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ウルトラマンは炎を吐いて怪獣を倒す予定だった? ヒーローらしくない「初期設定」の真相

マグミクス / 2024年8月28日 7時45分

ウルトラマンは炎を吐いて怪獣を倒す予定だった? ヒーローらしくない「初期設定」の真相

■わりとギリギリまでウルトラマンは「炎を吐く」予定だった?

 ウルトラマンの必殺技といえば、手を十字にして放つスペシウム光線です。これは令和のちびっ子でも知っています。このウルトラマンの必殺技=光線の設定は2024年7月から現在放送中の最新作『ウルトラマンアーク』でも変わらず引き継がれており、ウルトラシリーズの象徴として機能し続けてきました。

 ところで、この必殺技に関して、次のようなウワサがあるのをご存知でしょうか。

「ウルトラマンは当初、炎を吐いて怪獣を倒す予定だった」

 というものです。そんなバカな、と思われても仕方ありません。大前提、「炎を吐く」ことと「ヒーロー」のイメージとが結びつきません。それに炎を吐く敵に炎を吐いても、被害が広がるだけな気もいたします。

 実際、このウワサには大なり小なり誤謬(ごびゅう)が含まれているようです。その出どころを手繰り寄せるためには、ウルトラマンがまだ企画段階の時期から見ていく必要がありそうです。

 ファンからすれば有名な話かもしれませんが、『ウルトラマン』という番組が誕生するまで、企画は二転三転としました。

 当時、円谷の企画文芸室室長だった金城哲夫氏らは『科学特捜隊ベムラー』という企画をまず提案します。これは前作『ウルトラQ』路線を引き継ぎつつ、毎週、怪獣を登場させる必然性を維持するために「科学特捜隊」という専門家チームを主に据えた企画でした。

 そして、この企画において科学特捜隊のピンチを助けるのが「ベムラー」だったのです。こんにち、ベムラーといえば『ウルトラマン』第1話「ウルトラ作戦第一号」で登場したあの怪獣を指しますが、最初期の「ベムラー」は謎のヒーローで、デザインはカラス天狗のような姿をしていました。つまり、この時点ではまだ「怪獣」が怪獣を倒すという構図で、「炎を吐く」のはこの段階での設定だったのです。

 そこからヒーローのビジュアルは明確に「宇宙人」へと変更されることになり、企画名も『科学特捜隊レッドマン』となりました。さらに転じて我々の知る『ウルトラマン』へと着地していくのですが、最初期の「炎を吐く」という設定は『レッドマン』の時点でまだ生きていたようで、後の『ウルトラマン』第5話「ミロガンダの秘密」へとつながる台本の準備稿では、巨大な植物怪獣であるグリーンモンスを口から吐いた炎で焼き払う描写がありました。

 ではいつ「スペシウム光線」が登場したのでしょうか。

■「スペシウム光線」誕生にまつわる裏話

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「スペシウム光線」が登場したのは、第2話(撮影順でいえば最初)の「侵略者を撃て」、バルタン星人登場回の台本が書かれたときです。

 台本準備稿では、手を十字に組んで炎が発射されるという設定でした。これが第2稿となった時、初めて手から発射されるのが炎から光波熱線(光線)へと変わったのです。つまり「ウルトラマンは当初、炎を吐いて怪獣を倒す予定だった」とのウワサは企画の変遷を凝縮した表現といえるでしょう。

 なお、初めて光線が登場する第2話の台本を担当したのは飯島敏宏監督(脚本名義:千束北男)です。バルタン星人の生みの親として知られる飯島監督ですが、スペシウム光線の生みの親でもあったのでした。そしてそれはつまり広く知られた「ウルトラマン」のイメージ生み出したといっても過言ではありません。

 さて、ウルトラマンは手から水流を出すこともできるのですから、炎を吐くウルトラマンもまた見たかったような気もします。もちろん、気がするだけです。

※参考書籍:『ウルトラマン99の謎: 懐かしのヒーロー』(二見書房)

(片野)

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