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居候アニメの傑作『ハクション大魔王』 視聴者が号泣した伝説の最終回とは?

マグミクス / 2020年4月11日 8時50分

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■洗練されたデザインで人気を集めた「タツノコプロ」

「呼ばれて飛び出て、ジャジャジャジャ~ン!」懐かしいギャグアニメが帰ってきました。1969年~70年にテレビ放映された『ハクション大魔王』が、現代を舞台にした『ハクション大魔王2020』(読売テレビ・日本テレビ系)となって再登場します。第1回は2020年4月11日(土)17時30分からのスタートです。おなじみのセリフやキャラクターは覚えていても、内容はすっかり忘れてしまった人、初めて観る人も多いと思います。暑苦しいキャラだったけど、どこか憎めない存在だった『ハクション大魔王』を振り返ってみましょう。

 新作もオリジナル版も『ハクション大魔王』は、老舗のアニメーションプロダクション「タツノコプロ」の作品です。「タツノコプロ」は漫画家の吉田竜夫氏が、弟の吉田健二氏、九里一平氏らと共に1962年に設立したプロダクションです。1967年にフジテレビ系で放映された『マッハGoGoGo』や1972年から始まった『科学忍者隊ガッチャマン』など、洗練されたデザインがとても印象的でした。

 また、「タツノコプロ」からは、人気ゲーム『ファイナルファンタジー』のキャラクターデザインを手掛けた天野喜孝氏、『機動戦士ガンダム』のメカデザイナー・大河原邦男氏、『うる星やつら』でブレイクする押井守監督といった鬼才たちが飛び出しています。

■主人公は半裸のオッサン

 アメコミっぽい絵柄のアニメーションで人気を集めた「タツノコプロ」ですが、『ハクション大魔王』はかなりテイストの変わったドタバタ系コメディでした。後に『タイムボカン』『ヤッターマン』などの大ヒットコメディを飛ばすことになる笹川ひろし監督の初期代表作が、『ハクション大魔王』だったのです。

 主人公である魔王は、半裸姿のヒゲのオッサンです。魔法が使えなければ、ただの不審者です。不思議な壺を見つけた小学生のカンちゃんがクシャミをすると魔王は現れ、もう一度クシャミをすると壺のなかへと戻ります。カンちゃんは魔法の使える魔王にお願いごとをしますが、いつも魔王はトラブルを招き、カンちゃんは悲惨な状況に巻き込まれることになるのです。

 魔王はハンバーグが好物で、大量のハンバーグをまるで飲み物のように飲み干してしまいます。魔王がハンバーグ好きという設定になったのは、番組スポンサーが「マルシンハンバーグ」で知られる「マルシンフーズ」だったからだという説があります。新番組『ハクション大魔王2020』のスポンサーがどこなのかも、ちょっと気になるところです。

 壺のなかに戻っていないときの魔王は、カンちゃんの家の屋根裏部屋で居候生活を送っていました。1964年には藤子不二雄氏原作の『オバケのQ太郎』がTBS系でTVアニメ化され、大人気を博しました。1973年からは日本テレビ系で『ドラえもん』もTVアニメ化されることになります。風変わりな同居人との共同生活を描いた「居候アニメ」が、広く親しまれていた時代でした。

■魔王以上の人気キャラだった「アクビ娘」

『ハクション大魔王2020』オフィシャルガイドブック(東京ニュース通信社)

 あくびをすると壺から現れる「アクビ娘」も忘れられないキャラクターです。魔王の娘ですが、明るくておしゃまな性格で、とても人気がありました。エンディング曲『アクビ娘の歌』は、途中から主題歌『ハクション大魔王』を押し除けてオープニング曲になったほどです。

 中東の逸話『アラジンと魔法のランプ』をモチーフにした『ハクション大魔王』ですが、アクビ娘は米国のコメディドラマ『かわいい魔女ジニー』から影響を受けていると思われます。日本では1966年からテレビ放映された『かわいい魔女ジニー』は、いたずら好きなセクシーな魔女が宇宙飛行士の家に居候するというドラマでした。小悪魔的なキャラクターながら、健気な一面も持つアクビちゃんは、ジニーと通じるものを感じさせます。

 そう考えると、押井守監督の出世作となった『うる星やつら』の鬼娘・ラムちゃんも、ジニーやアクビ娘の系譜に連なるキャラなのかもしれません。かわいい魔法少女と一緒に暮らせたら楽しいだろうなぁ……。いつの時代も男たちは、そんなことを夢想してしまうようです。

■まさか? 視聴者が号泣した感動の最終回

 魔王の天敵・ブルドッグのブル公に追われ、1年間にわたってドタバタを重ねてきた『ハクション大魔王』ですが、最終回はシリアスモードに転調し、視聴者を号泣させました。魔王とアクビ娘は魔法の国へ帰ることになったのです。人間の世界には100年後にしか戻れないそうです。それまで魔王とアクビちゃんにさんざん振り回され続けてきたカンちゃんとその家族でしたが、唐突な別れにショックを受けてしまいます。

 魔王とアクビちゃんが魔法の国へ帰らなくて済むように、カンちゃんたちはクシャミもあくびもしないように必死で我慢します。でも、ふたりが魔法の国へ帰る期日となる、月食の夜が訪れました。不思議な力が働き、カンちゃんのお父さんはあくびを、カンちゃんはクシャミをしてしまいます。大魔王とアクビちゃんは壺のなかへと消え、壺自体も消滅するのでした。ほんの一瞬の出来事でした。

 大食漢で、算数が苦手で、ろくに役に立たなかった大魔王ですが、カンちゃんにとっては掛け替えのない少年時代を一緒に過ごした仲間だったのです。カンちゃんはクシャミをするたびに、さびしいようなほっこりするような不思議な気分になるのでした。

 新作『ハクション大魔王2020』では、カンちゃんの孫にあたるカン太郎(CV:島袋美由利)のところに、魔法の国の王位を継ぐ修行のためにアクビちゃん(CV:諸星すみれ)が現れることになるそうです。魔王(CV:山寺宏一)とアクビちゃんの弟・ブゥータ(CV:山下大輝)も登場するとのこと。50年ぶりに人間界に戻った魔王ファミリーは、一体どんな騒ぎを起こすのでしょうか。

(長野辰次)

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