強すぎるアムロ・レイ、やっぱりおかしい! 「アムロの鬼畜な言動」で打順組んでみた
マグミクス / 2024年11月5日 6時35分
■機械オタクとして敵MSの弱点まで見抜く恐ろしさ
アニメやマンガにスゴい腕前のパイロットは山ほどいますが、強さに対して「おかしい」という形容詞が付くのは、『機動戦士ガンダム』の「アムロ・レイ」くらいでしょう。
反射神経や、銃の狙いをつけるエイム力などでずば抜けた能力を持つキャラは珍しくありません。が、それらは大抵、「相手の能力を上回っている」だけです。アムロの「おかしさ」は超絶能力プラス、考え方や戦闘スタイルが常人の発想を飛び越え、純粋な戦闘民族としか思えないところです。パンツ一丁で機械いじりをしていた、内気な少年はどこにいったのでしょう。
そうした一面の傍証といえるであろう、アムロの鬼畜な言動で打線……だと9つは多すぎるため、5つを厳選して見ていきます。
1.「相手がザクなら人間じゃないんだ」 (『機動戦士ガンダム』)
第2話にて、「シャア・アズナブル」が駆る彼専用の「ザク」にビームライフルの照準を向けたときのセリフです。この前に生身のシャアたちへ乱射した際には全弾、外しており、その時は激しく呼吸を乱していました。
このセリフはふたつの解釈ができます。ひとつは「倒すのはザクであり、人間を殺すわけではない」ということです。いかにも人間らしいですが、一方でアムロは第1話での初めての戦闘から、コックピット狙いで(コロニー内での核反応炉の爆発を防ぐためとはいえ)確実に人間を仕留めようとしていました。
もうひとつは「マトとしてザクの方がでかいから、人間より当てやすい」ということです。どのみち、「パイロットは生かして帰さない」結果には変わりなく、初めてモビルスーツに乗った少年の発想ではありません。命についての割り切りが、もはや超人です。
2.「大丈夫だ。モビルスーツ1機取り逃がしたけど」 (『機動戦士ガンダム』)
第29話にて、取り逃した相手はシャアの「ズゴック」です。数か月前に戦場デビューしたばかりの少年が「赤い彗星」から逃げるどころか「邪魔をするな、シャアを討たせろ!」とやる気満々でした。
しかも「邪魔」した相手はジオン軍の隠し玉「ゾック」であり、アムロにとっては初見の敵MSです。完全に不意打ちでアムロの「ガンダム」を襲ったはずが、ビームライフルで撃ち抜かれて瞬殺されていました。
そもそも、初めて見たゾックのコックピットがどこにあるか、なぜ分かったのか……といえば、おそらく「機械いじりが好きでMSの構造に詳しいから」とも推測されます。知識量のあるオタクがパイロットとして弱点を冷静に見抜く、恐ろしすぎますね。
3.「たかがメインカメラをやられただけだ」 (『機動戦士ガンダム』)
最終話で「ジオング」の胸部をビームライフルで撃ち抜いたあと、ガンダムの頭部をふっ飛ばされた時の名セリフです。撃ち抜き時に「違うか?」と言っているのは、自分の分析とコックピットの位置が違っていたことをほのめかしており、シャアはジオングの設計者に命を救われました。
視覚で相手がとらえられなくても問題ない時点でおかしいのですが、その後にガンダムから降りて自動操縦に切り替え、「ジオングヘッド」に攻撃を当てた「ラストシューティング」もおかしいでしょう。アムロ本人ではなく学習型コンピュータが自動でやったと思われますが、そのような殺意の高いコンピュータを育てたアムロは何なのでしょうか。
■さらに研ぎ澄まされていく(?)「その後」のアムロ
アムロに「人間じゃない」から安心して倒せると思われたシャア専用ザク。「HG 1/144 シャア専用ザクII」(BANDAI SSPIRITS) (C)創通・サンライズ
4.「後ろにも目を付けるんだ」 (『機動戦士Zガンダム』)
『Z』第16話にて、主人公の「カミーユ・ビダン」を救ったときに掛けたアドバイスです。第14話で7年ぶりに戦線復帰した直後、高機動の可変MS「アッシマー」に輸送機をぶつけて撤退させ、しかも差し違えるつもりもなく余裕で生還した(輸送機のコックピットではなく胴体部分を当てた)ことも目を疑いましたが、それを超えるインパクトあるセリフです。
アッシマーに苦戦するカミーユの元に「気合がぼやけているぞ!」とさっそうと駆け付け、「正面やや下。バズーカだ、撃て!」「もっと下だ!」と指示した上に、「ハイザック」のランドセルだけ斬る神業まで見せています。それを真似しようとしたカミーユがコックピットまで貫いてしまい、いら立つオマケ付きです。
「後ろにも目を付けるんだ」は、MS乗りの先輩として「戦場ではよく警戒しろ」とも解釈できる余地もありそうです。が、アムロは初代ガンダムで、大気圏突入直前にシャアが駆るザクを相手にしながら、背後を取られた別のザクを「ガンダムハンマー」で仕留めたり、「エルメス」の放った「ビット」を振り向きざまに破壊していたので、本当に後ろに目がある人のセリフとも受け取れます。
5.「子供に付き合っていられるか」 (『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』)
おもに「たかが石ころひとつ(注:小惑星の片割れ)、ガンダムで押し出してやる!」が話題に上りやすい『逆襲のシャア』ですが、シャアとの最終決戦に至るまでにも、アムロのおかしさがにじみ出ていました。
確かに「クェス」は「子供」でしたが、乗っているのが凄まじい火力を誇る大型MAの「α・アジール」です。ニュータイプ能力に優れたクェスの操るファンネルも超強力のはずですが、「νガンダム」で難なく撃墜してからの「子供に付き合っていられるか」という発言です。圧倒的な力量差を見せつけてから全否定、鬼の所業です。
その後さらにエグイのが、手練れの強化人間「ギュネイ」を「置きバズーカ」で一発で仕留めていることです。ただ単にバズーカを宙に置き、ギュネイが気を取られたスキにビームライフルで瞬殺しました。序盤に、「リ・ガズィ」が分離した装備をギュネイが意味なく撃つシーンがあり、その悪癖をアムロが覚えていたという説が有力です。
『逆襲のシャア』は、アムロのおかしさの宝庫です。シャアとの激闘のさなかでも通りすがりのMSからビームライフルを奪ったり、「サザビー」の腹にある拡散メガ粒子砲にバルカンを当てて威力を殺したり、徹底的に「相手を倒す」に最適化した行動ばかりしています。
アムロはニュータイプ能力のうち「人は分かりあえる」にリソースを割かず、戦闘力に100%注ぎ込んでいる感じで、こんなの相手に政治家やりながら互角に戦えたシャアは、やはりスゴイですね。
(多根清史)
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