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初代『ウルトラマン』の「ぐんぐんカット」姿はデザインが違う? 欠けている重要なパーツとは

マグミクス / 2024年9月10日 6時35分

初代『ウルトラマン』の「ぐんぐんカット」姿はデザインが違う? 欠けている重要なパーツとは

■実は「変身シーン」こそ本当のウルトラマンの姿だったのでは?

 ハヤタ隊員がベータカプセルを掲げ、フラッシュとともにウルトラマンへ変身。このシーンは『ウルトラマン』ファンのみならず、一般的に広く知られています。ウルトラマンが画面に向かって片腕を伸ばし、ぐんぐん勇ましく飛んでくる有名なこのカットは、通称「ぐんぐんカット」と呼ばれ『ウルトラマン』のみならず、その後の「ウルトラ」シリーズを象徴する演出なのです。

『ウルトラマン』の「ぐんぐんカット」を改めて見てみましょう。水紋のある赤い背景から、両方の拳を固く握りしめ、わずかに首を傾けたウルトラマンが迫ってきます。この雄々しいポーズと鋭い眼光、ウルトラマンの頼もしさをこれでもかとばかりに表現されています。

 ……と、改めて「ぐんぐんカット」を眺めていると、何かに気付きます。子供の頃から親しんできたこのシーンですが、何か妙な違和感を覚えるのです。この撮影に使用されているのはスーツではなく遠近感を強調した人形なのですが、その事実を差し引いても、なお余りある違和感……みなさんはお気付きでしょうか。

 そうです。この「ぐんぐんカット」のウルトラマンの胸元には、トレードマークのひとつである「カラータイマー」が付いていなのです。この「ぐんぐんカット」は基本的に使い回しのバンク映像であるため、カラータイマーがない状態は最終話まで続きます。これはいったい、どういうことなのでしょうか。

 これは「カラータイマー」というものが、撮影段階に入って導入されたということが理由として挙げられるでしょう。もうウルトラマンのスーツもでき上がった段階にもかかわらず、明確な活動時間を知らせる装置として「カラータイマー」が採用されたのです。したがって「ぐんぐんカット」が撮影されたのは「カラータイマー」導入前だったのです。いかに当時の撮影現場がバタバタとしていたかがよく分かります。

 子供はカラータイマーが点滅すれば「ウルトラマン頑張れ!」と声援を送ることができますし、タイムリミットが物語のメリハリに大きな貢献を果たしてくれました。

 一方、ウルトラマンのデザインを担当した芸術家である成田亨さんは、カラータイマーの導入に関しては反対の立場でした。当然と言えば当然です。ことウルトラマンは緻密な計算に基づいたデザインされたものですし、何より生物であるはずのウルトラマンが機械的にピンチを報せることに関して成田さんは疑問を呈しました。後年もご自身がウルトラマンを描く際は、カラータイマーのない姿とすることが多かったのはこのためです。

 そういう意味において「ぐんぐんカット」のウルトラマンは劇中において、成田亨さんの意思が反映されている唯一の姿といっても過言ではないのです。

主要参考書籍:
『特撮と怪獣 わが造形美術 増補改訂版』 成田亨(リットーミュージック)
『ウルトラマン99の謎 : 懐かしのヒーロー』青柳宇井郎、赤星政尚(二見書房)

(片野)

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