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『マーヴェリック』から入ると『トップガン』は「微妙」の意見多数? それでも観てほしい理由

マグミクス / 2024年11月8日 20時55分

『マーヴェリック』から入ると『トップガン』は「微妙」の意見多数? それでも観てほしい理由

■1作目は「陽気すぎる」問題も?

 2024年11月8日(金)に「金曜ロードショー」で『トップガン』が放送されます。来週11月15日(金)に放送される36年ぶりの続編『トップガン マーヴェリック』(以下『マーヴェリック』)は若い世代からも絶賛を浴びた一方で、1作目『トップガン』には厳しい感想を述べる人が少なくありません。それはなぜなのでしょうか。

※以下、1作目『トップガン』および『マーヴェリック』の一部内容に触れています。

●肝心の空中戦の分かりにくさ

 まず、『トップガン』の明確な難点と思えるのは、肝心の空中戦のシーンです。画としての迫力はあるものの、「誰がどの戦闘機に乗っているのか」「どうすればいいのか」が分かりにくいのです。事前に最低限の作戦は言及されていますし、編集の段階で説明ゼリフを足したおかげで状況はなんとなくつかめるものの、「大声で叫ばれてもルールがよく分からないため冷めてしまう」といった意見に納得できるのです。

 一方で、『マーヴェリック』では事前のブリーフィングで、「どのような作戦内容で、どのような段階を経てミッションを成功できるのか」が、「図解」も用いて徹底的に示されています。「奇跡が2つ必要だ」「G(重力加速度)で象に踏まれたように肺は押し潰される」といった説明からも、どれほど困難なミッションなのかがはっきりと分かるでしょう。そして、実際の空中戦では、そのブリーフィングどおりの不可能を可能にするミッション、さらには不測の事態もあり、観客もパイロットたちに同調して「手に汗を握る」スリルを味わえるのです。この差は『マーヴェリック』→『トップガン』の順で観た後追い世代は、特に感じるのではないでしょうか。

●青春ものとしては王道だけれど……

『トップガン』は若者の青春物語として、王道の展開を詰め込んでいます。女性教官との恋愛、友人「グース」の事故死、落ち込みと立ち直り……といったドラマパートは1986年という時代ならいざしらず、今ではいずれも表面的で深みに欠けるという意見が出るのも致し方ありません。全体的に陽気なムードもあって、「相手を殺害しなければならない空中戦そのものが不謹慎に思える」「緊張感がない」という意見も散見されました。

 一方で『マーヴェリック』で通底しているのは、「パイロットが必要ではなくなる(無人機に代わる)」という悲哀です。それは撮影時に還暦間近でも生身のアクションに挑み続ける(いずれは引退をする)トム・クルーズさん自身、CGが発達し「本物」を撮ることが少なくなっていく映画という媒体にも重なります。だからこそ「今日じゃない(But not today)」の名ゼリフは、「今しかできないパイロットの物語=映画を作る」という、メタフィクション的な言葉にも思えるのです。

 さらには、『マーヴェリック』ではかつての友人であり事故死したグースの息子「ルースター」が持つ恨みや、(演じたヴァル・キルマーと同じく発声に障害がある)ライバルの「アイスマン」からの言葉など、「過去」と向き合うことになります。『マーヴェリック』にも陽気なシーンはありますし、戦闘の相手を抽象化して不謹慎さを避けてはいるものの、やはり全体的には「過去から変わった現在と未来」という悲哀があってこその物語が、見事に構築されているのです。

●比較で評価を低く見積もってしまっているかもしれない

 総じて『マーヴェリック』の完成度はあまりに高く、そちらを知ってから1作目『トップガン』を観ると、どうしても比較をしてしまい、評価を低く見積もっている、ということはあるでしょう。

 そのため、いったんは『マーヴェリック』のことを忘れて、王道の青春物語として『トップガン』を観てみるのもひとつの選択です。また、『マーヴェリック』は1作目『トップガン』を観ていなくても楽しめる内容ですが、その過去の物語に触れることで、改めてキャラクターへの思い入れもでき、さらに作品を楽しめるでしょう。

(ヒナタカ)

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