美少女アニメなのに…「エロ」「かわいい」以外でおじさんが興奮した作品3選【第二次世界大戦】
マグミクス / 2024年9月1日 12時15分
■美少女×ミリタリーはなぜウケるのか?
85年前の9月1日、ドイツ軍のポーランド侵攻により第二次世界大戦が始まりました。兵器や戦史の愛好者と、美少女という組み合わせは、まったく接点の見いだせない異質なジャンルですが、このふたつがコラボレーションした作品は少なくありません。
●終末のイゼッタ
本作は西暦1940年の架空のヨーロッパを舞台にしており、アルプスの小国エイルシュタット公国の姫君「フィーネ」と、その幼なじみの魔女の「イゼッタ」がゲルマニア帝国の侵攻に抗います。
『終末のイゼッタ』における魔法や魔女は、極めて希少な力なので軍隊に正式採用されて集団で戦うことはありません。イゼッタは魔女の箒(ほうき)ではなく、サドルを付けた対戦車ライフルに乗って戦場を飛びまわり、ゲルマニアの圧倒的な近代兵器の物量に魔女の力でなんとか抗います。
大国の軍事的な侵略に小国が知恵と勇気を振り絞って抗う、という王道の展開に加えて、戦車や戦闘機などのミリタリー要素と「無機物を操る」魔法の力、イゼッタとフィーネの友情要素がクローズアップされています。
メッサーシュミットやIV号戦車が登場して塹壕戦が描かれるなど、第二次世界大戦時のドイツのミリタリー描写が充実しているのが特徴なので、ヨーロッパ戦線に関心あるファンならきっと楽しめるでしょう。
●ストライクウィッチーズ
本作はTVアニメ、OVA(オリジナルビデオアニメ)、映画化と幅広く展開している人気作です。『ストライクウィッチーズ』では10代までの少女のみが持つ魔力で駆動する「ストライカーユニット」を装着した少女たちが「ネウロイ」と呼ばれる異形の敵と激しい空戦を繰り広げます。通常兵器が通用しない「ネウロイ」と戦えるのは彼女たち「ウィッチ」だけです。
特筆すべきは各国の戦闘機を擬人化したかのような少女たちと、その「ストライカーユニット」です。例えば日本を思わせる「扶桑皇国」のウィッチ「坂本美緒」はメインウエポンに刀を使い、その「ストライカーユニット」は「零式艦上戦闘脚二二型甲」と、明らかに零戦をモチーフにしています。
魔導エンジンの音や重機関銃などのサウンドがかなり本格的で、ミリタリーファンから高い評価を獲得している一方、少女が脚部に大きなストライカーユニットを装着する都合によりパンツ(ではない)がほぼ丸見え状態で飛行しているビジュアル面のインパクトが強烈です。一部のファンからは「ストパン」「スト魔女」などの愛称で親しまれており「紳士」におすすめです。
■幼女×エリートサラリーマンで「異色」の作品に
画像はアニメ『幼女戦記II』ティザービジュアル (C)カルロ・ゼン・KADOKAWA刊/幼女戦記2製作委員会
●幼女戦記
本作は原作小説からコミカライズ、TVアニメ化に続いて映画化を果たしており、現在アニメ2期が準備中の人気作です。「幼女」というタイトルからは想像もつかないようなハードな展開や人間関係の皮肉、大人の笑いが魅力です。
本作では第一次世界大戦から第二次世界大戦頃の架空のヨーロッパを舞台に、主人公の幼女「ターニャ・デグレチェフ」が母国「帝国」を守るために、敵対国家と戦います。実はこのターニャ、前世は日本のエリートサラリーマンでした。彼がこの状況におちいった経緯と作品のメインテーマには深い関わりがあります。
ターニャは前世で冷徹な現実主義者でした。しかし無慈悲に同僚を解雇したせいで逆恨みされ、電車のホームに突き落とされて死んでしまいます。死後、創造主に無信心さをとがめられますが、うかつにも「科学文明に恵まれた世に生まれ、世界でも稀に見る道徳心を備えた国に育ち、生物学的にも社会的にも優位なサラリーマンなので、神にすがる理由がない」と、文字通り神をも恐れぬ発言をしてしまいます。
こうして自身の行いを恥じなかった「彼」は創造主を怒らせてしまい「非科学的な世界で女に生まれ、戦争を知り、追い詰められる」ことで信仰に目覚めるよう強制されたのです。
孤児のターニャとして生まれ変わった「彼」は、生まれ持った魔力の才能を活かせる「航空魔導師士官」となって戦争に参加、その才能が認められ「第二〇三航空魔導大隊」大隊長として活動します。上司や現場環境に翻弄され、部下との人間関係に頭を悩ませる中間管理職の会社員には刺さる描写が多いでしょう。かわいいだけ、アニメーションがすごいだけでは終わらない作品です。
●実は「ガンダム」が大成功したメソッド
これらの作品にはミリタリーと美少女だけでなく、魔法の要素が共通しています。おそらく実在の戦争を下敷きにした作品を描く際、ファンタジーや美少女がないと、作品がシリアスになりすぎてしまうせいでしょう。現実をデフォルメして「テーマ」を強調するメソッド(手法)はアニメというメディアが得意とする演出です。
「美少女×ミリタリー」アニメには、戦車かっこいい、女の子がかわいい、という間口の広さで視聴者を集め、徐々にシリアスな展開を描くことで、最終的に史実に興味持たせるほどのパワーがあります。
これは「ガンダム」などの大ヒット作品にも共通しています。荒唐無稽な表層の裏にリアリティがあるからこそ、これらの作品は人を惹きつけるのでしょう。
(レトロ@長谷部 耕平)
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