国民的アニメの超有名人も戦争に… 意外? そうでもない? 従軍経験のあるキャラ
マグミクス / 2024年10月13日 19時5分
■国民的アニメで「太平洋戦争勃発」のテロップ
2025年は戦後80年という節目の年です。日本が敗戦した1945(昭和20)年8月15日に20歳だった人は100歳になり、従軍経験のある人はますます減っていくと思われます。
ところで、アニメ、マンガでは、意外なキャラクターが従軍経験をしています。「一年戦争」や「聖杯戦争」などではない、リアルな戦争を体験したキャラを見ていきましょう。
●ヒデじい 『ちびまる子ちゃん』
『ちびまる子ちゃん』に登場する大金持ちの「花輪くん」の、いつも優しい執事である「ヒデじい」こと「西城秀治」は、従軍経験者です。若い頃から花輪家で働いていたヒデじいは、妻「トシ子」、愛娘「春子」と平和で幸せな日々を過ごしていたところ、昭和16年に太平洋戦争が勃発、ヒデじいは昭和18年に出征します。
いわゆる南方戦線と思しき場所で、年下の戦友「平岡」とともに米兵に追い詰められるも、米兵は地雷を踏んでしまって爆発を起こします。故郷の恋人に別れを告げながら死んでいく米兵を見つめながら、平岡が「オレたちなんでこんな所でこんなことしてるんでしょうね」と問いかけると、ヒデじいは「……忘れた。もう戦争の意味すら私達にはわからん」と静かに答えていました。
アニメでヒデじいの従軍経験が描かれたのは、「ヒデじいの人生」(1995年7月16日放送)です。真珠湾攻撃の様子と暗い表情の「まる子」たちがカットバックで映し出されたり、ジャングルのなかを歩くヒデじいが人骨を踏む描写があったりと、演出、作画とも非常に力の入った回でした。真っ暗な画面に赤い字で「昭和16年 太平洋戦争 勃発」と出た直後に、日の丸が画面いっぱいにたなびく描写を観た子供たちは、きっとただならぬものを感じたでしょう。なお、この回の主題歌は「うれしい予感」をまる子&たまえが歌うスペシャルバージョンになっていました。
同エピソードは、2011年8月14日放送回にて「原作25周年記念」としてリメイクされたほか、実写版『まるまるちびまる子ちゃん』でも「終戦記念特別企画」として映像化されています(2007年8月9日放送)。大規模なロケーション撮影のほか、玉音放送の音声をそのまま流すなど、力の入ったものになっており、ヒデじい(演:森本レオ)が「平和が一番です」と静かに語り、まる子(演:伊藤綺夏)が「戦争って悲しいねぇ」とつぶやくメッセージ色の強い作品になっていました。
アニメの脚本を務めたさくらももこ先生にとっても、大切なエピソードだったのでしょう。なお、ヒデじいが37歳で戦地に向かった一方、それより8歳上と見られるまる子の祖父「友蔵」は従軍経験がなかったようです。
■南方戦線で「プロレスの鉄人」と戦った男?
猪熊滋悟郎が主人公のスピンオフ。『JIGORO! 完全版』著:浦沢直樹(小学館)
●猪熊滋悟郎 『YAWARA!』
『YAWARA!』の主人公である「猪熊柔」の、インパクト抜群の祖父「猪熊滋悟郎」も、従軍経験者です。柔道の達人で大げさな武勇伝を語るのが大好きな滋悟郎の、若かりし頃のエピソードは『JIGORO!』として単行本化されています。
原作マンガは次のようなストーリーです。昭和20年、フィリピン諸島に出征していた滋悟郎は、ジャングルのなかでも意気軒昂でありながら、しかし飢え死に寸前となっていました。やがて滋悟郎たちは、偶然はちあわせた丸腰の米兵たちと、米軍の救援物資を賭け5対5の素手の試合を行います。たちまち4人を投げ飛ばし、関節技でギブアップを奪った滋悟郎だったものの、5人目は強敵でいつまでたっても決着がつきません。それもそのはず、その男とはプロレスの鉄人「ルー・テーズ」だったのです。
戦中の思い出を得意げに話す滋悟郎のこの話は、しかしいつものホラ話かもしれません。とはいえ、従軍経験があったのは確かなようです。なお、実在するルー・テーズは、フィリピン戦線に赴いた記録がありません。
アニメ『YAWARA!』では、若き日の滋悟郎のエピソードは3話にわたって描かれていました。そのうちのひとつ「滋悟郎その愛―感涙友情編―」(1990年12月9日放送)は、1936(昭和11)年に日本にやってきた巨漢のアメリカ人「デービス」と、柔道を通じて友情を芽生えさせるエピソードです。同年開催の「ベルリンオリンピック」に出場したデービスの話を聞いて発奮した滋悟郎でしたが、1940(昭和15)年に予定されていた「東京オリンピック」はあえなく中止に。そこから戦争の写真が次々とフラッシュバックしましたが、アニメで滋悟郎の従軍エピソードは描かれませんでした。
奔放な滋悟郎を演じた永井一郎さんによる名演が忘れがたいです。
●磯野波平 『サザエさん』
永井さんといえば、亡くなられるまで声を担当していた、おなじみ『サザエさん』の「磯野波平」も従軍経験者です。原作マンガにもアニメにも戦地の描写はありませんが、原作に次のようなエピソードがあります。
深夜、酔っ払って帰宅した波平は、「フネ」に「イヤ~おどろいたヨ 南方で一しょだった戦友にパッタリ出あってサ」と言い訳します。翌日、波平とデパートに出かけたフネは、偶然会った知人の女性の前で突然、「ハッ! おなつかしい婦長どのでありましたか!!」と直立不動で敬礼します。フネは女性を「従軍かんご婦してた時のせんぱいヨ!!」と波平に紹介しますが、これは女性と出かけるためのウソでした。心配する知人にフネは「いつも男がつかう手だもの」と笑い飛ばしています。ユーモラスなエピソードですが、波平が南方戦線にいたのは確かでしょう。
なお、一部で「マスオ」がインパール作戦に従軍していたといううわさが聞かれます。しかしながら、そのようなエピソードは原作にもアニメにもありません。原作者である長谷川町子先生の義兄(姉である毬子の夫)がインパール作戦で玉砕したことと混同されているのでしょう。
明確に反戦の意図を込めた『ちびまる子ちゃん』、バブル期の作品らしく戦争もライトな描き方だった『YAWARA!』、まだ社会の至るところに戦争の残り香があった『サザエさん』と、それぞれアプローチは異なるものの、昭和から平成にかけては戦争経験者が身近にいた時代であり、作中にも自然に登場していました。
第二次世界大戦は遠い過去の出来事になりましたが、世界各地では依然として戦火が絶えず、広がりさえしています。戦争の悲惨さを子供の世代に語りついでいくことは我々、大人たちの義務です。さまざまな作品を通じて戦争を知ることも大切だと思います。
(大山くまお)
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