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【声優・本多真梨子のマンガ愛(5)】<追悼>笑えるけど切なく温かい、藤原ここあ最終作

マグミクス / 2020年3月31日 19時20分

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■ほっこりする温かさと、ほんの少しの肌寒さを感じる作品

『けものフレンズ』『日常』『生徒会の一存』など、数多くのアニメ作品で活躍する声優の本多真梨子さんにとって、マンガは「生きるエネルギー」。本多さん自身が熱中し、心からおすすめしたいマンガ作品を語ります。今回取り上げるのは、笑える4コマなのに、切なさも感じさせるファンタジー作品。作者への特別な思いも込めて、語っていただきます。

* * *

 東京では桜がすでに満開。すっかり春ですね。

 この季節は私にとって、いろんな出会いと別れがあって、嬉しい気持ちと悲しい気持ちが交互に来る、そんなセンシティブな季節だったりします。そんな時期だからこそ、紹介したい作品があります!

 藤原ここあ先生の『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』

 藤原ここあ先生のファン歴19年の本多が、皆さんにぜひぜひおススメしたい作品です! 正直、藤原ここあ先生の作品に、間違いはないです! 問答無用で全作品を読んでもらいたい! が、しかしそれは押し付けが強いので、まず、この作品を読んでもらって、面白かったら、別作品もぜひ読んでくださいっていう流れで行こうと思います(笑顔)。

 今回ご紹介する、『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』という作品は、タイトル通りのお話です。過去形なのが大事です!

 ……つまりですね。
 
 冒頭、冷徹な悪の参謀が、魔法少女に、一目惚れしてしまう!(笑)ところから物語は始まります。帯にも《殺し愛(あ)わない敵対4コマ》という書き出しなのですが、本当にその通り。本当は倒さなければならない魔法少女を、可愛すぎて手が出せない悪の参謀、という構図です。

『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』第1巻(スクウェア・エニックス)

 いやー、この魔法少女がほんと、可愛いんですよ! 参謀さんが好きになるのも仕方ない。守ってあげなきゃ…! と思わせる儚さと、可愛そうなくらいの幸の薄さ。

 食べるものに困る生活。バイトと孤児院の手伝いと魔法少女の掛け持ち。魔法少女の白夜(びゃくや)ちゃんは、読者も悲しくなるほどの薄幸美少女なんです。

 そんな白夜ちゃんに恋しちゃった、悪の参謀さん。葛藤する悪の参謀さん。悶える悪の参謀さん。これがまるで、コントか!ってくらい笑える4コマになってます。せび、たくさん笑っていただきたい!

 そして、基本笑える展開なのですが、たまーに、4コマ漫画じゃなくなったり、シリアスなお話が入ってきたりと、ギャグだけでない、切なさや温かみのある世界観が、ここあ先生作品の醍醐味です!

■一生忘れられない、作者・藤原ここあ先生とのやりとり

藤原ここあ先生の人気作で、TVアニメ化もされた『妖狐×僕SS』(いぬぼくシークレットサービス)第1巻(スクウェア・エニックス)

 過去の藤原ここあ先生の作品も、登場人物が何かを抱えていて、そんななかで一生懸命生きる姿が、素晴らしい作品ばかり。読んでいてホロリと涙がこぼれて、優しい気持ちになります。

 ぜひ、『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』を読んで、藤原ここあ先生の作品を好きになってくれたら、嬉しいです。

 そして、この時期……3月31日は藤原ここあ先生の命日です。私は先生と直接の面識はありませんでしたが、Twitterなどで交流させていただいていて、2015年の3月31日に亡くなる数日前のやり取りが、今もずっと心に残っています。

「いつかお仕事ご一緒できたら良いなぁと夢見ております」と言ってくださったお言葉。大好きで、大好きで。ずっと応援してきた漫画家さんにそう言ってもらえたこと。

 とても、とても、うれしかったです。……生涯忘れません。

 これからも、ずっと先生のファンでいさせてください。
 藤原ここあ先生のご冥福をお祈りいたします。

(本多真梨子)

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