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おっと、そうきたかぁ… 見たら精神的大ダメージ不可避な「鬱アニメ」

マグミクス / 2024年10月13日 12時25分

おっと、そうきたかぁ… 見たら精神的大ダメージ不可避な「鬱アニメ」

■現実とネットの境目が壊されていく恐怖

 テーマが重い、バッドエンドで終わる、容赦なくメインキャラが死んでいくなど、見ていて鬱になるような作品のことを、一部では「鬱アニメ」と呼びます。見れば胸が痛くなるのに、それでもなぜか見てしまう……という魅力があるのが鬱アニメです。

●『serial experiments lain』

『serial experiments lain(シリアルエクスペリメンツレイン)』、通称『レイン』は1990年代に展開されたメディアミックス作品です。雑誌連載、TVアニメ、ゲームなど媒体によってストーリーは異なりますが、現実世界(リアルワールド)と仮想世界(ワイヤード)が存在する社会で、主人公が現実と仮想空間の区別が付かなくなるような目に遭う……というコンセプトは共通しています。

 アニメ版では「岩倉玲音(いわくら れいん)」という中学生の少女が主人公です。彼女が自殺したはずの同級生からメールを受け取ったことをきっかけに、仮想世界の深淵にはまっていき、最後にはワイヤード上の存在になってしまうという内容でした。

 同アニメはインターネット黎明期に制作された作品でありながら、タブレット端末でのネットサーフィンに熱中する人びと、ネット上と現実双方で行われるイジメに悩む学生、VRゴーグルで仮想空間に入りこむゲーマーなど、現代のガジェットやネット社会のあり方が克明に描かれていました。今改めて見てみると、あの時代にここまで未来予想できていたという事実にまず驚かされるでしょう。

 と同時に、現実と仮想世界の境目が曖昧になっていく登場人物たちの姿は、ネット社会を生きる現代人にとって不安と恐怖でしかありません。毎話冒頭に挿入される「プレゼントデイ プレゼントタイム……hahaha」という不気味な男の声も相まって、じわじわくる恐ろしさが楽しめるはずです。

●『キノの旅』

 アニメ『キノの旅』は、時雨沢恵一先生のライトノベルシリーズを原作とした作品です。物語の舞台は個性豊かな国々が散在する架空の世界、そこで旅人である主人公「キノ」と相棒の喋るモトラド(オートバイ)「エルメス」がいろいろな国を巡っていきます。

 キノたちが巡る国々は実にさまざまで、人の優しさに触れることもあれば、醜い争いに巻き込まれることもありました。そのため話の雰囲気も、舞台となる国によってガラリと変わります。なかでも作中屈指のインパクトを誇るエピソードといえば、「優しい国」ではないでしょうか。

 その国を訪れる前にキノが聞いていた評判は、「旅人が来ると店が閉まる」「子供が石を投げてくる」などと散々なものでした。しかし実際に訪れてみると、前評判に反して国をあげて歓待されます。キノはこの国に心地よさを感じ、「どのような国でも滞在期間は3日間まで」という自分のルールを破って延泊しようとしました。

 ところが町人はこれを許さず、キノを追い出してしまうのです。どうして彼らは延泊を許さなかったのか、やはり何か裏があるのか、なぜ前評判に反して人びとは優しかったのか……。その理由を知ったとき、「優しい国」の本当の意味を知ることになるでしょう。

『キノの旅』は2003年と2017年に2度のアニメ化を果たしており、両作とも「優しい国」を映像化しました。公式人気投票企画で1位に輝くなど、ファンの間でも人気の高いエピソードであり、ネット上には今も「優しい国は良くも悪くも余韻がすごい」「嗚咽したレベルで号泣したのはこれが初めて」「普段のダークさと違う意味でグサッとくる」といった声があがっています。

■話題沸騰中のポップでサイコな鬱アニメ

『アメイジング・デジタル・サーカス』サムネイル画像 (C)All rights reserved. The Amazing Digital Circus(TM) is a registered trademark in Australia and/or other countries.

●『ザ・アメイジング・デジタル・サーカス』

『ザ・アメイジング・デジタル・サーカス』は、オーストラリア発のWebアニメーションです。日本語版も製作されており、アニメスタジオ「GLITCH Productions」のYouTubeチャンネルで視聴することができます。

 子供向けアニメのようなポップな世界が舞台とあって、一見「鬱」な雰囲気は見受けられません。登場人物たちもウサギや人形型のキャラクターなどファンタジー要素全開の面々ばかりで、物語も明るく楽しげなオープニングから幕を開けます。

 ところが、この世界には闇がありました。主人公の「ポムニ」をはじめ、ウサギの「ジャックス」も人形の「ラガタ」もみな、「アメイジング・デジタル・サーカス」とよばれる仮想世界に閉じ込められた元人間だったのです。仮想世界からの脱出は不可能で、住人たちはおかしなイベントを繰り返す日々を送り、ふとしたきっかけで自我と知性を失うという地獄のような世界観が描かれています。

 明るく陽気なユートピアと見せかけて、実はとんでもないディストピアを描いた『ザ・アメイジング・デジタル・サーカス』は、瞬く間にネット上で話題となり、パイロット版にあたる第1話は、わずか5か月で3億回再生を記録しました。なお同作のプロジェクトは今も進行中で、2024年10月5日から最新3話がNetflixとYouTubeの両方で視聴可能になっています。気になる人は、この明るくも恐ろしい世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

(ハララ書房)

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