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新アニメ『イエスタデイをうたって』 衝撃的ではない「ありえるかもしれない」物語

マグミクス / 2020年4月2日 18時50分

新アニメ『イエスタデイをうたって』 衝撃的ではない「ありえるかもしれない」物語

■人とのふれ合いを恐れつつも求める、不器用で愛おしい登場人物たち

 2020年春アニメは、嬉しい「原作映像化」のニュースがたくさん飛び込んでいます。なかでも特にうれしかったのが、冬目景先生の『イエスタデイをうたって』です。1998年に連載がスタートし、あしかけ18年間を経て2015年に完結した本作。登場人物たちがそれぞれに、決して見えない他人の心を思いながら、心を通わせる姿に愛おしさを覚える作品です。

 大学を卒業後、コンビニアルバイトで生活する陸生(CV:小林親弘)。将来に不安を抱えながらも、平凡な日常を送る彼の前に現れたのは、カラスを連れたミステリアスな少女・晴(CV:宮本侑芽)でした。突然現れた彼女に戸惑う陸生ですが、今度は大学時代の憧れの女性だった品子※(しなこ/CV:花澤香菜)が、地元・金沢の非常勤講師から東京に帰ってきたことを知ります。

 彼女への思いをついに伝える陸生。その思いは残念な結果に終わりますが、品子はリクオと「友達以上恋人未満」の関係を求めます。しっかりもので気立てはいいのに、恋愛には踏み込めない。彼女が一線を越えられない理由を教えてくれたのは、品子の幼馴染であり、彼女を慕う浪(ろう/CV:花江夏樹)という少年でした。

 一見平凡だけど、なぜかモテモテの陸生くん。原作を手にとって感じた最初の感想は、そんなもやもや感でした。しかし1話、また1話と作品を読み進めていくと、見えてくるのは登場人物たちの細かな感情の揺れ動きです。慕っている相手のことをもっと知りたい。相手の事情を知りつつ、それでもふれ合いたい。相手が大切だからこそ、これ以上踏み込まずに見守ってあげたい。

『イエスタデイをうたって』は、こうした「人との距離感」に対して、とても優しく繊細な作品です。相手の事情を知り、それを壊しては行けない自分と、それでも一歩踏み出したい自分との葛藤。日常で関わる人々が、複雑に絡み合った人間関係のなかで、焦りと不安のなかで答えを見つけようとするのです。

 なんとか落とし所や心地よい距離感を見つけたところに、それを揺るがす展開が訪れます。とはいえ、『イエスタデイをうたって』の描くストーリーは、決して衝撃的なものではありません。友人、家族、恋人が接していくなかで、「ありえるかもしれない」という展開が静かに積み重なります。自分のもとへやってきた展開の変化に対して、登場人物はできる限り考え抜いた選択を、ときに慎重に、ときに大胆に選んでいくのです。

 その様子は、実在する人物の葛藤のようにリアルです。そして彼らの選択は、もつれあった糸をむりやり断ち切るのではなく、ゆっくり時間をかけて解きほぐしていくような優しさがあります。喜劇的でも悲劇的でもないけれど、感動的であたたかい。きっとアニメで描かれる彼らの物語も、原作のように爽やかに描かれることでしょう。

※品子の品の字は木へんに品

※TVアニメ『イエスタデイをうたって』は2020年4月4日(土)25:30~テレビ朝日新・深夜アニメ枠「NUMAnimation」で放送開始予定。AbemaTVで地上波同時・独占先行配信、dアニメストアでも配信限定エピソードを配信予定です。

(サトートモロー)

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