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『銀河鉄道999』長い旅路の果てに鉄郎は…あれ、TVアニメ版ってハーロックいたっけ?

マグミクス / 2024年9月2日 7時45分

『銀河鉄道999』長い旅路の果てに鉄郎は…あれ、TVアニメ版ってハーロックいたっけ?

■多くの少年少女が宇宙への冒険に憧れた

 TVアニメ『銀河鉄道999』は、主人公の「星野鉄郎」が機械の体をもらうため、謎の美女「メーテル」に導かれて銀河を走る汽車「銀河鉄道999」に乗り込み、遥か彼方の星を目指し冒険の旅に出る物語です。全113話+TVスペシャル回が1978年9月よりおよそ3年半にわたり放送されました。その長い長い旅路の果てに鉄郎が迎えた結末はご存じのとおりです。でもその記憶、劇場版とごっちゃになっていませんか。

 TVシリーズを含む鉄郎の最初の旅は、現在「アンドロメダ編」と呼称されています。これは原作者の松本零士先生が1996年に連載を再開し、後に劇場版『銀河鉄道999 エターナルファンタジー』が制作されたことから付けられました。

 それにしても、改めて考えると『銀河鉄道999』の壮大なスケールに想いを馳せたくなります。母を殺された少年がタダで機械の体がもらえる星を目指し、美女とともに宙を駆ける列車で旅に出る……ノスタルジーを感じる風景の数々や、人びととの別れの表情、感情をこと細かに描き出してセンチメンタルを駆り立てるその作風は、観た方の多くに強烈な印象を与えたのではないでしょうか。

 そして鉄郎の最初の旅にも、ついに終わりの訪れる時がやってきました。TVアニメ版最終回のひとつ前「第112話 青春の幻影 さらば999 前編」で、終着駅の「惑星プロメシューム」へと到着します。当初の目的であった、「機械の体をタダでくれる星」です。しかし鉄郎はそれまでの旅路のなかで、人生とは限りある美しさこそが素晴らしいことを悟っており、メーテルに対し機械の体を拒否すると伝えたのです。

 惑星プロメシュームを支配する、メーテルの母にして機械帝国の女王「プロメシューム」は、自らに逆らった鉄郎を「999」ごとブラックホールへと葬ろうと画策します。しかしメーテルは父親である「バン」とともにプロメシュームに反逆して鉄郎を救出、命がけでこれを打ち倒しました。ところが、プロメシュームの最期の悪あがきで、星ごとブラックホールへと引きずり込まれていきます。

 かろうじて999で脱出した鉄郎とメーテルは、惑星「こうもり」駅に到着、「ふたりの旅」を終え、それぞれ別々の列車に乗り、お互いを涙ながらに見つめながら別れるのでした。

■劇場版では鉄郎が10歳から15歳に

劇場版の鉄郎は15歳、キャラデザも大きく変わった。2022年開催「銀河鉄道999シネマ・コンサート」資料より (C)松本零士・東映アニメーション

 原作連載中にはTVアニメだけでなく、複数の劇場作品も作られこちらも人気となりました。

 1979年8月に劇場公開された『銀河鉄道999(The Galaxy Express 999)』は、原作およびTVアニメが継続中にも関わらず、いったん「アンドロメダ編」を最後まで描くという大胆な試みが行われた作品です。監督は後に『幻魔大戦』などを手掛けるりんたろう氏が務めました。

 本作最大の変更点は、鉄郎の年齢が10歳から15歳になり大きく外観が変わったことでしょう。加えて、基本的なストーリーラインこそ変わらないものの、大きく再構成されています。また、松本零士作品『宇宙海賊キャプテンハーロック』から「ハーロック」と「トチロー」が出演しており、トチローが「アルカディア号」の頭脳となるてん末も描かれました。

 主題歌の「銀河鉄道999」は、当時の流行ロック・バンドであるゴダイゴが務め、それまで童謡扱いされていたアニメソングの世界に大きな衝撃を与え風穴を開けました。1980年代前半に童謡風のアニソンが減少したのは、ゴダイゴの影響が非常に大きいと思われます。

 さらに2年後には映画『さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅』が制作され、前作では描き切れなかった機械帝国の実態や、メーテルとプロメシュームの過去、999号車掌の正体などが描かれました。ストーリーは「なぜ機械帝国は衰退するのか」を軸としており、転じて命の尊さを訴える内容も力の入った描写が行われています。特に序盤、鉄郎を999に乗せるために命を賭ける老パルチザンの姿は印象的で、人の営みの継承とはこうあるべきではないかという想いが芽生えてきます。

 同じ「アンドロメダ編」を描くTVアニメ版と劇場版2作品はそれぞれ異なる描写とはなりましたが、根幹の「人の人生の尊さ」「永遠を得ると堕落する」というふたつのテーマは踏襲されていたように思えます。もし「999」をまた観たいなと思った方がいらっしゃったら、TV版はさすがに長いので、まずは劇場作品をご覧になってはいかがでしょうか。

(早川清一朗)

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