でも音沙汰なし
アニメ制作には多くの時間と労力が必要なこともあり、新作や続編が発表されたものの、その後に音沙汰がなくなってしまう作品も珍しくありません。たとえばシリーズ最高興行収入を更新して話題になった『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が発表されたのは2006年のことでしたが、実際に公開されたのは2024年1月でした。
ほかにも、同じように発表されて以降、続報がなくファンを「やきもき」させている作品も存在します。
2018年にアニメ制作会社の「株式会社ガイナ(スタジオガイナ)」が発表した、オリジナルアニメ『トップをねらえ3(仮題)』も、多くのファンが待ち望んでいますが、難しい問題を抱えているためか、続報がないタイトルです。
大元の『トップをねらえ!』は、1988年に「ガイナックス」からOVAとして発表した作品で、「エヴァンゲリオン」シリーズで知られる庵野秀明監督が初めて監督を務めました。その続編の『トップをねらえ2!』は、2004年にガイナックスの設立20周年を記念して作られています。しかし、さらなる続編として発表された『トップをねらえ3』は発表以降、6年間続報がありません。
その理由の考察として、版権問題をあげるファンの声もあります。そもそもスタジオガイナは、『トップをねらえ!』を作ったガイナックスとは、全く別の会社です。最初、ガイナックスの子会社として設立された「福島ガイナックス」はスタジオガイナの前身で、独立時にガイナックスとの資本関係を解消しており、現在は木下グループの傘下に入っています。その両者の微妙な関係性が、ファンが版権問題について言及する理由となっているようです。
また、ガイナックスとスタジオガイナの関係性だけではなく、スタジオガイナが保有していた作品資料が当時の関係者に無断でガイナックスから売却されたことも、原因に挙げられるでしょう。のちに資料は庵野監督が社長を務める「カラー」によって回収され、関係会社の了承のもと「ATAC(特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構)」で保管されています。
また、残念ながら権利元のガイナックスは2024年6月に破産しました。もっともガイナックスの保有していた権利関係は「最適と思われる会社や個人」に渡っていると、立て直しに協力したカラーが補足しています。
『トップをねらえ3』の今後については不明なものの、今なお多くのファンが続報を心待ちにしている作品です。それだけに、新たな権利元によって続編が実現すれば、盛り上がるのではないでしょうか。
■続編の敵は現実の戦争?
劇場版でも戦う相手が問題になりそうなだけに、2期は様子見もしかたない? 『劇場版 幼女戦記』通常版Blu-ray(KADOKAWA) (C)カルロ・ゼン・KADOKAWA刊/劇場版幼女戦記製作委員会
ほかには、社会情勢の影響で音沙汰がないと考えられている作品もあります。その一例が、TVアニメ『幼女戦記』です。
『幼女戦記』は20世紀初頭によく似た世界を舞台に、サラリーマンが転生した金髪の幼女「ターニャ・デグレチャフ(CV:悠木碧)」が、後方勤務で順風満帆な暮らしを望みながら、大戦の最前線に立たされてしまう、という作品です。
同題ライトノベル(著:カルロ・ゼン/イラスト:篠月しのぶ/KADOKAWA)が原作で、2017年のTVアニメ1期や2019年に公開された劇場版は、独特かつ重厚な世界観でファンを魅了しました。
それまでの好評を受けて、2021年6月にABEMAで放送された特番「『幼女戦記』生還記念座談会~激闘を振り返って~」で、第2期の制作決定がティザービジュアルとともに発表されましたが、その後の続報はいまだにありません。その理由として、「2022年から続くロシアのウクライナへの侵攻が影響しているのでは?」と推測するファンもいます。
まず、『幼女戦記』自体が戦争を題材にしており、さらに第2期では劇場版に引き続きロシアをモデルにしたと思われる「ルーシー連邦」との戦いも予想されます。現実の世界情勢が続編の進行に影響しているか定かではないものの、作品の内容が時事問題と関連しているだけに、慎重にならざるを得ないのかもしれません。それでも公式X(旧:Twitter)では「TVシリーズ第2期制作進攻中」と表示されており、お蔵入りしたわけではないことがうかがえます。
なかには続編が正式発表はされていないものの、関係者の匂わせ発言がファンの期待を集めている作品もあります。それは2007年10月に1stシーズン、2008年10月に2ndシーズンが放送された『機動戦士ガンダム00』です。同作は「ガンダム」だけではなく、高河ゆんさんがキャラクターデザインを務めた、イケメンキャラクターも人気を博しました。
2018年に開催した10周年イベント「ガンダム00 Festival 10 “Re:vision”」のあとには、水島精二監督がXで「新作、やりますよ!」と続編制作が示唆されました。しかし、スケジュールの問題もあり、翌日には「00の新作、作ります。作りますけど、先ずはスケジュール調整からなのでかなり先になります。なんせ僕も数年先まで決まってる仕事があるので(笑)」と補足し、実現には時間がかかることを明かしています。
その後も正式発表はないままですが、ファンによれば、2020年のトークショーで水島監督が「新作は7年後くらいになりました」と述べ、続編の可能性について言及していたようです。確かに2027年で1期の放送開始から30年を迎えることから、ちょうどいいタイミングかもしれません。
このように続編の音沙汰がない作品には、それぞれ特有の事情がからんでいる可能性もあります。ファンとしては背景を理解しつつ、気長に続報を待つことが最善かもしれません。
(LUIS FIELD)
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