「原作より死屍累々」「何の救いもない」 衝撃のバッドエンドアニメ3選
マグミクス / 2024年9月13日 19時25分
■中盤からの鬱展開で迎える後味の悪い結末とは?
アニメの最終回は、視聴者が望むようなハッピーエンドで終わるとは限りません。なかには、後味の悪い結末を迎えた作品もありました。どんな最終回が描かれたのでしょうか。
●『今、そこにいる僕』
『今、そこにいる僕』は、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』や『浦安鉄筋家族』など数多くのギャグアニメを手がけた大地丙太郎さんが、ギャグを封じて制作したオリジナルアニメ作品です。1999年から2000年までの全13話が、WOWOWにて放送されました。
ある日、主人公「シュウ」は「ララ・ルゥ」という少女との出逢いをきっかけに、50億年後の未来に飛ばされてしまいます。飛ばされた未来は資源が枯れ果てており、戦争が日常になっている世界でした。そして、シュウは自分の命を削って水を出す力を持つララを巡る、激しい戦争に巻き込まれていくのです。
虐殺や暴力シーンが数多く描かれた本作は、最終的に誰も幸せにならない悲しい形で幕を閉じます。物語終盤、ララは敵である狂王「ハムド」が支配する「空中移動要塞ヘリウッド」を、自身の水の能力を使って破壊させることに成功します。しかし、能力を使いすぎて、ララ自身も消滅してしまいました。
また、ララと間違われ現代から連行された「サラ」は、人違いだと分かると兵士たちの慰安婦として使われ、最終的に誰の子かも分からない子を身ごもります。そして子供のために、元の世界に戻らない選択をするのです。主人公のシュウは、なんとか元の世界に戻りますが、戦いの代償は大きく、結局最後まで誰も救えないまま物語は幕を閉じるのでした。
絶望的な終わり方の本作は、ネット上で「つらすぎて涙も出なくなる。サラがかわいそう過ぎて見ていられない」「エログロバイオレンスのトップをいく作品」「ただひたすらに戦いを描き戦争の悲惨さを教えてくれる良作」と、多くの人にショックを与えた名作として評価されています。
●『アカメが斬る!』
「月刊ガンガンJOKER」(スクウェア・エニックス)で連載された『アカメが斬る!』(原作:タカヒロ/作画:田代哲也)は、2014年にアニメ化されました。本作は、貧困生活を送る少年剣士「タツミ」が妖刀を持つ少女「アカメ」と出会い、彼女が所属する殺し屋集団「ナイトレイド」とともに、腐敗した帝国に反逆していく姿を描いた作品です。
本作では物語が終盤に進むに連れ、主要キャラが続々と死亡していきます。人気キャラの「チェルシー」は、敵である「クロメ」に首を切られて広場にさらし首にされたほか、原作では生存しているはずのタツミや、ヒロインの「マイン」らも死亡するアニメオリジナル展開が描かれました。
物語の最後は、生き残ったアカメが死んでいった仲間たちの思いを背負い、自身を狙う敵と戦い続けるという形で終了します。多くの死亡者を出してもなお、報われることなく戦いが続くという重い結末を迎えました。
「タツミは何かしらの力で生き返ると思ってた……エスデスとともに消滅なんて」「死ぬキャラにスポット当てて話が進められてきたから、少ない生き残りだけのEDが余計さびしく見える」と、衝撃展開の数々が多くの人の心に残るアニメとなりました。
■ラスト5分で急展開のアニメ
最終回に住民が全滅する展開が描かれた『キノの旅 -the Beautiful World-』(フロンティアワークス) (C)時雨沢恵一・メディアワークス/「キノの旅」製作委員会
●『キノの旅 -the Beautiful World- 』
「キノの旅」シリーズは、ライトノベル『キノの旅 -the Beautiful World-』(著:時雨沢恵一/イラスト:黒星紅白)を原作としたアニメで、2003年、2017年と2度アニメ化されました。
主人公「キノ」は、言葉を話す二輪車「エルメス」とともに、世界中を旅しています。旅のルールは、どの国にも3日間だけ滞在することで、毎話違う国を訪れてその国の法や常識に触れながら過ごし、また次の国へと旅立っていくのです。
本作の2003年版の最終回(2017年版では10話に相当)は、キノとエルメスが旅人から評判の悪い国を訪れるところからはじまります。しかし、評判とは逆にふたりは住民から歓迎され、親切に接してもらいました。そして、キノたちは宿屋のひとり娘「さくら」と出会い、充実した時間を過ごし3日間の滞在期間が終了します。
人びとの優しさに触れた素敵な最終回かと思いきや、出国したその夜、野宿をしていたキノは、山が噴火し火砕流が噴きあがり、国全体を飲み込む惨状を目の当たりにしました。最後の最後で町にいる人びとが全滅するという展開に、驚いた人も多かったのではないでしょうか。
作中ではその後、さくらの親からもらったキノに宛てた手紙のなかで、多くの住民は火山によって国が滅ぶことを知っていたことが判明します。また、先祖が迫害された民族だったため、当時の旅人に対して親切にできず国の悪評につながってしまったことへの後悔なども記されており、悲しみを感じながらもキノは旅を続ける、という形で物語は完結しました。
この終わり方は「タダほど高いモノはない、笑顔で近づいて来る奴は悪人という固定観念を逆手に取った最終回だった。今までのパターン通りだと最後に裏切られるんじゃ? って身構えてしまうが、本当に優し過ぎた」「人間、最期に何を残して伝えるかを国単位まで拡大したもの、敢えて運命に逆らわないという選択に何だか涙が止らない」と、今も語り継がれています。
(LUIS FIELD)
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