『ガンダム』空も飛ぶ! 迷子にもなる! けっこう作られた「グフ」のバリエーション
マグミクス / 2024年10月24日 6時35分
■「青い巨星」の愛機として知られる無骨なMS
2024年10月17日からNetflixにて配信開始となった最新作『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』では、「オデッサ作戦」で繰り広げられた地上戦が描かれ、ジオン公国軍のモビルスーツ「グフ・カスタム」の見せ場に、胸をときめかせたファンも多かったことでしょう。
このグフ・カスタムは、TVアニメ『機動戦士ガンダム』に登場した「グフ」の派生機であり、ほかにもさまざまなバリエーション機体が存在します。
グフといえば「ランバ・ラル大尉」の愛機として知られ、「アムロ・レイ」の「ガンダム」と死闘を繰り広げたことでも有名です。電磁ムチ「ヒート・ロッド」、指から発射する「フィンガーバルカン」など、特徴的な武装が目立ちました。
地球上での陸戦における「ザクII J型」に代わる次期量産機として開発されましたが、モビルスーツ戦に特化しすぎたせいか汎用性に乏しく、むしろ熟練パイロットが愛用するピーキーな機体として描かれています。
そのようなグフのバリエーションは、かなり細分化されて種類が多いため、ガンプラ化されているシリーズ機体を中心にピックアップして挙げていきます。また、古い設定も多いので諸説ある機体もありますが、本稿においてはBANDAI SPIRITSの「魂ウェブ」公式サイトに公開されている「MS開発秘録 グフ開発系譜」をベースとさせていただきました。
●ランバ・ラルもテストを担当した「グフの系譜」も
ランバ・ラルが愛用した「グフ」は量産化された機体とされているものの、「総解説 ガンダム事典」(講談社)によると、実は「プロトタイプ・グフ3号機」をラル専用にチューンナップしたもの、という解説があります。
このあたりの経緯は資料によって異なる部分もあるのですが、ラルが「プロトタイプ・グフ」のテストパイロットとしてグフの開発に協力していたのは事実です。
プロトタイプ・グフは、ジオニック社がザクIIをベースに陸戦用に特化させた機体でした。この試作機は3機製造され、そのうち2機はザクIIと同様の腕部マニピュレータを備えた「YMS-07A-0」、3号機のみ「ヒート・ロッド」「フィンガーバルカン」等の固定兵装を備えた「YMS-07B-0」となっています。
そしてグフシリーズのカッコよさを、さらに世に知らしめたのが、『機動戦士ガンダム第08MS小隊』や『機動戦士ガンダム MS IGLOO2 重力戦線』『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』などに登場した「グフ・カスタム(MS-07B-3)」です。
シールドにガトリング砲を装着した「ガトリングシールド」、ヒート・ロッドをワイヤー化した「ヒート・ワイヤー」などが特徴で、『第08MS小隊』では「ノリス・パッカード大佐」が搭乗しました。そして連邦の「シロー・アマダ」が乗る「ガンダムEz8」と戦い、一時はEz8を戦闘不能状態に追い込むなどの見せ場を作っています。
■さまざまなアニメ作品にも登場したグフシリーズ
「HGUC 1/144 グフ・フライトタイプ」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
TVアニメ『機動戦士Zガンダム』には、「グフ飛行試験型(MS-07H)」がひそかに登場していました。同機は、グフに飛行能力を持たせるというコンセプトで開発されましたが、テスト中に事故が多発します。結局、飛行機能は諦め、高出力エンジンを換装することでホバー移動を実現した機体が『Zガンダム』に登場したグフ飛行試験型です。
そして飛行試験型の完成形とも言われているのが、「グフ・フライトタイプ(MS-07H-8)」です。「ドダイYS」を使用せず、短時間ながらMS単独で空中戦が行える機体でした。
『機動戦士ガンダム第08MS小隊』の特典映像「三次元との戦い」では、グフ・フライトタイプがガンダムEz8との戦いのなかで、持ち前の立体機動の真価を発揮する様子が描かれています。
続いてMSVで存在が明かされたのが、「グフ重装型(MS-07C-3)」です。グフの後期生産型をベースに火力と装甲を向上させたタイプで、両腕に大口径のフィンガーバルカンを備えていました。
そのグフ重装型はしばらく映像作品に登場しませんでしたが、『機動戦士ガンダムUC』にてまさかの出番が訪れます。ジオン残党軍が隠し持っていたグフ重装型が、トリントン基地を攻撃するためにヨーロッパの古城の壁を破壊して出撃する様子が描かれています。
ちなみにそのグフ重装型は、出撃後に迷子になり、結局トリントンにたどり着けなかったことが、トレーディングカードゲーム『ガンダムトライエイジ』(バンダイ)のプロモーションカードにて明かされました。
●設定がおもしろい! 変わり種のグフシリーズも
グフの胴体に、ドムの頭部を載せたような、奇妙なビジュアルで目を引くのが「グフ試作実験機(MS-07C-5)」です。この機体は、ジオニック社の機体であるグフを、ツィマット社が改修したものでした。
大量のスラスターと高出力のエンジンが搭載され、機動力に特化された機体です。なお、この機体で採られたデータが、「プロトタイプ・ドム」の開発に役立ったともいわれています。
そして宇宙世紀作品ではありませんが、TVアニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』には「グフイグナイテッド」というグフが登場します。この機体は、同作で声優を務めた西川貴教さんが、乗りたい機体を問われた際に「グフ」と答えたために生まれたそうです。
●数少ない一年戦争以後の後継機は?
地球上での陸戦を意識して開発されたグフシリーズだけに、一年戦争以後を描いたアニメ作品で影が薄かったのは否めません。しかし、諸説あるものの『機動戦士ガンダムZZ』に登場した「ガルスJ(AMX-101)」は、グフのコンセプトを継承した機体と見る向きもあります。
ガルスJは、グフと同じく白兵戦を得意とする陸戦機(宇宙でも行動可能ですが)であり、指先には5門の武装「フィンガー・ランチャー」を備えています。それに地球圏にいた旧公国系の技術者が開発した機体という設定がありました。
グフシリーズは、バリエーション機体が豊富なザクやゲルググなどに比べると、「いぶし銀」的なイメージがあるかもしれません。搭乗したパイロットに渋いベテランが多かったのも一因かもしれませんね。
ガンダム好きの皆さんにとって、もっとも思い入れのある「グフ」はどれだったでしょうか。
(大那イブキ)
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