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理由聞いたら納得? 『名探偵ピカチュウ』バリヤードらポケモンたちが「怖く」なっていた件

マグミクス / 2024年10月4日 20時35分

理由聞いたら納得? 『名探偵ピカチュウ』バリヤードらポケモンたちが「怖く」なっていた件

■バリヤードが特に怖い明確な理由は?

 2024年10月4日に「金曜ロードショー」で、『名探偵ピカチュウ』が放送されます。本作は「ポケットモンスター」シリーズを基にした初のハリウッド映画で、ゲーム『名探偵ピカチュウ』の実写化作品です。ポケモンが「現実の世界に当たり前」にいる世界観や映像技術には、特に絶賛が寄せられました。

 一方で、ポケモンを3DCG化したことでの「ビジュアルが怖い」ことが、良くも悪くも(おおむね良い意味で)話題にもなっています。その理由を、今一度まとめてみましょう。

●バリヤードの頭にうぶ毛を生やした理由は?

 もっとも怖さについて語られているのが「バリヤード」で、「三白眼」が3次元化したことに加えて、「頭のうぶ毛」「ひたいのしわ」までもが怖いとも話題になっていました。

 公開当時の「THE RIVER」の記事によると、本作を手掛けたロブ・レターマン監督は、バリヤードは他のポケモンとは違って「パントマイムをするピエロである」というポイントに立ち返って制作されたそうです。そして、そのなかで特に苦労したのはバリヤードの「顔」であったと以下のように語っており、そこで「頭のうぶ毛を再現した理由」も分かったのです。

「見ていて不安になる顔と、愉快な顔とは本当に紙一重。だからあれこれ試しましたよ。髪の毛をちょっと足せば、プラスチックっぽい質感にならなくなるんです。だけど、顔の崩れた人間に見えてしまわないよう、皮膚っぽくなりすぎないようにもしました。愉快な顔とも、不安になる顔とも言えるデザインが完成するまで、延々と作業を続けたんです」

 なるほど、正直、実際に出来上がったバリヤードの印象は、「愉快な顔:不安になる顔=1:9」くらいのバランスに仕上がっている気がする、笑顔であること自体が怖いともいえますが、これはこれで「正解」なのでしょう。

●パントマイム芸人の動きを再現していた

 しかも、バリヤードの登場シーンでは、パントマイム芸人が監修を務めるだけでなく、リハーサルでは実際にパントマイムをして、その動きをバリヤードを表現する材料としてアニメーターの元に送るという手順も踏まれています。

 その「パントマイムの忠実な再現」による動きのリアルさに怖さを覚えた人も多いでしょうし、そもそもパントマイム自体が、過剰に動きを大きく、はたまた機械的に見せるため、いい意味でそこはかとない「怖さ」を感じさせる芸ともいえます。つまりは怖さも含め、バリヤードはパントマイムの特徴を見事に再現しているのでしょう。

●他にもエイパムとベロリンガも怖い

 他にも怖いと語られるポケモンは「エイパム」で、特に「歯」が怖いという意見が多々ありました。こちらは物語上でも「かわいいと思いきや怖い!」とびっくりさせるシーンで、歯で意図的に怖くしていると分かりますし、『となりのトトロ』で「メイ」が出会うヤギを連想させます。一方で、あまりに歯並びが「人間的」なため、いくらなんでも怖すぎるという意見もありました。

 さらに話題になったのが「ベロリンガ」で、特にベロのあまりのヌメヌメした質感がリアルです。「実際にベロリンガがいたらこうなる」という説得力も、半端なものではありません。

 デフォルメされたイラストとは違う3DCGのポケモンを、実写の人間がそばにいても違和感のないように「そこにいる」ようなリアルにできたのは、CG技術が進歩した、はたまた作り手がこだわりぬいた証拠であり、同時に「不気味の谷」へ足を踏み入れていたといえるでしょう。

●大人向け映画の引用も

 実は、『名探偵ピカチュウ』では劇中のバリヤードが『氷の微笑』で有名なシャロン・ストーンさんの「足を組む」マネをしていたり、尋問シーンも映画『セブン』が元ネタになっていたりもします。

 さらに、前述のTHE RIVERのインタビュー記事では、ロブ・レターマン監督は「フィルム・ノワール」作品を参考にしたと語っていました。フィルム・ノワールは退廃的な犯罪ものや悲壮的な探偵ものなどを指し、「出口のない迷宮に囚われる」ような味わいもあるジャンルです。

 ロブ監督は1970年代の探偵映画や警察ドラマ、黒澤明監督の『天国と地獄』も参考にして、さらに『AKIRA』の「ネオ東京」のカラーも取り入れたとのことでした。特にネオンが輝く夜の街並みは、なるほど『AKIRA』やSFノワールの名作『ブレードランナー』の影響を強く感じます。

 ファミリー向け映画でありながら、スリラー映画やフィルム・ノワール映画という、完全に大人向けの作品を参考にしており、実際に夜のシーンが多いことも、作品自体にどこか怖い印象がある理由でしょう。

●ピカチュウなど他のポケモンが怖くない理由もある

 一部のポケモンが怖いと言われる一方で、主人公のひとりである「ピカチュウ」には怖いという意見はほとんどありません。「落ち込んでしわしわになる」さまや、原作ゲームからある「おっさん声(日本語吹き替えは西島秀俊さん)でしゃべるギャップ」も大好評でした。

 その理由は、前述したように「パントマイムをするピエロ」に立ち返ったバリヤードとは違って、「キャラクターに現実的なデザインを取り入れる」バランスで各キャラクターを作り上げたからでしょう。

 たとえばピカチュウの場合、ロブ監督は「(ゲームの)ピカチュウのシルエットに忠実でありたかった。それでいてリアルな毛皮や筋肉、骨格、眼球にしたかったんです。毛皮もシミュレーションによって湿り気を表現していますしね」と語っています。

 基本はシルエットを忠実にして、そこから現実的なディテールをつめていく段階を踏んだからこそ、ピカチュウを筆頭とする、自然で愛らしく、さらに実写と融合しても違和感のない、劇中のポケモンそれぞれの再現につながったのでしょう。

 だからこそ、他のポケモンとは違うアプローチで、ディテールをつめた結果として生まれたのが、パントマイム芸人の動きを再現し、そして表情もリアルで怖いバリヤードが、より強烈な印象を残すのですが……それも含めて『名探偵ピカチュウ』は忘れらない映画ですし、3DCGと融合した実写映画化作品の転換点ともいえる重要な作品だと思います。

(ヒナタカ)

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