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『イエスタデイをうたって』1話レビュー 「原作から、登場人物が飛び出してきた」

マグミクス / 2020年4月11日 16時50分

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■繊細で臆病だけど、一歩前へ 人の心をありありと表現

 2020年4月4日(土)より、テレビ朝日ほかで放送スタートした、アニメ『イエスタデイをうたって』。

 原作から、登場人物が飛び出してきた。アニメのOPと、冒頭の陸生(CV:小林親弘)と晴(CV:宮本侑芽)の出会いのシーンを観ていて、真っ先にこんな言葉が頭に浮かびました。それくらい、イメージ通りでイメージ以上の絵と音を堪能することができました。

 本作のアニメーション制作をしているのは、動画工房。最近の作品だと『世話やきキツネの仙狐さん』『ダンベル何キロ持てる?』が記憶に新しいのですが、他にも『風の谷のナウシカ』『ポケットモンスター』を手がけてきたなど、作画力の高さは折り紙つき。細い線で描かれた映像は、「ああ、彼らはこうやって動いていたんだ」と謎の感動をもたらしてくれました。

 背景の音楽のギャップも、とても印象的です。普段は生活臭あふれる環境音のなか、声優の声だけがありありと聞こえるのに、陸生と晴が運命(?)の出会いを果たすところでは、軽やかなピアノの音が踊る。品子※(しなこ/CV:花澤香菜)と突然再会したときには、切ないギターの音色が響く。それぞれのキャラクター性や、陸生のふたりへの感情が再現されているようで、「このときの陸生は、何を考えていたんだろう」とつい思いをはせてしまいました。

 声の演出もたまらない! 晴を演じる宮本侑芽さん。まっすぐ明るく自分の思いを伝える、爽やかなかわいさが全開なのに、後半の真面目な場面での会話には、彼女自身も不安を抱えている人間だというのを、繊細なトーンの変化で表現しています。

 品子を演じる花澤香菜さん。この方は本当に、どんな女性も演じてしまうんですね……。大人びて、仕事も家事もそつなくこなすけれど、恋愛にだけは臆病な女性。陸生との再会から告白まで、キャラクターとしてのギャップが、声からもありありと伝わってきました。

 そしてなんといっても、主人公・陸生を演じる小林親弘さん! 大学を出てもバイトをしていて、モラトリアムの延長線上で生きる彼は、斜に構えた表情や自信のなさげなセリフでいっぱいです。今の生き方を肯定してはいないけれど、決定的な一歩を踏めないまま生活する彼。そんな彼の優柔不断さというか、繊細さが乗り移ったかのような声でした。

 今のままでいいだろうかと自問自答する人々にとって、胸に刺さるセリフが多い『イエスタデイをうたって』。その気持を引っ張ってくれるのは、英雄的とはとても言えない等身大のキャラクターたち。原作と同じく、よりそって一緒に歩けるようなアニメに仕上がっていてとてもうれしかったです。2話以降も、楽しみに待とうと思います。

※品子の品の字は木へんに品

(サトートモロー)

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