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視聴率が全ての世界? 反ウルトラマンだったのが、結局似てしまった『ミラーマン』

マグミクス / 2024年9月4日 7時20分

視聴率が全ての世界? 反ウルトラマンだったのが、結局似てしまった『ミラーマン』

■滑り出し上々だったのに? 裏番組に遅れをとった『ミラーマン』

 1966年から放送が始まった『ウルトラマン』は、その後のヒーロー史に大きな影響を与えた存在です。『ウルトラマン』の登場以降、さまざまな巨大ヒーローが描かれてきました。そのなかのひとつに、「円谷プロ」が製作した1971年放送『ミラーマン』という特撮ドラマがあります。同作は、最初は独自路線で話が進んでいましたが、最終的にはいわゆる「ウルトラマン化」に舵を切った作品でもありました。

 とはいうものの、第1話「ミラーマン誕生」は27.1%という高視聴率を記録し、滑り出しは好調でした。裏番組『シルバー仮面』は暗い内容が多かったこともあり、そういった作風を受けつけない視聴者が『ミラーマン』に流れた部分もあるようです。

 しかし、優勢だった『ミラーマン』の視聴率は回を重ねるごとに低下し、放送開始から3か月後には19~15%前後に落ち込みました。それもそのはずで、序盤で『ミラーマン』に負けていた『シルバー仮面』は、話の途中で「てこ入れ」が行われていたのです。TV業界は視聴率がものをいう世界なので、視聴率が低ければ、何も変えずに放送を続けるはずがありません。

 当初は等身大のヒーローだった『シルバー仮面』は、第11話から巨大ヒーローの『シルバー仮面ジャイアント』にリニューアルしたことが功を奏して視聴率が上がる一方、何も手を打たない『ミラーマン』の視聴率は下降していくのでした。

 そして、ピンチとなった『ミラーマン』は、放送開始から半年後の第26話「ミラーマン・絶体絶命!」、第27話「総攻撃!S.G.M」で番組の設定を揺るがす「大改変」に踏み切ります。『シルバー仮面』に遅れをとる形で、ようやくてこ入れが行われました。

 まず『ミラーマン』の設定を振り返ると、毎朝新聞のカメラマンで主人公の「鏡京太郎」は、人間と2次元人のハーフである「ミラーマン」です。彼は、2次元からやってきた同じく「インベーダー」による地球侵略を阻むため、育ての親「御手洗博士」が作った調査研究組織「SGM」と協力しながらインベーダーと戦います。

 ちなみに、『ミラーマン』は『シルバー仮面』に比べて派手というわけではなく、外見のモチーフが鏡なだけにベースが銀色で、緑のラインがところどころにあるだけでした。また、敵のインベーダーは、町を大々的に破壊するウルトラシリーズの怪獣とは違って、静かに侵略を進めるため、子供が喜ぶような迫力のあるバトルは描かれません。それもそのはずで、同作は企画の段階で「ウルトラマンと差別化する」という軸があり、小学校中学年から中学生までをメインターゲットにして、よりSF色の強い作風を目指していたのです。

■ウルトラマンの設定に甘えたのに結果は?

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『ウルトラマン』とは別路線のヒーローとして始まった『ミラーマン』は大改変の際、インベーダーに基地を襲撃されたSGMは全滅したかと思わせて、秘かに地下に増設された基地に隠れていました。そして、戦闘機「ジャンボフェニックス」に乗った隊員たちが現れ、ミラーマンを助けてインベーダーを攻撃します。調査研究組織だったはずが、武装組織にパワーアップしていたのです。また、京太郎もカメラマンを続けながら、特別隊員としてSGMのメンバーになりました。

 さらに、京太郎がインベーダーの陰謀によって時限爆弾を仕掛けられたことで、ミラーマンに変身して時間切れになると爆死するという設定が加えられます。そして、京太郎は父からタイムリミットを知らせる「カラータイマー」を授けられるのです。

 ここまでの説明で気付いたと思いますが、冒頭で記したように、てこ入れの結果『ミラーマン』は設定がほぼ『ウルトラマン』と同じになってしまったのです。

 しかし、てこ入れ後の状況は、ある程度の視聴率回復に留まり、『シルバー仮面』終了後に始まった『アイアンキング』の視聴率よりも劣る結果となります。最終回で17.8%の視聴率を獲得するまでは低迷したままであり、そういった実状を踏まえ、『ミラーマン』はシリーズ化することはありませんでした。

 とはいっても『ミラーマン』が何も爪あと残さなかったのか、といわれたら決してそんなことはありません。てこ入れによって誕生した武装組織のSGMは、円谷プロが他局で製作した1973年放送の『ジャンボーグA』に登場しました。第32話から、『ジャンボーグA』の組織「PAT」にSGMのメンバーがジャンボフェニックスとともに参戦したのです。

 他局のドラマにもかかわらず、『ミラーマン』の世界と奇跡のリンクを果たしたのは、主要スタッフ陣が『ミラーマン』と全く同じだったからこそでした。

 結果だけを見れば、『ミラーマン』は「成功した特撮ドラマ」とは言い難いかもしれませんが、裏事情が分かることで、愛着が湧いてくるものです。てこ入れがあった背景を踏まえ、もう1度『ミラーマン』を視聴すれば、印象がガラッと変わるかもしれません。

(LUIS FIELD)

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