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石田和明先生が出会った『ウィザードリィ』 一歩間違えば「死と灰とロスト」の絶望感

マグミクス / 2020年4月5日 12時10分

石田和明先生が出会った『ウィザードリィ』 一歩間違えば「死と灰とロスト」の絶望感

■「テレビゲームには一生縁がない」と思っていたが?

 1981年にアメリカで発売。1985年にアスキーからPCゲームとして日本語移植版が発売された、RPG『ウィザードリィ』。日本においては1986年発売の『ドラゴンクエスト』に大きな影響を与えたゲームです。

『ドラゴンクエスト』を題材とした人気コミック『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』で活躍した漫画家の石田和明先生が、『ウィザードリィ』の思い出を語ります。

* * *

『ウィザードリィ』と出会った頃、世はファミコンブームでした。当時ファミコンはアクションゲームばかりという先入観があって、それらが壊滅的に下手くそだった僕は「テレビゲームには一生縁がない」と思っていました。本当です(笑)。

 それでもコンピュータで絵を描くことには興味があり、当時安価でそこそこ絵も描けるMSX2を購入しました。せっかくだから何かゲームのひとつでもと思い、これなら自分でもできそうだと手にしたのが『ウィザードリィ』でした。

 ドラゴンが描かれた黒い箱を開け、フロッピーディスクをMSX2本体に挿入。画面に現れる「Wizardry」の文字。人生を変える異界の扉が開いた瞬間でした。

 ダンジョンの最下層にいるボスを倒しアイテムを持って帰るという単純な使命。6人分のキャラメイクをしてパーティ編成。いよいよダンジョンに潜ります。真っ黒い画面に疑似3Dの白いフレームだけのダンジョン。その無機質さが逆に恐怖をあおります。通路を進んだ先にドア。部屋に突入と同時にモンスターが出現。攻撃が当たって○ポイント。攻撃を受けて○ポイント。画面には最小限の文字情報しか表示されません。だからこそ想像力が全力で仕事をします。

 いつしか、文字でしか存在しないパーティの戦う姿が見えるようになり、ドアの向こうに何かが潜んでいる気配がします。一歩間違えば死と灰とロスト……。気が付くとウィザードリィ世界にどっぷりのめり込んでしまいました。

 そしてゲームに慣れた頃に、初見殺しの「例の部屋」です。為す術もなく自キャラがひとりずつ殺されていくのを呆然と見ている何とも言えない絶望感。永遠に続くと思えた時間のあと墓石と共に現れる「あなたの冒険者達は全滅しました」の文字……。

 何時間もともに過ごした思い入れのあるキャラたちです。このまま冷たいダンジョンの床の上で朽ち果てさせるわけに行きません。泣きながら救助隊を一から作成して育てあげ「例の部屋」での戦闘に勝利。死体を1体ずつ回収。運良く全員がカント寺院で復活。気がついたらそこまでを24時間以上ぶっ続けでやっていました。

 とにかく頭のなかは寝ても覚めても『ウィザードリィ』。1マスずつ自分で書いたマップが、まさに冒険の記録です。定番の裏技もほとんど自力で見つけ出していました。そんなゲームは後にも先にもウィザードリィだけです。

「原点にして至高」それが『ウィザードリィ』です。

 最後にイラストの解説をさせていただきます。『ゲームプレイヤーコミックス』と『ウィザードリィ友の会3』に連載された『迷宮(ダンジョン)にようこそ!』というマンガのキャラです。おかげさまで多くのウィザードリィファンの皆様に良い評価をいただけました。僕自身とてもお気に入りの作品です。このマンガを描かせていただいた編集さんには今でも感謝しています。

(石田和明)

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