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1度のみならず2度までも? 掲載誌の休刊、廃刊を何度も乗り越えた名作マンガ3選

マグミクス / 2024年10月15日 20時0分

1度のみならず2度までも? 掲載誌の休刊、廃刊を何度も乗り越えた名作マンガ3選

■誕生から50年以上連載が続いた伝説の「雑誌クラッシャー」も

 掲載誌が休刊、廃刊になるというのは、連載マンガにとって最大のピンチです。結局そのまま打ち切りに追い込まれてしまった作品も数多く存在しますが、逆にそうした困難を幾度となく乗り越え、数奇な運命をたどったマンガも少なくありません。

 そのひとつに数えられる作品といえば、やはり聖悠紀先生の『超人ロック』ではないでしょうか。同作は不死の「超人」と呼ばれる超能力者「ロック」が、さまざまな時代でさまざまな人間として活躍していく一代記的SF作品です。もともとは同人誌で発表された作品でしたが、界隈で人気が出て商業誌に進出、1984年には劇場版アニメが制作されるほどの人気作となりました。

 そして『超人ロック』を語るうえで欠かせない話題がもうひとつ、それが掲載誌の変遷です。これまで同作は1度や2度では済まない掲載誌の休刊、廃刊を経験しています。もちろん『超人ロック』のせいではありませんが、一部では「掲載誌殺し」「雑誌クラッシャー」などの異名で知られています。

 ではここで一気にその変遷をたどってみましょう。まず商業誌へ進出した当初は、少年画報社のマンガ誌「週刊少年キング」で連載が始まりました。しかし1982年に休刊、誌名を「少年KING」に改めて再出発を果たすものの、1988年に休刊となってしまいます。

 さらにここからスコラ社の「月刊コミックバーガー」、みのり書房の「月刊OUT」、ビブロス社の「月刊MEGU」など出版社の枠を超え、さまざまなマンガ誌に掲載されてきましたが、その多くが休刊となり、「月刊OUT」のみのり書房に至っては会社自体が解散となってしまいました。

 そうした波乱万丈な経緯をたどってきた同作は、2022年10月に聖先生の逝去とともに完結を迎えることになります。最終話は聖先生が遺したネームとプロットをもとに、長年先生のアシスタントを務めてきた佐々倉咲良さんが描き上げ、KADOKAWAの「月刊コミックフラッパー」に掲載されました。ちなみに「月刊コミックフラッパー」は現在も続刊中です。

『超人ロック』ほどではありませんが、この手の話題を語るうえで『強殖装甲ガイバー』の存在も忘れてはなりません。同作は1985年に徳間書店の「月刊少年キャプテン」創刊号から連載が始まりましたが、1997年に掲載誌が休刊となってしまいます。その後、移籍先となる角川書店(現:KADOKAWA)の「月刊エースネクスト」で連載を再開するも、2002年に同誌も休刊へ。2007年に「月刊少年エース」に移籍して以降は、連載が続いている状態です。

 ただ実のところ『強殖装甲ガイバー』の現状は長らく休載が続いており、2016年に入ってからは1度も掲載されていません。2度の休刊を乗り越えてきた作品だけに、連載再開を願っているファンも少なくないようです。

■他社から集英社へ移籍した作品も

『ハチミツとクローバー』第1巻 著:羽海野チカ(白泉社)

 そのほか、羽海野チカ先生の『ハチミツとクローバー』も掲載誌の休刊を何度か経験しています。同作は美術大学を舞台にした青春群像劇で、宝島社の「このマンガがすごい!」オンナ編では2年連続1位を獲得、アニメやドラマ、さらには実写映画など多くのメディアミックスが展開された人気作です。

 おそらく世間一般的には集英社の作品というイメージが強いと思いますが、実は連載を開始した当初は宝島社の「CUTiE Comic」に掲載されていました。しかし同誌が休刊となってしまったことで集英社の「ヤングユー」に移籍後、再び休刊となり、同じ集英社の月刊女性マンガ誌「コーラス」へと移動したのです。そして2006年9月号をもって『ハチミツとクローバー』は無事に最終回を迎えました。

 しかし物語が完結に至るまでの道のりは、それなりの苦労があったようです。自身のX(旧:Twitter)を通して羽海野先生が語ったところによると、雑誌の休刊を受けた際、リュックに既刊誌を詰めて先生自ら出版社に営業をかけたといいます。そうした紆余曲折を経て完成させた『ハチミツとクローバー』について、羽海野先生は「3誌に渡り連載を続け 書店員さんや読者さんに支えていただき ゴールまで歩き通した物語です」「自分でも簡単にはもう開けないくらいの何かが詰まっています」と語っていました。

 ちなみに宝島社から出版されたコミックスはわずか1巻のみで、集英社版とは表紙のイラストが異なっています。それだけに熱心なファンからは一種のレアアイテムとして扱われ、多くの読者の宝物となっているようです。

(ハララ書房)

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