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【インタビュー】春アニメ『アルゴナビナス』の音楽愛。下積みも失敗も「物語の一部」に

マグミクス / 2020年4月10日 17時10分

【インタビュー】春アニメ『アルゴナビナス』の音楽愛。下積みも失敗も「物語の一部」に

■大切にしたい、キャラクターそれぞれの「ドラマ」

 作中のキャラクターたちが繰り広げるバンド活動と、担当声優によるリアルライブがリンクするボーイズバンドプロジェクト『ARGONAVIS from BanG Dream!』(以下、アルゴナビス)のTVアニメが、2020年4月10日(金)より放送開始します。「函館」を舞台に結成される大学生バンド「Argonavis」の物語とその未来について、音楽プロデューサーをつとめる、ブシロードミュージックの北岡那之さんに聞きました。

* * *

──キャラクターのプロフィールを読むと、Argonavisのメンバー全員が、シンプルに見た目を格好良くしただけの「王子さま系」とは違っているように感じます。

北岡 ボーカルの七星 蓮は人と接することが苦手で、ドラムの白石万浬には、実家の酪農場の経営が苦しいという背景があります。ベースの的場航海は幼い頃から面倒をみてくれた兄への複雑な感情があり、キーボードの桔梗凛生には夢に挫折した過去が、ギターの五稜結人には、華やかな実家と優秀な兄に対する強いコンプレックスがあります。

──それぞれのメンバーに複雑な背景があるという設定には、狙いがあるのでしょうか?

北岡 コンテンツ自体が、「女性向けだからこうしなければ」という意識で作られているわけではないのです。バンドのメンバーたちには若さからくる未熟な部分もあって、失敗もたくさんします。時にはお互いの関係性にも危機が訪れるかもしれない。それでも、ひとつになって夢へと向かっていく。それぞれが抱えきれない何かを内面に持っているからこそ、ドラマが生まれ、より多くの方から共感を得ることができる。僕たちはそんなふうに信じています。

 物語の中では、Argonavisがこれまで発表してきた楽曲の歌詞に込められた、本当の意味も明らかになります。そして、葛藤も苦悩も乗り越えて成長していくArgonavisの姿を、ご覧になっていただけると思います。

──青春の挫折を乗り越えて成功をつかみ取るという王道の物語であれば、性別どころか年齢も国境も越えて、多くの支持を集められそうです。

北岡 『アルゴナビス』のコンセプトのひとつに「泥臭さ」というのがあります。リアルでも伊藤昌弘さんと日向大輔さんが函館でストリートライブを行ったように、メンバー自身が汗をかきながら、応援してくれるファンの皆さんと一緒になって、今その時にできることを積み上げていく。そうして夢に向かっていく姿を、アニメでも描いていきたいですね。

──内面がきちんと描かれていた方が、キャラクターに対する妄想も膨らみます。「お金のためなら命かけられるよ?」と、うそぶく白石万浬くんも、お金には替えられない絆を、他のメンバーとの間に本当は感じているのかも……?といった具合に。

北岡 そうかもしれませんね(笑)。

■ライバルバンドも登場。重厚なサウンドで目標となる存在に?

お話を伺った、ブシロードミュージックの北岡那之さん(マグミクス編集部撮影)

──昨年末にTOKYO DOME CITY HALLで行われた2nd LIVEには、「GYROAXIA(ジャイロアクシア)」という、強力なライバルバンドが、サプライズで登場しました。

北岡 ゲーム版も含めて、特徴の異なる5バンドを立ち上げるという計画が当初からありました。「GYROAXIA」は、Argonavisと同じく、そのなかのひとつになります。

──ArgonavisとGYROXIAは、例えば「ライバル」といえるような対照的な存在でしょうか?

