2024年秋アニメ←どれ観てる？ 1週目で視聴者を“とりこ”にした作品10選

■秋の夜中にじっくり楽しみたい秋アニメ

　とうとう2024年秋アニメの放送がスタートしました。新作アニメ、リブート作品など見逃したくない作品がそろい踏みです。この記事では、第1週目に放送された秋アニメをほとんど見たなかで、独断と偏見で選んだ「つかみがばっちり」だった秋アニメTOP10をあげていきます。

●『らんま1／2』

　3姉妹の末女「天道あかね」の暮らす「天道道場」のもとに、親が決めた許婚がやってきます。その婚約者「早乙女乱馬」には、ある悩みがありました。水をかぶると女に、お湯をかぶると男に戻るという不思議な体質をもっていたのです。

　高橋留美子先生の往年の名作マンガが、『うる星やつら』に続いて令和に復活しました。原作のドタバタした騒々しいコメディーが映像で表現されていて作画もバッチリです。第1話から商店街のド真ん中で、乱馬とお父さんの「早乙女玄馬」が戦う格闘シーンも見ごたえがあります。

　また声優陣も強力です。男らんまが山口勝平さん、女らんまが林原めぐみさん、天道あかねが日高のり子さんという、35年前（1989年版）の旧アニメから続投しているのもうれしいポイントになっています。

●『甘神さんちの縁結び』

　高校生の「上終瓜生（かみはて　うりゅう）」が「甘神神社」で暮らすことになるものの、居候の条件は「婿養子として神社を継ぐ」ことでした。しかも結婚相手は、同じ屋根の下で暮らす巫女さん3姉妹の誰かに決めなければならない、というところから物語は始まります。

　開始2分で、美人姉妹のエロカワな下着姿が披露されるサービスシーンで、視聴者の目を釘づけにしました。包容力のあるお姉さん、ツンデレな同年代、人懐っこい妹という3人の魅力に目移りしてしまいます。もちろんそれだけではありません。第1話から「甘神夕奈」のなくした、思い出の髪紐を必死で探す、瓜生の誠実さにグッとくるストーリーもこれからが楽しみです。

　男子高校生が女の子たちに囲まれて、お色気シーンをまじえながら受験合格を目指すマンガといえば、今や国会議員である赤松健先生の『ラブひな』を思い出す人も多いと思います。『甘神さんちの縁結び』も同じ雑誌「週刊少年マガジン」（講談社）に連載している共通点があり、『ラブひな』が好きだった人にも見てほしい1本です。

●『結婚するって、本当ですか』

　旅行代理店に勤める「大原拓也（タクヤ）」と「本城寺莉香（リカ）」は、人付き合いが苦手で目立たないが、充実したひとり生活を送っていました。しかしシベリア支店に独身者が海外派遣されることが決まり、困ったリカがタクヤに偽装結婚を持ちかけるラブストーリーです。

　コミュニケーションの苦手なふたりが「結婚」という大きなうそをついてしまい、振り回されていく様子が面白く、ときどきドキッとさせられる恋愛ドラマです。第1話では、酔っ払ったリカがタクヤの肩にもたれかかるシーンが情緒にあふれていました。生きるのに不器用なふたりが、じっくりと関係を作っていくラブロマンスに期待できます。

　なお原作マンガの若木民喜先生は『神のみぞ知るセカイ』もアニメ化されています。リカ役の早見沙織さん（『神のみ』ではハクア役）を筆頭に『神のみ』ヒロインたちが多数出演していることにも注目です。

■木曜夜は寝られないほど豪華なラインナップに

部活や恋愛にひたむきにがんばる、ド直球の青春ドラマが見どころのTVアニメ『アオのハコ』キービジュアル　(C)三浦糀／集英社・「アオのハコ」製作委員会

●『アオのハコ』

　スポーツ強豪校に所属する「猪股大喜」はひとつ上の先輩「鹿野千夏」に恋をしていました。ある日、千夏が海外に引っ越しすることを聞いた大喜は……という青春部活ラブストーリーです。

　片思いしていた千夏にマフラーをつけてもらって緊張したり、お互いの指先がかすかに触れて見つめ合ったり、第1話から思春期のキラキラした恋愛描写が心に響きます。大人にとっては、大喜のピュアな恋愛にどこか懐かしさを感じる、そんな映像の美しさにドキッとさせられるのです。ノスタルジックで綺麗な青春アニメという意味で、映画『君の名は。』が好きな人にもおすすめしたいです。

●『ダンダダン』

「幽霊は信じているが宇宙人否定派」の「綾瀬桃（モモ）」と、「宇宙人は信じているが幽霊否定派」の「高倉健（オカルン）」は、お互いに否定する宇宙人と幽霊を信じさせるため、モモはUFOスポットの病院廃墟へ、オカルンは心霊スポットのトンネルへ行った先で、別々の怪奇に襲われてしまいます。

