完結『リュウソウジャー』と恐竜戦隊の歴史。影響は『ジュラシック・パーク』から?
マグミクス / 2020年3月29日 9時50分
■『ジュラシック・パーク』が刷新した、ティラノサウルスのイメージ
2020年3月1日(日)に完結を迎えたスーパー戦隊シリーズ第43作『騎士竜戦隊リュウソウジャー』は、恐竜をモチーフにしたスーパー戦隊としては4度目の作品でした。今年2020年は『ドラえもん のび太の新恐竜』やアニメーション作品『さよなら、ティラノ』、翌年2021年には『ジュラシック・ワールド/ドミニオン』と、複数の映画公開が控えており、恐竜は映像作品の題材として愛されています。今回は恐竜をモチーフにしたスーパー戦隊シリーズの変遷を見ていきます。
恐竜をモチーフにした最初のスーパー戦隊は、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992~1993年)です。本作の翌年にスティーヴン・スピルバーグ監督の映画『ジュラシック・パーク』(1993年)の公開を控えていたことが、モチーフの選定に大きく影響を与えたと考えられます。
「恐竜戦隊」と名乗っているジュウレンジャーですが、ティラノサウルス、トリケラトプス、翼竜のプテラノドンのほかに、ほ乳類のはずのマンモスとサーベルタイガーもモチーフに採用されています。これはシルエットを差別化するための措置であり、当初はティラノサウルス、トリケラトプス、ブラキオサウルス、ステゴサウルス、プテラノドンをモチーフにする予定だったようです。
『ジュウレンジャー』に続く恐竜戦隊は、『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003~2004年)です。『ジュウレンジャー』と本作の間で映画『ジュラシック・パーク』シリーズ3作品が公開されたため、『アバレンジャー』は『ジュラシック・パーク』で定着した恐竜のイメージの影響を強く受けているのです。
1993に公開され大ヒットした映画『ジュラシック・パーク』に登場する、ティラノサウルス
まずティラノサウルスの体勢です。『ジュラシック・パーク』のティラノサウルスは頭から尻尾まで水平に保った姿勢で登場しました。『ジュウレンジャー』の守護獣ティラノザウルスは旧来の恐竜映画と同じく、尻尾を引きずったゴジラのような体勢でしたが、『アバレンジャー』の爆竜ティラノサウルスは『ジュラシック・パーク』と同じように頭から尻尾を水平に保った体勢をしています。また、『未来戦隊タイムレンジャー』(2000~2001年)に登場した恐竜型のメカ・ブイレックスも、同様の体勢をしていました。
デザインを担当した野中剛氏が恐竜に詳しかったこともあり、『アバレンジャー』に登場する「爆竜」「武鋼竜」のモチーフはすべて、恐竜などの古代の爬虫類で統一されました。シルエットの差別化から見た目に特徴のある恐竜が採用されています。さらに本作で新たにモチーフに採用された12体の恐竜のうち6体は、『ジュラシック・パーク』シリーズに登場した種類と重なっているのです。
■「架空の恐竜」も登場。異色な編成の『リュウソウジャー』
定番恐竜のモチーフが採用された、『獣電戦隊キョウリュウジャー』。画像は「劇場版 獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリンチョ・オブ・ミュージック」DVD(東映)
3作目の恐竜戦隊は『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013~2014年)です。定番モチーフであるティラノサウルス、トリケラトプス、プテラノドンの3体に加えて、パラサウロロフス、ヴェロキラプトル、ステゴサウルスがメイン6人のモチーフに選ばれました。プレシオサウルスがモチーフのキョウリュウバイオレットと獣電竜プレズオンが登場していますが、首長竜がモチーフのキャラクターは今回が初登場です。
『キョウリュウジャー』は恐竜戦隊4作品のなかで女性戦士のモチーフにトリケラトプスが選ばれている唯一の作品です。ちなみに『キョウリュウジャー』とメインスタッフが重なる『仮面ライダーW』(2010年~2011年)には、女性が変身するトリケラトプスの怪人が登場していました。
そして現時点における恐竜戦隊の最新作である『騎士竜戦隊リュウソウジャー』ですが、定番のティラノサウルスとトリケラトプス、プテラノドンはもちろん登場。過去3作品すべてに登場した竜脚類ブラキオサウルスが登場しない一方で、タイガーサウルスやニードルサウルスなどの架空の恐竜が登場したりと、過去の恐竜戦隊とは一風変わったモチーフの選定がなされています。
前作『キョウリュウジャー』と『リュウソウジャー』の間に、映画『ジュラシック・ワールド』(2014年)、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018年)が公開しているため、やはり『リュウソウジャー』にはその影響が見られます。
一番わかりやすいのが、カナロ/リュウソウゴールドの相棒の騎士竜モサレックス。モサレックスのモチーフは大型の海棲爬虫類モササウルスです。モササウルスは『ジュラシック・ワールド』に登場して強いインパクトを残したキャラクターであり、このモチーフの選定は『ジュラシック・ワールド』を意識したものでしょう。
また『ジュラシック・ワールド』には、遺伝子操作によってさまざまな恐竜の特徴を併せ持つインドミナス・レックス、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』にはインドラプトルと、架空の恐竜が登場していました。『リュウソウジャー』にも、パキケファロサウルスとカンガルーの特性を持ったパキガルー、ティラミーゴ(ティラノサウルス)とプテラードン(プテラノドン)が合体した騎士竜プテラミーゴなど、さまざまな恐竜や動物の特徴をあわせ持ったキャラクターが登場しています。
いつの時代も「恐竜」は、子供たちの憧れの対象なのです。また近い未来に新たな恐竜戦隊が現れることでしょう。その時には一体どんな進化を見せてくれるのでしょうか。
(C) 1993 Universal Studios. All Rights Reserved.
Jurassic Park is a trademark and copyright of Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. Licensed by Universal Studios. All rights reserved.
(森谷秀)
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