北岡 そうですね。ただ、Argonavisのライバルというより、彼らより先を行く、いわば「目標」となる存在なのかもしれません。音楽に勝ち負けというのは本来存在しないのですが、Argonavisから仰ぎ見られる存在である以上、少なくとも雰囲気は違っていなければならない。だからこそ、「GYROAXIA」の楽曲は、「王道」なArgonavisとは異なる、ヘビーな路線で勝負しようと思ったんです。

 ただ、Argonavisの楽曲も、単に「王道」なだけで心に残るフックのようなものがなければ、聞き流されてすぐに忘れられてしまう。そこで取り入れたのが、彼らならではの「泥臭さ」なんです。歌詞はキャラクターが抱える苦悩や、それを乗り越えていく先の希望を表現しています。

──それぞれのバンドの楽曲に、そのバンドだからこその「引っかかり」があるというわけですね。

北岡 もちろん、まず音楽ありきのコンテンツというのが前提です。例えばキャラクターありきでキャラクターソングとして楽曲を発表した場合、どうしてもキーが限られて、楽曲の振り幅も狭くなってしまうと思っています。

 でも、Argonavisはそうじゃない。デビュー曲の「ゴールライン」も、キーの高低差がかなりあって、誰もが簡単に歌えるような曲ではありません。この歌は、伊藤昌弘さんがいなければ形にできなかった。GYROAXIAも同じで、最初に発表した「MANIFESTO」はラップやシャウトを織り交ぜたテクニカルな曲ですが、ボーカルの旭 那由多を演じる小笠原 仁さんがいなければ、この曲は生まれなかったでしょう。

──プロデュース側がキャストと側と同じ目線で手を取り合って、共に作り上げていくコンテンツであるように感じます。

北岡 そこは『バンドリ!』でも、最も大切にしている部分です。僕たちもキャストもファンの皆さんも、一体になって泥臭く汗をかきながら、ひとつずつ夢を形にしていきたいですね。

■航海の先に目指すのは、東京ドームのステージ

──プロジェクトの立ち上げから今まで活動されてきた中で、大変なことも多かったんじゃないですか?

北岡 最初はうまくいかないこともしょっちゅうでしたし、イベントをやっても、お客さんがまばらなこともありました。路上ライブでは、自分たちどころか、コンテンツのことさえ全く知らない人たちに向かって、歌を投げかけなければならない、とても勇気がいることです。それでも、キャストたちは自ら「やりたいです!」と言って、チャレンジしてくれました。

──その勇気とモチベーションは、どこから湧いてくるんでしょう?

北岡 下積みも失敗も、やがて物語の一部になると信じているからでしょう。いつか夢にたどり着いた時に、「こんなこともあったよね」と話せる材料がたくさんあった方が、説得力もあるじゃないですか。

 ブシロードグループの中で、過去の成功体験がしっかりと引き継がれているというのもあるかもしれません。『探偵オペラ ミルキィホームズ』や『バンドリ!』を成功に導いた先輩方が、惜しみない助言とサポートをくれる。だからこそ、進む道が間違いじゃないと信じられるし、今を楽しみながら、全力で夢を追いかけられるんじゃないでしょうか。

 リアルライブリンクのノウハウも、そうして受け取ったものですから、僕たちがより一層磨き上げてから、後に続くコンテンツに引き継いでいかなければと考えています。

──「未知への航海」を続けるアルゴナビスですが、その先にたどり着きたい夢の場所はどこですか?

北岡 東京ドームですね。いつかは東京ドームのステージに立つ夢を、ファンの皆さんと一緒に叶えたいです。

──最後に、ファンや視聴者の皆さんに向けたメッセージをお願いします。

北岡 現在の段階でライブに足を運んでくれたりCDを買ってくれたりしているファンの皆さんは、作品に関する情報量が少ないにも関わらず応援してくれているわけで、本当にありがたく思っています。『アルゴナビス』は、ファンに支えられてここまで来ました。だから必ず、恩返しをしたいです。もちろん、これから好きになってくれる方々に対してもです。

 アニメでも今後の活動でも、絶対に損はさせません。僕たちと一緒に航海しましょう。そして、一緒に夢にたどり着きましょう!

※アニメ『アルゴナビス from BanG Dream!』は、
2020年4月10日(金)深夜1時25分から、MBS/TBS系全国28局ネット“スーパーアニメイズム”枠にて放送開始。

(取材/構成:香椎 葉平)

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