「ジャンプ＋」で連載中の、都市伝説の化け物たちと戦うバトルアクションマンガがアニメ化されました。原作の特徴であるスピーディな展開や、キメ細かく描かれた画面作りはアニメでも健在です。第1話では、宇宙人にさらわれて貞操のピンチにおちいったモモのもとに、間一髪でかけつけるオカルンの熱さが「ジャンプ」の主人公らしく、カッコよく輝いていました。

●『るろうに剣心－明治剣客浪漫譚－』第2期「京都動乱」

　幕末の動乱期に「人斬り抜刀斎」と恐れられた維新志士「緋村剣心」は、明治政府の転覆をくわだてる「志々雄真実（ししお　まこと）」を止めるべく、「神谷薫」に別れを告げて京都へ旅立ちます。

　ご存じ『るろうに剣心』の新作アニメ、第2クールが始まりました。原作ファンから絶大な人気を誇る「京都編」ということもあって、期待する方も多いでしょう。第26話では「斎藤一」と「相楽左之助」のバトルが熱く、まるでボクシングアニメのような拳同士の殴り合いに興奮しました。1996年版の旧アニメでも「剣心vs志々雄」の戦いはベストバウトだったので、令和のアニメ技術であの名対決がどう描かれるのか、いまから待ち遠しくて仕方がありません。

●『トリリオンゲーム』

　気弱で人と話すことが苦手な「平学（ガク）」は就職活動に全敗して、本命であった巨大企業「ドラゴンバンク」本社の窓拭きバイトをしながら、みじめな気持ちになっていました。そこにワルで人たらしの「天王寺陽（ハル）」が起業を持ちかけて、ふたりで1兆ドルの会社を作ることを目指します。

　所持金20万円からスタートした正反対のふたりが、掟やぶりの奇策でビジネス相手を手玉に取り、成り上がっていくドラマチックな展開が好評の作品です。第2話ではドラゴンバンクの社長令嬢「黒龍キリカ」に話を聞いてもらうために、ハルは200kg超のバーベルを持ち上げます。ジムのトレーナーも仰天する怪力ぶりですが、実はその重りは、発泡スチロールだったのです。

　度胸のあるハッタリと口説きで相手を手玉に取るハルと、小心者ながら凄腕のプログラマーであるガクの活躍にカタルシスを感じる起業ドラマから目が離せません。

■世知辛い魔法少女たちの物語も

魔法少女とベンチャー企業という組み合わせが斬新なTVアニメ『株式会社マジルミエ』キービジュアル　(C)岩田雪花・青木裕／集英社・マジルミエ製作委員会

●『株式会社マジルミエ』

　就職活動に苦戦する女子大生「桜木カナ」は、怪異と戦う魔法少女「越谷仁美」を手助けしたことをきっかけに、ベンチャー企業「株式会社マジルミエ」に魔法少女として新卒入社することが決まります。

　第1話の見どころは、ジャージ姿の越谷仁美が魔法少女に変身する姿です。いろいろなポーズを決めながら、キラキラした光に包まれて変身していくシーンを、たっぷり1分間もの作画を使って美麗に描かれています。いわゆる魔法少女アニメのお約束である「変身バンク」に気合が入っていて、何度もリピート再生してしまった人もいるのではないでしょうか。「戦う魔法少女」にIT系ベンチャーの「お仕事」要素が加わっていることが目新しく、今後も見逃せません。

●『オーイ！とんぼ』2期

　過疎の島で暮らす天才ゴルフ少女「大井とんぼ」が、元プロゴルファーの「五十嵐一賀」に才能を見出されて、競技ゴルフの世界へと羽ばたいていくスポーツアニメです。

　2024年春アニメの第1期では、ライト層から濃いアニメファンまで支持されて、ダークホースとして話題になりました。最初のとんぼは、1本のゴルフクラブしか持っていませんでした。それが五十嵐やライバルの「安谷屋つぶら」といった出会いを通して、1本ずつクラブを増やしていくことが成長の証となっているのです。ゴルフ描写だけではなく、人間ドラマにも見ごたえがあります。

●『妻、小学生になる』

　10年前に妻を亡くした「新島圭介」は、ずっと失意の中にいました。ところが小学生の女の子「白石万理華」が自宅に訪れて、自分を他界した妻「新島貴恵」だと名乗るのです。圭介と娘の「新島麻衣」には信じられませんでしたが、万理華は家族しか知らない思い出を次々に言い当てるのです。

　2年前にも実写ドラマ化した人気マンガが、このたびアニメ化されました。活気を失った中年サラリーマンが、死に別れた妻と再会することで覇気を取り戻す第1話には感動させられます。娘も就職活動に精を出すようになり、止まっていた家族が、もう一度前を向いて歩きはじめる「家族再生の物語」として、これからも期待できるホームドラマです。

（かーずSP）