「ガンダム◯号機」ってなんなん? アムロのは2号機…ゲームやOVAのアレやコレは?
マグミクス / 2024年10月23日 6時35分
■「ガンダム○号機」と「ガンダムNT-1」は産地が違う!
ご存じ「アムロ・レイ」が乗っていた初代「ガンダム」の型番は「RX-78-2」、つまり2号機です。もともと劇中でもスーパーナパームで余ったパーツを燃やして処理しており、放送当時も「何機ぶんかが余分に作れたのでは?」と推測されていましたが、その後のゲームや小説などで、次から次へと「RX-78-○」が現れることになりました。いわゆる「ガンダム○号機」です。
「いったいRX-78って何号機まであったの?」「ガンダムはシリーズを重ねて人気も右肩上がりになったから、後付けで増やしたんじゃないの?」と、そのような疑問が頭をもたげるのは、ごく自然なことでしょう。
これらの答えはハッキリしています。まずRX-78は8号機まであり、後付けではなく、ゲームなどより前に作られた公式設定に基づいています。
まず「RX-78が8機」の初出は、劇場版2作目公開後に発売されたムック本「ガンダムセンチュリー」(みのり書房)です。あくまで公式本ではなく「初代ガンダムの脚本に参加したスタッフたちが参加した書籍」に過ぎませんが、後にバンダイが発売したプラモデルシリーズ「MSV」にラインナップされた「RX-78-1プロトタイプガンダム」(テスト用の試作機)の解説に、「原型試作機を含む増加試作機の総数は全8機」と書かれ、オフィシャル設定となりました。
さらに雑誌「SDクラブ」(バンダイ)に連載された企画「M-MSV」で大河原邦夫氏による4号機から7号機までのデザインが発表され、これら4機の姿は確定しました。あとは、どこでその見せ場を作るか……ということで、そこから満を持してゲームに登場という流れです。もっとも、ゲームごとに再デザインが施されているなどします。
なお、3号機こと「RX-78-3」は、媒体により設定が違います。富野由悠季監督による小説版では、半壊した2号機からアムロが乗り換える機体となりましたが、プラモデルの解説では「RX-78-2と同じ仕様の機体(サイド7で破壊された部品を集めて組み立てた)にマグネットコーティングを施して、アニメ版アムロの機体と同じ性能にした」というややこしい話になっています。
ともあれ、上述のように4号機から7号機までの設定は固まった(8号機は公式デザインなし)はず……でしたが、「ガンダムNT-1どうするんだ」問題が浮上します。
同機はOVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』(1989年)に登場する、型式番号「RX-78」を冠する機体であり、劇中の時代は初代ガンダムと同じ宇宙世紀0079年です。一年戦争中に作られており、「8機あったというRX-78」のどこかに位置づけられなければおかしいことになるはずです。
が、上記の4号機から7号機までのデザインとNT-1のそれは全く違います。M-MSVの連載と『ポケットの中の戦争』の発表時期は非常に近く、雑誌とアニメですり合わせができていなかったのかもしれません。
■一長一短あるガンダム○号機たち、オールラウンドなアムロ機こそ最強?
フルアーマーと冠するだけのことはある見た目。「HG 1/144 フルアーマーガンダム7号機」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
結局、プラモデルの解説では「RX-78-○はジャブロー基地で開発、NT-1はニュータイプ専用機としてオーガスタ基地で開発」と見事に矛盾を解決していました。要するに「産地が違う」ということです。
そのような「ガンダム○号機」たちは、PlayStation 2以降のゲーム機で順次デビューを飾っていきました。
ガンダム4号機と5号機は、PS2用ゲーム『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』(2003年)に収録されたオリジナルストーリー『宇宙、閃光の果てに……』に抜てきされました。どちらも基本仕様は似通っており、宇宙用に割り切ってコア・ブロックシステムも省かれ、マグネットコーティングを施したというものです。
そして4号機は「対艦用のメガ・ビーム・ランチャーを撃つこと」に特化し、高性能冷却システムを搭載しています。大火力により敵艦隊を殲滅できるものの、外部ジェネレーターが不安定で爆発する危険があるわ、チャージに時間がかかるわ、1発撃てばエネルギーを使い果たして動けなくなるという尖った機体です。
対して5号機は4号機と一緒に運用され、一発に賭ける4号機をサポートする役割です。「ジャイアント・ガトリングガン」が装備できるのも、4号機が身動きできないときに敵を抑えつけて時間稼ぎをするためであり、お世話係的な位置づけです。
次に6号機、別名「マドロック」はPS2用ゲーム『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』(2001年)に登場しました。プレイヤーがジオン軍人という設定のため、敵のボス扱いです。
この機体も尖っていて、ビームライフルのチャージ中における火力不足を補うため、両肩に実体弾が撃てる大口径キャノン砲を、両腕にも4連装グレネードランチャーを装備しています。それによる重量の増加と機動性の低下を避けるべく、脚には可変スラスターを追加して高速ホバリングも可能としました。
つまりガンダムに、「ガンキャノン」+「ドム」属性を乗っけたようでもあり、ジオン軍にとっては悪夢そのものです。
ちなみに『ジオニックフロント』は、ジオンのMSがガンダムのビームライフル1発で轟沈し、こちらの有効射程は限られているため、相手に接近を気付かれないよう、スモークグレネードで視界を遮りつつ友軍とともに囲んで……と地味な作業が延々と続くゲームであり、ガンダム&アムロのふたつ名である「白い悪魔」が、いかに恐怖をともなって口にされたかを強烈に味わえる作品でもあります。
最後に7号機は、PlayStation 3用ゲーム『機動戦士ガンダム戦記』(2009年)の主役機となりました。もっとも遅くに開発されたとあり、完成したのは一年戦争が終わった後で、ジオン残党狩りに投入されています。
その特徴は、最初からフルアーマー(増加装甲)の運用を前提に設計されていることです。RX-78-2に武装と装甲を追加する「FA-78-1 フルアーマーガンダム」という構想がありましたが、本7号機は最初からフルアーマーを前提に設計しており、全身にマウント・ラッチが配され、追加装甲にも多くのサブスラスターがあり「重武装でカタいが素早く動ける」を実現しています。
その上に、追加オプションを付けた「重装フルアーマー」という形態もあります。メタ的に言えば、フルアーマーのフルコースが楽しめる機体といえるでしょう。
これら「ガンダム○号機」は、ほとんどがオーバーテクノロジー的な強みを持ちながらも、それと引き換えに弱点を抱えており、「一年戦争時代の技術的な限界」と「アムロが乗ったガンダムの強さ」を両立させるうまい設定となっています。7号機は完全にRX-78-2のスペックを超えていますが、「(一年戦争の)戦後」なので問題ありませんね。
ただし、7号機は宇宙世紀0081年に運用されたとあり、のちの「ガンダム試作1号機」や「同2号機」が登場する0083年まで2年しかあいだが空いていません。いまだに「8号機」がゲームなどに登場しないのも、そこのバランスが難しい事情もありそうです。
(多根清史)
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