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「ガンダムがなんかキモい」←意図的? 新作『復讐のレクイエム』の大胆な意見具申

マグミクス / 2024年10月18日 19時15分

「ガンダムがなんかキモい」←意図的? 新作『復讐のレクイエム』の大胆な意見具申

■速さだけじゃない 動きの「なんかヤな感じ」

 Netflixにて『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』が2024年10月17日(木)、配信開始されました。ネット上では「ガンダムが怖い」という感想が飛び交い、ゲーム『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』を思い出すという声も聞かれました。

※本記事には作品のネタバレ、および個人的な感想が多分に含まれます。

 本作『復讐のレクイエム』には、敵役として地球連邦軍のモビルスーツ「ガンダムEX」が登場し、圧倒的な強さで主人公サイドのジオン公国軍を文字通り蹂躙(じゅうりん)していきます。その姿は素直に恐怖といえるもので、同時に、その動きの滑らかさや速さといった挙動の端々から、なにかしら根源的な気持ち悪さを喚起されるようにも感じられました。

 この「気持ち悪い」という感情は、当初「不気味の谷」から沸き起こるものかと受け止めました。「不気味の谷」とは元々、ロボットの外観が人に近づくにつれ、一定の閾値(しきいち)を超えると急激に親和感が減少し、そのあとまた上昇するという仮説であり、CG表現にも使われる言葉です。しかし、登場人物やほかのMSに対してはそのように感じることもなく、作品全体の品質としては、不気味の谷などとうに越えたものでした。つまり「ガンダムEX」だけが異質なのです。

 ご存知のように、「一年戦争」におけるモビルスーツ「ガンダム」はゲームチェンジャーであり、その意味で「異質」というのはある意味、当然なのかもしれません。しかしながら上記したような、根源的な嫌悪感とでも言うべき気持ち悪さとはまた別のお話のはずです。つまりこの「恐怖」とは少し異なる「気持ち悪さ」は、おそらく意図的に演出されたものなのでしょう。

 シリーズ作品の「顔」でもある「ガンダム」を、なぜそのように描くのでしょうか。それは「ガンダムEX」のパイロットの正体がわかると、実に腑に落ちるものでした。

■パイロットの正体を通して見えた「演出意図」

切り裂かれたコックピットからの視点、紫の光の帯はビームサーベル、申し分なく恐怖である。『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』より (C)創通・サンライズ

 物語の後半、とある作戦の最中に、くだんのガンダムパイロットは少年兵であることが判明します。つまりは戦場の「異物」です。

「少年兵」とわざわざ表現するように、近現代のまっとうな感性の人間であれば、それは本来あってはならないものであり、そのような存在を生み出した大人や、体制や、時勢というものに嫌悪感を覚えるものでしょう。すなわち、「ガンダムEX」に対する意図的な嫌悪感を煽るような演出は、それを少年兵というアイコンに重ねたものと考えられるのです。

 これは既存の「ガンダム」シリーズ作品、ひいては「ロボットアニメ」全体への大胆な「意見具申」でもあるでしょう。我々は、同シリーズ作品やいわゆるロボットアニメにおいて、少年少女が戦場に立ちヒロイックな活躍をしたり、あるいは死んだりしていくことに慣らされ過ぎているのではないでしょうか。よって、単に敵として少年兵を出すだけでは足りない「嫌悪感」を、「ガンダムEX」の、もしかすると不気味の谷現象をも利用した「意図的な気持ち悪さ」で増幅し、我々の麻痺した感情を揺さぶりにきているというわけです。

 また、そのように少年少女が戦争の当事者となることは本来、あってはならないことであり、ひいては、戦争など本来やっちゃいけないことという、本作のメッセージでもあるのでしょう。無論、そうした点はストーリー上でもわかりやすく表現されていますが、演出にまで徹底されているところが、本作の白眉といえるのではないでしょうか。

(マグミクス編集部)

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