ハード戦線のさなかに登場! アーケードから移植が早かったプレステ『鉄拳』の秘策
マグミクス / 2020年3月31日 12時10分
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■対戦格闘ゲームの熱気のなかで
1995年3月31日、ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)からプレイステーション用対戦格闘ゲーム『鉄拳』が発売されました。当時大人気だったセガサターンの『バーチャファイター』に対抗し得る対戦格闘ゲームが発売されたことにより、プレイステーション(以下、PS)はサターンと互角に戦える状況となりました。PSがゲーム業界を席巻するための礎となった『鉄拳』について、ライターの早川清一朗さんが語ります。
* * *
1990年代の中ごろ、対戦格闘ゲームにハマっていたゲーマーはとてつもなく多かったと思います。街中には今とは比べ物にならないほどたくさんのゲームセンターが存在し、店の中には対戦台がずらりと並べられ、その周りには多くの若者が順番待ちをしながら人のプレイを盗もうと画面に見入っていました。今、「eスポーツ」と呼ばれている競技の芽は、あの頃のゲームセンターで培われたものなのだと確信を持っています
1991年に発売された『ストリートファイターII』の歴史的大ヒットに続けとばかりにさまざまなゲームメーカーから対戦格闘ゲームが発売され、多くのゲームセンターが先を争うようにして購入していました。対戦台は短時間でプレイが終わるために収益性が良く、ゲームセンターにとっては金が成る木のような存在だったのです。
アーケード版『鉄拳』がリリースされたのは、1994年の12月。ちょうど11月に『バーチャファイター2』がゲームセンターに登場し、まさに日本のゲームシーンを席巻していた時期の登場だったのです。正直、このタイミングで新作をぶつけるのは相当な覚悟が必要だったのではないかと考えていましたが、そこに巧妙な策が秘められていたことを、後に筆者は知ることになります。
このとき筆者や仲間の対戦格闘ゲーマーたちの反応は「新作出たんだ。じゃあちょっとやってみようか」というものでした。一通り触ってみて、浮かせてからのコンボを試してみるなど楽しんではいたのですが、『バーチャファイター2』や『キング・オブ・ファイターズ94』、『真サムライスピリッツ』といったタイトルの方が主流だったこともあり、ある程度はプレイしてはいたものの、それほど本腰を入れていたというわけではありませんでした。
ただ、PS版の発売が年明けの3月31日だと知ったとき「移植にしてはずいぶん早いな」と違和感をおぼえたことを記憶しています。
■『鉄拳』の秘策
プレイステーション4版『鉄拳7』(バンダイナムコエンターテインメント)
鉄拳がPSに素早く移植された理由、それはナムコがソニーコンピュータエンタテイメントと共同開発したPSと互換性のある新基板SYSTEM11を使用していたからでした。そしてそれは、『バーチャファイター2』よりも『鉄拳』の方が先に家庭用格闘ゲームに参入できることを意味していました。
そうして迎えた3月31日、筆者が当時たむろしていた友人宅に、誰かが買ってきたPS版『鉄拳』が持ち込まれたのです。お金を投入せずに遊べる対戦格闘ゲームとなれば、普段出来ないことをバンバン試すことができます。重点的に練習したいキャラ、普段使わないキャラ、試したいコンボなど、やりたいことがいくらでもできるのです。そこから数日間、たまり場でひたすら『鉄拳』をやり続けてから、鍛えた腕前を披露しようとゲームセンターに向かってアーケード版『鉄拳』にコインを投入し、やはり明らかに腕前を上げている対戦相手に遭遇する羽目になったのです。考えていたことは、皆同じでした。
当時、家庭用ゲーム機で対戦格闘ゲームをやるとすればSNKの「NEOGEO(ネオジオ)」がありましたが、高価だったのと対戦格闘ゲーム以外のタイトルは癖があるものが多く、誰もが持っているという類のものではありませんでした。だからこそ、普及型のゲームハードであるPSでアーケードとそん色ないタイトルを遊び、練習できることには大きな意味があったのです。
あれから25年、現在では『鉄拳7』が世界中で遊ばれています。eスポーツのタイトルとしても存在感を示しており、多くの強者たちが覇を競っています。日本勢と韓国勢が強いとされていた同タイトルでしたが、2019年は彗星のように現れたパキスタン勢が大会を席巻するなど、盛り上がりを見せています。あのとき今のような光景を想像することはできませんでしたが、これからも『鉄拳』シリーズには、格闘ゲームのシーンを引っ張っていくだけの力強いタイトルで居続けてほしいと切に願っています。
(ライター 早川清一朗)
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