作画美しすぎて見入っちゃうけど 「鬱」になる人も多い名作アニメ映画3選
マグミクス / 2024年10月16日 18時25分
■リアルな恋愛描写に苦い思い出がよみがえる
暗い展開や陰鬱な世界観を描いたアニメ映画のなかには、作画の美しさゆえに、鬱とかけて「鬱くしい」と評される作品もあります。どのような作品が、観る人の心を重くし、なおかつ惹きつけているのでしょうか。
※この記事には『秒速5センチメートル』『メトロポリス』『ハーモニー』のネタバレが含まれます。未視聴の方はご注意下さい。
●『秒速5センチメートル』
美しい鬱映画といえば、『君の名は。』(2016年)や『天気の子』(2019年)で大ヒットを記録した、新海誠監督のアニメ映画『秒速5センチメートル』(2007年)は外せません。本作は惹かれあっていたはずの男女の、報われない恋愛模様を3つの連作短編で描いています。
第1話「桜花抄」では、両想いだった「遠野貴樹」と「篠原明里」は、小学校卒業のタイミングで明里が栃木へ転校し、離ればなれになりました。そののちに、貴樹も鹿児島へ引っ越すことになります。さらに距離が離れ、2度と明里と会えなくなるかもしれないと思った貴樹は、転校前に豪雪のなか栃木まで電車を乗り継いで会いに行き、途中長時間の足止めを食らうも何とか再会を果たします。しかし、その後、時間の経過とともにふたりの関係は途絶えてしまうのでした。
なかでも特に心が苦しくなる場面は、3話「秒速5センチメートル」での貴樹と明里が大人になったシーンです。貴樹は大人になっても明里への思いを断ち切れず、交際していた恋人にフラれてしまいます。一方、大人になった明里は貴樹への思いをすでに断ち切っており、別の男性と結婚しているのです。
ラストでは貴樹が吹っ切れたように見える笑顔を見せており、バッドエンドとも言えない後味でした。それでも男女のリアルな恋愛模様を描いた展開に対し、ネット上では「良い作品なのは間違いないけど、残酷な現実を突きつけられて心が苦しい」「美しい映像に対して現実的なストーリーがグサッと刺さる」などの声があがり、本作を鬱作品としてとり上げる人も少なくありません。
本作は奥山由之さんが監督を務め、松村北斗さんが主演の実写版映画が2025年秋に公開予定です。アニメ映画版が63分だったのに対し、実写映画版の上映時間は2時間近くなるようで、どんな要素が付け足されるのか注目が集まります。
●『メトロポリス』
マンガ界の巨匠、手塚治虫先生の同題マンガを原作としたアニメ映画『メトロポリス』(2001年)は、総制作費に10億円かけられており、そのハイクオリティな映像美が高く評価されています。一方、重い展開が多く描かれたストーリーで、鬱映画としても名高い一作です。
私立探偵の主人公「ケンイチ」と叔父「ヒゲオヤジ」は、ある事件を追って国際指名手配犯「ロートン博士」を捕まえに、人と機械が共存する都市「メトロポリス」を訪れます。ふたりが博士を捜索していると火事の現場に遭遇し、ケンイチはメトロポリスの有力者「レッド公」の娘に似た人造人間「ティマ」と出会い、親交を深めていきました。しかし、実はティマにはメトロポリスの命運を握る力が秘められており、ケンイチは彼女を巡る思惑に巻き込まれていくのです。
終盤ではティマが損傷を受けたことで思考回路に異常をきたし、秘めた力でメトロポリスのロボットを支配下に置き人類の虐殺を命じました。ティマの暴走は止まらずケンイチにも手をあげますが、ふたりがいた建物が爆発して崩壊し、ティマも建物と一緒に落下します。
そして、ティマを大切に思うケンイチは手をつかみ引き上げようとするも、手が滑ってティマは地上へと墜落するのです。この終盤のシーンでは作画の美しさはもちろんのこと、ロマンチックなレイ・チャールズの「I Can’t Stop Loving You」が流れ、ふたりの別れを予感させながらも印象深い演出となっていました。
本作は気軽には観られない内容ですが、高く評価する人は多く「科学が進んだディストピアを神がかった作画とジャズで表現した名作」「背景のクオリティが化け物じみてて凄まじい。でも、話が鬱なんだよな……」といったレビューが相次いでいます。
■どこか気持ち悪いディストピアな世界観
映画『ハーモニー』メインビジュアル (C)Project Itoh / HARMONY
●『ハーモニー』
伊藤計劃先生が手がけた同題小説を原作とするアニメ映画『ハーモニー』(2015年)も、美しい映像ながらも、ディストピアのような世界観が描かれています。
舞台は戦争と未知のウイルスが蔓延した「大災禍」から復興して、健康志向と平和を重んじるようになった世界です。この世界の人びとは体内にナノマシン「Watch Me」を取り込み、機械で身体をチェックすることで、病死を克服しました。主人公の「霧慧トァン」や友人の「御冷ミァハ」らは、そのような機械によって管理されている世界に嫌気がさし、自殺を図ります。しかし、自殺は失敗に終わり、ミァハだけが死んでしまうのです。
生き残ったトァンは大人になり、平和維持活動を行う監察官になって紛争地帯を渡り歩いていました。そんなある日、唐突に人びとがいっせいに自殺をする事件が勃発します。調査を始めたトァンは、死んだはずのミァハが関係していることに気付くのです。
本作は優しい理想の世界のはずながら、人類が機械の管理下に置かれた状況でどこか陰鬱な雰囲気が漂っています。さらに、中盤では自殺事件を起こした犯人らが、TVを介して新しい世界を作ると称して他者を殺すことを強要し、できなければWatch Meを利用して自殺させると世界中の人へ犯行声明を出しました。そして暴徒が発生して、次第にこれまでの世界は終わりへと向かっていくのです。
暗い世界観や終末へ向かう絶望的展開に、ネット上では「映像がキレイだから観られるけど、破滅へ向かおうとするストーリーなので全体的に鬱っぽい」「原作が小説だけあって、最近のアニメ、脚本とはまるで違う文学の重さも備え持った良質な作品だった」「自殺シーン多くてグロいし、ミァハが幼い時に強姦された記憶を語る場面がキツすぎ」「目の前で友人が首にフォークをぶっ刺して自殺するシーンがトラウマ」と、過酷な世界観に衝撃を受けつつも、高く評価する声も出ています。
(LUIS FIELD)
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