『ボルテスV』えっ、「革命エンド」…? 切なすぎる死闘も繰り広げられた怒涛の結末
マグミクス / 2024年9月19日 21時25分
■侵略者の母星に乗り込んだ「ボルテスV」
1977年から78年にかけてTV放送されていた『超電磁マシーン ボルテスV』は、長浜忠夫総監督が手掛けたロボットアニメで、現在では同じ東映テレビ事業部で制作された『超電磁ロボ コン・バトラーV』や『闘将ダイモス』と合わせ、「長浜ロマンロボ」シリーズの1作とされています。
侵略を受けていた地球側が敵の根拠地へと逆襲を仕掛ける、敵味方の間に身内関係があるなど、翌年に放送された『機動戦士ガンダム』への影響を思わせる要素が散見される点も見逃せません。
また、美形悪役「プリンス・ハイネル」の存在感や角のある無しで決まる身分制度、民衆による革命など、奥深い設定とストーリー展開は子供たちのみならず、アニメを卒業する年代となっていた世代の男女を引き付ける魅力を備えた作品としても注目される存在といえるでしょう。
日本でも人気を獲得した作品ではありますが、さまざまな事情からフィリピンでは国民的作品として愛されており、2023年には『ボルテスV レガシー』として実写ドラマ化されています。劇場作品も作られており、日本でも2024年10月18日に上映開始が予定されているので、楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。
さて、そのような『ボルテスV』の最終回「崩れゆく邪悪の塔!!」では、ボルテスVが皇帝「ズ・ザンバジル」の支配から民衆を解放するために、敵の本拠地「ボアザン星」へ乗り込み、民衆の軍と共に都へ向けて進撃するシーンから始まります。
民衆の指導者は主人公「剛 健一」たちの父親である「剛 健太郎(ラ・ゴール)」です。健太郎はボアザン人であり、父親がボアザン皇帝の弟という高貴な生まれでしたが、角が無かったために人工の角を付けて育てられました。科学者として才能を発揮した健太郎はやがて、皇位を狙うザンバジルによって秘密を暴露され、労奴へと堕とされます。結婚もしていた健太郎は、身重の妻と会う事もできず、のちに風のうわさで出産時に死去したことを知ることとなりました。
■そして明かされる衝撃の事実と悲劇!
右からふたり目がプリンス・ハイネル、納得のビジュアルです。「超電磁マシーン ボルテスV Vol.4〈完〉」(東映ビデオ)
地球へと逃れた健太郎はボルテスVを建造し、ボアザン星人による侵略に備えました。ボルテスの建造の際に知り合った「剛 光代」と結婚した健太郎は、健一たち三兄弟に恵まれたものの、諸事情あってボアザンに戻り、労奴解放のための地下活動を行なっていたのです。
進撃するボルテスVは戦車を踏みつぶし、砲台を破壊し民衆たちを先導します。ザンバジルが籠もる黄金城もほぼすべてが民衆の手に落ち、貴族たちは這いつくばり命乞いをし、健太郎と剛三兄弟も感動の対面を果たしました。
しかしまだ、ただひとり貴族としての責務を果たそうとしていた男がいました。そう、プリンス・ハイネルです。混乱する城中で銃撃を受け側近の「カザリーン」を失ったハイネルは、ボアザンの古い言い伝えにある「守護神ゴードル」に搭乗し、ボルテスに戦いを仕掛けてきたのです。
激闘の末、ゴードルとボルテスは相討ちとなりますが、戦いは終わりませんでした。ハイネルは最後の誇りをかけ、健一に生身での決闘を挑んだのです。たおれたボルテスのてのひらの上で、ふたりは傷つきながら剣を交えます。互いの剣が折れ、もつれ合いながら地面に落ちても、戦いは終わりません。
この泥沼のような戦いを終わらせたのは、一振りの短剣でした。ハイネルが抜いた短剣を見た健太郎は、それがかつて、身重の妻に託したものであることに気付きます。
そう、ハイネルは健太郎の息子だったのです。ハイネルは兄弟同士で殺し合いをしていたことを知り、泣き崩れます。歩み寄ろうとした健一でしたが、そこに爆弾を手にし財宝を抱えて逃亡を図ろうとする皇帝ザンバジルが現れました。
口論のすえに皇帝を見限ったハイネルはザンバジルに短剣を投げつけます。しかし傷ついた皇帝は爆弾を取り落としてしまい、健一が巻き込まれそうに。とっさに健一をかばうハイネル、そして至近距離から見つめ合う生き別れの兄弟……その直後、建物の崩壊に巻き込まれたハイネルは、涙を流しながら「お父さん……」と呟き炎の中へと姿を消しました。
戦いは終わり、健太郎はボアザン星を再建するために留まるといい、ボルテスチームは地球へと帰還することになります。無事に戦いを終えたメンバーの目に、もはや涙はありませんでした。
(早川清一朗)
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